満室経営は実現できたものの、いまだに初期費用を回収できず…
読者の方が実践してきた不動産投資にHEDGE GUIDE編集部がアドバイスする「不動産投資の相談室」。今回の相談者は、副収入を作るために新築アパート経営をはじめた30代前半の男性の方です。
相談者プロフィール
- MAさん
- 男性
- 30代前半
- 中小企業・正社員
不動産投資の失敗体験談
「副収入を作りたくて、アパート経営に興味を持ちました。不動産投資の経験が無かったと言う事もあり、購入時には営業の方が提案物件の強み・弱み、購入時・購入後の動き、どのような支出があるかなどを丁寧に教えてくださったおかげで、不安なく購入することができました。
福岡県に新築アパートを購入しましたが、始めた当時は空室リスクが怖かったため、同じエリア・間取りで築5年以上の物件と同水準の家賃設定を行いました。そのおかげか満室経営は実現できたのですが、毎月の収支状況があまり良くなく、まだ初期費用を回収することができていません。
現在は、退去の度に家賃を引き上げている状況です。新築のため退去後から一ヶ月かからないうちに次の入居者が決まっていますが、これから年数が経っても大丈夫なのか不安に感じ始めており、収支が合わなくなる前の売却も検討しています。」
補足データ
- エリア:福岡県西区
- 物件:新築アパート一棟
- 土地・物件価格:約4450万円(うち建物費用3,200万円)
- 現在の利回り:7.25%(満室時)
- 融資金利:2.0%
- 給与:年収301万~400万円
- 投資期間:2014年2月~2018年2月
HEDGE GUIDE編集部からのアドバイス
- 【アドバイス①】新築物件の空室リスクは低い
- 【アドバイス②】家賃は安易に引き下げない
- 【アドバイス③】売却は購入後に5年以上が経ってから
アドバイス① 新築物件の空室リスクは低い
不動産投資の初心者にとって、最も気になるのが空室リスクです。ただ、新築の場合は「新築プレミアム」というものがあり、数年間は賃料が他の物件よりやや高くても入居者が集まりやすいと言われています。
そのため、新築物件を購入された場合は、今回のように過度に空室を恐れる必要はなく、むしろ最初は多少強気の価格設定をして早めに初期費用を回収するという戦略も検討してみることをおすすめします。
アドバイス② 家賃は適正水準に設定する
今回のケースでは、退去の度に家賃を引き上げているということでしたが、家賃が低すぎると毎月の収支が合わないだけでなく、売却時にも影響が出てしまうことになるため注意が必要なポイントです。
物件を売却する場合、購入検討者が物件を判断する際にチェックするポイントの一つが「利回り」です。利回りは、物件から年間で得られる家賃収入を、物件の販売価格で割った値となるため、家賃収入が低いと他の同条件の物件と比べて利回りが低くなってしまうことになります。競合物件と比べて家賃水準が低い状況下で売却をするには、販売価格を引き下げて利回りが高くなるように調整する必要が生じてしまいます。
以上を踏まえると、家賃収入は満室経営が実現できるラインを見極めて適切に設定することや、入居者が決まらない場合も安易に引き下げないことが大切と言えるでしょう。
アドバイス③ 売却は購入後に5年以上が経ってから
不動産を取得した年から5年が経過しないまま売却をして利益を確定すると「短期譲渡所得税」という高い税率(39.63%)で課税されてしまうため、事前に注意をしておきたいポイントです。
今回のケースであれば、2014年2月に購入をしているので、購入年から5年が経過した翌年の1月1日以降(2020年1月1日)に売却をすれば、「長期譲渡所得税」という税率が適用されることになります。
税金の種類 | 短期譲渡所得税 | 長期譲渡所得税 |
---|---|---|
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
(※2018年時点。上記の所得税には、復興特別所得税2.1%を上乗せしています。)
また、売却に関する税金でもう一点注意をしておきたいのは、減価償却費という費用です。減価償却費は、耐用年数に応じて建物の価値を減少させていくもので、木造アパートの場合は22年にわたり費用を計上していくこととなります。
減価償却費は支出として計上されますが、実際に手元から現金の支払いは発生しないので、運用中はあまり気にすることのない費用です。しかし、売却時には、減価償却費として計上した費用分の建物価値が減少しているので、もし売却価格が購入価格だった場合には減価償却費の累計額から譲渡費用(仲介手数料など売却にかかった費用)を差し引いた金額が売却益となり、譲渡所得税が課税されることになります。
このように、売却価格が同じだったとしても譲渡費用によっては課税が発生するケースがあることを念頭に置いて、売却の価格やタイミングを検討することが必要です。
まとめ
空室リスクは怖いと考えがちですが、最初から家賃を低く設定しまうと毎月の収支や売却の際に悪影響が出てしまいます。家賃以外の手段で空室リスクを抑えるには、品質が高い物件を選ぶことや賃貸管理実績が豊富な会社をパートナーに据えることが大切です。たとえば、シノケンプロデュースという新築アパートを販売している会社は、駅徒歩10分以内の好立地に高性能なデザイナーズアパートを建て、設備の充実や入居者からの連絡に迅速に対応するなどの取り組みも行うことによって、創業約30年に関わらず入居率は99%という高い数値を実現しています。信頼できる会社を不動産投資のパートナーにすることで、高い入居率を実現し、適切な家賃設定についてもしっかりと相談しながら不動産投資を進めていくと良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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