専業主婦・主夫に向く投資は?主な投資対象7個の特徴と始め方

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専業主婦(夫)の中で、自由に使えるお金や将来への備えとして投資に興味を持つ人も多いのではないでしょうか。家計の中の余裕資金を仕事で忙しい配偶者の代わりに少しでも増やすことができたら、生活設計にもゆとりが生まれるかもしれません。

この記事では専業主婦(夫)に適した投資とその始め方、扶養を外れない方法について解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年10月1日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 専業主婦(夫)が投資をするメリット
    1-1.空いた時間が生かせる
    1-2.投資の勉強で視野が広がる
  2. 専業主婦(夫)が投資をするデメリット
    2-1.損失を被ることもある
    2-2.扶養を外れる可能性がある
  3. 専業主婦(夫)向けの投資対象
    3-1.iDeCo(個人型確定拠出年金)
    3-2.NISA・つみたてNISA
    3-3.ポイント投資
    3-4.おつり投資
    3-5.株式投資
    3-6.個人向け国債
    3-7.投資信託・ETF
  4. 運用益と扶養の関係
    4-1.特定口座・源泉徴収あり
    4-2.特定口座・源泉徴収なし
    4-3.NISA口座は扶養に影響なし
  5. まとめ

1.専業主婦(夫)が投資をするメリット

最初に、専業主婦(夫)が投資をすることによるメリットにはどんなことがあるかを見ていきましょう。

1-1.空いた時間が生かせる

投資をするには、取引や情報収集のための時間が必要です。仕事を持っていて忙しい人の場合、そのような時間が取れないことも多いでしょう。

専業主婦(夫)でも小さい子どもがいる人は、必ずしも時間が豊富にあるわけではありません。しかし、在宅していれば空いた時間の使い方に自由度があるため、投資の時間は比較的作りやすいと考えられます。投資は有益な時間活用ともいえるでしょう。

1-2.投資の勉強で視野が広がる

投資を始めるにあたっては投資対象や基本的な仕組み、リスク管理の方法などを勉強する必要があります。投資の勉強をすると、今まで目に入らなかった金融の指標や経済ニュースに注目するようになるでしょう。視野の広がりによってさまざまな場面でのプラスの影響が期待できます。

2.専業主婦(夫)が投資をするデメリット

反対に、専業主婦(夫)が投資をすることによるデメリットも確認しておきましょう。

2-1.損失を被ることもある

預金や保険など一部を除くほとんどの投資は元本保証ではなく、運用商品には値動きがあります。時には損失を被ることもあることを知っておきましょう。投資においては、損失を少なくすることが大切です。1度の大きな損失で投資をやめてしまうことがないように、リスク管理や長期的な目線も学ぶ必要があります。

2-2.扶養を外れる可能性がある

投資で得た運用益から必要経費を差し引いた金額が所得となります。今まで収入ゼロだったり、扶養の範囲での収入があったりした人は、扶養を外れる可能性があることに注意しましょう。運用益と扶養の関係については後述しますので、参考にしてください。

3.専業主婦(夫)向けの投資対象

それでは具体的に専業主婦(夫)に向いている投資を紹介します。

3-1.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は公的年金の上乗せのための任意の年金制度です。加入者が掛金を支払い、金融機関ごとに設定された運用商品を自分で選んで運用します。

専業主婦(夫)に所得控除のメリットはない

iDeCoの最大のメリットは掛金が全額所得控除になることです(専業主婦(夫)の場合、月額2万3,000円までの積立が可能)。ですが、収入のない専業主婦(夫)にはそのメリットはありません。

しかし、iDeCoの資産は加入者ごとに管理されています。仮に今後、公的年金が減額されることがあっても、iDeCoの資産が減らされることはありません(運用による損失を負う可能性はあります)。

家計に無理のない範囲でiDeCoの積立をすることは、公的年金だけでは不安な老後の生活費を補う有効な方法です。ただし、60歳までは原則として資産の引き出しができないことに注意が必要です。

iDeCoの始め方

iDeCoに加入するには、金融機関に加入の申込をする必要があります。iDeCoを取り扱う金融機関は、証券会社、銀行、保険会社などです。金融機関ごとに運営管理手数料や運用商品のラインナップが異なるため、慎重に選びましょう。ほとんどのネット証券では、iDeCoの運営管理手数料が無料です。

申込から1カ月から2カ月で運用が始められるようになります。運用商品選びに悩んだ場合、金融機関が提供する商品選びのためのツールなどを活用するとよいでしょう。

3-2.NISA・つみたてNISA

NISAは投資で得た利益が非課税になる制度です。通常、運用益には20.315%の税金がかかります。しかし、NISAで得た利益には税金がかからず、全額を受け取ることができるのです。

NISAには一般NISAとつみたてNISAがあり、どちらかを選択します。後述する運用商品に投資する場合、非課税限度額までは一般NISAまたはつみたてNISAを利用するとよいでしょう。

