ESGスコアの注意点は?ESGスコアが高い企業や投資信託も紹介

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ESGという言葉が使用されるようになってから、投資家が企業を選ぶ時に、どの程度ESGに取り組んでいるかを判断材料にするようになってきています。そんなときに参考になるのが「ESGスコア」です。

この記事では、ESGスコアの主な評価機関とESGスコアの高い企業について解説します。

※本記事は2023年12月6日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. ESGスコアの概要
  2. ESGスコアの注意点
  3. 主なESG評価会社
    3-1.FTSE Russel
    3-2.Fitch Solutions
    3-3.MSCI
    3-4.S&P グローバル
    3-5.アラベスク・グループ
  4. 代表的なESGインデックスとESGスコアが高い日本企業
    4-1.FTSE Blossom Japan Index
    4-2.MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数
  5. まとめ

1.ESGスコアの概要

ESGは「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」という意味で、2006年に当時のコフィー・アナン国連事務局長が、投資先のリスクやパフォーマンスを評価するための指標として、投資家が使用することを提唱したものです。


出典:GPIF「ESG投資

それまで、投資家は企業の財務情報を判断基準として使用していましたが、最近では「ESGスコア」が企業のESGへの取り組みを客観的に評価するために利用されています。

なぜ投資家はESGスコアを利用するようになったのでしょうか?ESG情報は非定型的で数値化が難しい特徴がありますが、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルなどの第三者機関が株価指数や年金基金のデータと組み合わせてESGをスコア化し、投資家が参考にできるようにしたので、投資の参考指数として利用されるようになったのです。

2.ESGスコアの注意点

世界中には多くのESG評価機関が存在し、それぞれが特徴を持っています。環境(Environment)の評価に強いESG評価機関や、企業統治(Governance)の評価に強いESG評価機関など、さまざまです。また、評価対象の企業や評価項目、評価手法、スコアの更新頻度などはESG評価機関によって異なるため、同じ企業でもESGスコアがまったく違うこともあります。

さらに、ESGスコアが付与されている企業に偏りがあり、小規模な企業にはスコアが付けられないことが指摘されています。大企業はESG問題への取り組みに関する情報開示に人的・資金的な余力があるため、スコアが付けられる可能性が高いのです。ただ、情報開示が限定的でありながら積極的にESGに取り組んでいる企業もあり、そのような場合はESGスコアが適切に反映されていない可能性があります。

3.主なESG評価会社

主なESG評価会社を紹介します。

3-1.FTSE Russel

FTSE Russellは1995年に設立されました。ロンドン証券取引所グループの情報サービス部門で、株式や債券などさまざまな資産クラスのグローバルなインデックスを提供しています。また、ESGや気候変動データを活用したESGインデックスやESGレーティングのデータも算出しています。

2019年12月に、FTSE Russellは日本企業のESGレーティングの評価対象を拡大しました。小型株まで調査対象に含めることで、投資家に重要なESG情報を提供し、評価対象企業のESG意識の向上に貢献。これにより、日本の資本市場全体の向上が期待されています。

3-2.Fitch Solutions

Fitch Solutionsは、信頼できるデータと調査により、信用リスクとESGリスクを提供しています。その中でも「フィッチ・レーティングスESG関連度スコア」という指標があります。これは、ESG要因が信用格付けにどのような影響を与えるのかを示すものです。

また、「サステナブルフィッチ」はサステナブルボンド市場向けに、事業体と債券の両方に対してESGレーティングを提供しています。

3-3.MSCI

MSCI ESGリサーチでは、世界中の数千社の企業業務について、環境・社会・ガバナンスに関連する詳細な調査や格付け、分析を提供しています。この調査は、機関投資家が従来の投資調査では見落としがちなリスクや機会を、見極める為に役立つ重要な情報を提供しているといえるでしょう。

また、「MSCI ESG格付け」は、機関投資家がESGのリスクと機会を特定するのに役立つように設計されています。企業は、業界固有のESGリスクへのエクスポージャー(感応度)と、同業他社と比較したリスク管理能力によって、「AAA」から「CCC」の尺度で格付けされています。

3-4.S&P グローバル

2020年、S&PグローバルはRobecoSAMのESG調査部門(SAM)を買収しました。SAMはスイスのチューリッヒに1995年に設立され、1999年には世界の上場企業を対象にCSA(コーポレートサステナビリティ評価)を行いました。

ESG評価の分野では、20年以上の評価実績があり、その評価は「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)」や「S&P 500 ESG指数」「S&P Global ESGデータ」の基礎データとして使用されています。

3-5.アラベスク・グループ

アラベスクは2013年に創業され、資産運用事業を中心にサステナビリティ金融事業を展開してきました。2018年には、ESGリサーチの社内ツールであったS-Ray®を独立したESG評価事業として「アラベスクS-Ray」をスタートさせました。

さらに2019年には資産運用事業にAIエンジンを導入した「アラベスクAI」を設立しました。そして、アラベスクS-Rayは2021年にESGの情報開示プラットフォーム「ESGブック」を開設し、アラベスクAIはAIによる運用支援プラットフォーム「AutoCIO」を開設しています。

4.代表的なESGインデックスとESGスコアが高い日本企業

ESGスコアの代表的な例として、ESGスコアの良い上場企業を組み込んだESGインデックス(株価指数)が開発され、公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などが採用しています。GPIFが採用しているESG指数は、以下の通りです(2023年3月末時点)。


出典:GPIF「ESG投資

ここでは、代表的なESGインデックスを2つ紹介します。

4-1.FTSE Blossom Japan Index

「FTSE Blossom Japan Index」は、FTSE International Limitedにより選定されたESGへの対応が優れた企業で構成される株価指数であり、ESG Ratingが3.3以上の日本企業が選定されています。

参照:FTSE「FTSE Blossom Japan Index

そして、「FTSE Blossom Japan Index」にはETF(上場投資信託)の「iFreeETF FTSE Blossom Japan Index(1654)」を通じて直接投資することができ、主な組入上位銘柄は以下の通りです(組入比率:10月末時点、株価11月27日時点)。

銘柄 組み入れ比率 株価 配当利回り
トヨタ自動車(7203) 7.6% 2,770円 2.35%
ソニーグループ (6758) 7.6% 12,810円 0.62%
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 2.7% 1,294円 2.82%
日立 2.1% 10,385円 1.49%
三井物産(8031) 2.0% 5,400円 2.96%

表は「iFreeETF FTSE Blossom Japan Index」を参考に、筆者作成

4-2.MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数

「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」は、MSCIより選定されたESGスコアが相対的に優れた企業により構成される指数で、ETF(上場投資信託)の「iFreeETF MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(1653)」を通じて購入できます。10月末時点における組入上位銘柄は、以下の通りです(組入比率:10月末時点、株価11月27日時点)。

銘柄 組み入れ比率 株価 配当利回り
トヨタ自動車(7203) 8.2% 2,770円 2.35%
ソニーグループ (6758) 4.7% 12,810円 0.62%
東京エレクトロン(8035) 2.8% 23,945円 1.53%
三井住友フィナンシャルグループ(8316) 2.8% 7,494円 3.47%
日立(6501) 2.7% 10,385円 1.49%

※表は「iFreeETF MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」を参考に筆者作成

5.まとめ

ESGスコアは、企業が投資先を選ぶときの判断材料の一つとなっており、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの機関投資家もESGスコアを利用しています。ただ、あくまでも参考指標の一つなので、財務分析などもきちんと行った上で投資先を選ぶようにしてください。

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山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011