一般NISAとつみたてNISAの違い

それぞれの特徴は以下のとおりです。

項目 一般NISA つみたてNISA
運用方法 通常の買付
積立投資
積立投資
運用商品 ・上場株式
・投資信託
・ETF(上場投資信託)など
金融庁が定めた基準を満たした長期運用に適した投資信託またはETF
非課税期間 最長5年間 最長20年間
1年間の非課税限度額 120万円 40万円

一般NISAとつみたてNISAともに途中の換金はできますが、非課税枠の再利用はできません。

NISAの始め方

一般NISAまたはつみたてNISAを始めるには、まずどちらかを選択しなくてはなりません。一般NISAは銘柄選びや購入のタイミングなどを自分で決められる人、または株主優待を狙う人に向いています。一方、つみたてNISAは手間をかけずに投資をしたい人や時間をかけてじっくり資産形成をしたい人に適しています。

NISAを取り扱うのは、証券会社、銀行、一部の投信会社などです。上場株式の取引がしたい場合、証券会社でないと買付ができません。また、商品ラインナップも金融機関ごとに異なります。自分の希望に合う金融機関に口座を開設しましょう。

すでに取引のある金融機関にNISA口座だけを開設することも可能です。一般的にNISA口座の開設には1カ月から1カ月半かかります。口座が開設できたら、積立投資をする人は積立の設定をしましょう。通常の買付は随時行います。

3-3.ポイント投資

ポイント投資とは、カードなどで貯めたポイントを金融商品と交換するサービスのことです。自己資金を出さずに投資ができるため、失敗してもダメージが大きくなりません。投資の資金が少ない人や投資の初心者に向いた投資で、専業主婦(夫)にも始めやすいといえます。

投資対象はサービスによって異なりますが、投資信託や株式などが一般的です。ポイント投資で投資に慣れたら、自己資金で本格的に投資をするのもよいでしょう。

ポイント投資の始め方

ポイント投資を始めるにはポイントサービスへの登録と、金融機関への口座開設が必要です。ほとんどのポイントサービスではスマートフォンやPCから公式サイトにアクセスすれば、その日から利用できるようになります。

ただし、証券会社での口座開設はネット経由でも約1週間かかります。その他の金融サービスでも、投資を即日スタートできるものは原則ない点に注意が必要です。口座が開設できたら、ポイントプログラムと連携すれば投資がスタートできます。
【関連記事】ポイント投資のやり方・始め方

3-4.おつり投資

おつり投資とは、家計簿アプリなどと連携して買い物時のおつりの金額を自動的に設定し、そのおつり相当額で金融商品を購入し運用するサービスです。おつり投資では、運用はロボアドバイザーなどが行うので投資の知識がなくても始められます。

ただし、運用成績が必ずプラスになる保証はないことを知っておきましょう。また、ほとんどのサービスで運用手数料がかかります。

おつり投資の始め方(トラノコの場合)

おつり投資の始め方はサービスごとに異なります。ここでは、「トラノコ」の始め方を紹介します。

  1. アプリをダウンロード
  2. 口座開設
  3. おつりデータ取得のため家計簿アプリと連携。家計簿アプリがない場合、おつり捕捉サービスのアカウント作成
  4. 家計簿アプリがない場合、クレジットカード・電子マネー登録
  5. ファンド選択
  6. 引き落とし口座設定

3-5.株式投資

株式投資は、手の空いた時間を使って積極的に売買をしたい専業主婦(夫)に適した投資です。株式市場は平日昼間に開いているため、会社員など時間的な制約のある人よりも取引はしやすいと言えます。通常の取引の場合、銘柄の情報を得たり、売買のタイミングを計ったりしなくてはなりません。その点、専業主婦(夫)なら、時間の調整がつけやすいでしょう。

しかし、株式投資はリスクの高い投資でもあります。ルールに則った取引の管理が必要なことも知っておきましょう。

株式投資にはさまざまな手法があります。専業主婦(夫)向きの投資をいくつか紹介します。

単元未満株

通常、市場で取引できる株式の最低取引単位(単元株)は100株です。しかし、1株単位でも取引ができる単元未満株を扱っている証券会社もあります。1株1,000円であれば10万円(1,000円×100株)の資金が必要ですが、単元未満株なら1,000円から株式の購入が可能です。

単元未満株は、投資に回せるお金が限られている専業主婦(夫)でも取り組める株式投資です。単元未満株は証券会社ごとにさまざまなサービスがあります。ほとんどの場合、NISAは利用できませんが、一部の証券会社でNISAに対応したサービスも取り扱っています。

配当と優待狙いの株式投資

配当金や株主優待は、株式を保有しているだけで受け取れます(ただし単元未満の場合、株主優待は受け取れないことがほとんどです)。株式投資には安く買って高く売るキャピタルゲイン狙いだけでなく、長く保有して配当や株主優待を得るインカムゲイン投資も選択肢の1つです。

高配当もしくはメリットの高い株主優待のある銘柄は専業主婦(夫)にも親しみやすく、人気があります。ただし、配当や優待の利回りだけでなく、業績などに注目して銘柄を選ばないと、株価が下がって損失を被る可能性が高くなることに注意しましょう。

株式投資の始め方

株式投資を取り扱う金融機関は、証券会社です。株式投資を中心にする人が証券会社を選ぶ場合のポイントは、手数料の安さ、取引ツールの使いやすさなどです。IPO株や外国株式を買い付けたい人なら、それらに強いかもチェックします。

証券会社に口座を開設したら、とりあえず資金を入金しておきましょう。買いたいタイミングで口座に買付代金がないと、チャンスを逃してしまうからです。

3-6.個人向け国債

個人向け国債は国が発行する個人を対象にした債券のことです。額面金額1万円から1万円単位で購入できます。半年ごとに利子が支払われ、満期には元本が全額戻ります。1年経過後は換金でき、その場合でも元本割れしません。少額から購入できてリスクも非常に低いため、専業主婦(夫)にも始めやすい投資です。

ただし、金利は低いため、資産を殖やすというよりは預金と合わせて元本を維持することを目的とした投資と言えます。

個人向け国債の始め方

個人向け国債は、証券会社、郵便局、銀行などさまざまな金融機関で取り扱っています。取り扱い金融機関に口座開設をするだけで、個人向け国債が購入できるようになります。

3-7.投資信託・ETF

投資信託は、投資家から集めた資金を運用のプロが運用し、利益を投資家に還元する仕組みの金融商品です。投資対象によってさまざまなリスクのレベルがあり、自分のリスク許容度に合った投資が可能です。また、証券会社によっては100円から購入できるなど、少額投資も可能なため専業主婦(夫)にも取り組みやすいといえます。

一方、ETFは金融市場に上場している投資信託です。株式と同様に証券会社を通じて市場で売買をします。決められた売買単位ごとの注文になるため、最低投資金額は投資信託より高い傾向にあります。取引の利便性は投資信託が勝りますが、ETFは保有時のコストが低く抑えられている点がメリットです。

投資信託・ETFの始め方

投資信託は証券会社、銀行、郵便局など多くの金融機関で取り扱っています。一方、ETFは証券会社を通じて市場で買い付ける仕組みです。投資信託・ETFともに金融機関ごとに取り扱う銘柄が異なります。

また、信託報酬は同じ商品であればどの金融機関でも一律ですが、購入時手数料や売買手数料は金融機関ごとに決められています。なるべく多くの銘柄が購入できて、手数料の安い金融機関から検討してみると良いでしょう。

4.運用益と扶養の関係

専業主婦(夫)が投資で運用益を得ると、場合によっては扶養から外れる可能性があります。扶養から外れると、運用益以上に世帯の税金が増えることもあるため、注意してください。株式や投資信託から生じた運用益によって、扶養から外れないようにするにはどうしたらいいか解説します。

4-1.特定口座・源泉徴収あり

株式や投資信託の取引の場合、金融機関に取引口座を開設します。個人の取引口座は通常、「特定口座・源泉徴収あり」または「特定口座・源泉徴収なし」から選択します。

「特定口座・源泉徴収あり」を選ぶと、株式や投資信託で生じた運用益にその都度20.315%の税率で税金が源泉徴収され、確定申告も不要です。運用益による所得は、課税所得金額に加算されないため、運用益がいくらになっても扶養から外れることはありません。

よって、専業主婦(夫)は「特定口座・源泉徴収あり」で口座開設をしておけば扶養から外れることがなく、無難です。

4-2.特定口座・源泉徴収なし

ただし、株式や投資信託の取引量が少なく、年間の所得が基礎控除の48万円を下回る場合、本来なら課税されません。この場合、源泉徴収ありの人は、確定申告で還付を受けられます。

しかし、源泉徴収なしの口座の人なら、確定申告も必要ありません。専業主婦(夫)で他に収入がなく、年間48万円以上の運用益を得る可能性が低い人は、源泉徴収なしの口座も選択肢となります。

ただし、48万円以上の所得が生じた場合、扶養から外れて世帯の税金が増えることになる点は覚えておきましょう。なお、一定の要件を満たすと、特定口座の源泉徴収区分は変更可能です。

4-3.NISA口座は扶養に影響なし

NISA口座から生じた運用益は非課税であり、課税所得が増えることはありません。よって、扶養に影響はなく、確定申告も不要です。

まとめ

専業主婦(夫)は時間を自分の裁量で使えるので、会社員などに比べて時間を味方につけた投資をすることができます。

投資経験がなくリスクが怖い場合、少額から始められる投資やリスクの低い投資が選択肢となります。扶養を外れないようにするには「特定口座・源泉徴収あり」を選び、非課税限度額まではNISAを活用するとよいでしょう。

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松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員2種 運営サイト : 経営体質改善のヒント