新宿区の不動産売却の相場・査定価格は？平均価格や検討者数の推移から検証

オフィスビルやファッションビルが建ち並び、歓楽街も多いイメージの新宿区ですが、交通アクセスや買い物環境も良く、住みやすい住宅地もあり、にぎわいと落ち着きが両立するエリアです。

今回のコラムでは、「三井のリハウス」が公開している「平均価格」や「購入検討者数」といったデータ（2022年12月15日〜2023年12月15日）を参照し、新宿区のマンション売却における傾向や相場・査定価格の動向を検証します。

三井のリハウス

三井のリハウスは、三井グループの不動産会社「三井不動産リアルティ」が行っている不動産コンサルティング事業の名称です。大手不動産会社ならではのネットワークを全国に構築しており、2023年4月時点で北海道から九州まで287店舗を展開しています。全国売買仲介取扱件数は1986年度から2023年度まで38年連続ナンバーワンを獲得しており、1975年の売買仲介業務開始以来の累計取扱件数は100万件を超えています。

個人向け不動産の売却、購入、賃貸に関するさまざまなサービスを提供しており、不動産売却の際には「現地調査」を基本に不動産売買のプロによる無料査定を提供しています。査定後に売却するかどうか判断しても構わないため、「まずは価格を知りたい」「売却するか活用するか悩んでいる」という方でも利用しやすいサービスです。

※本記事は、三井のリハウスで公開されている2022年12月15日から2023年12月15日までの不動産情報を基に執筆しています。東京の不動産市場は流動性が高く、売出情報のデータも日々変動があるため、最新情報についてはご自身でもお調べのうえご検討ください。

目次

1. 新宿区で販売されている中古マンションの平均価格とその推移
2. 新宿区で中古マンションの購入を検討している方の推移
3. 新宿区で販売されている中古マンション物件数の推移
4. 新宿区の基本データ
   4-1．新宿区の人口・世帯数の推移
   4-2．新宿区の特徴
5. マンションの実際の査定価格を知るには査定依頼も検討する
6. まとめ

1　新宿区で販売されている中古マンションの平均価格とその推移

下記の表は、東京23区で販売されている中古マンションの区ごとの平均価格（2023年12月15日時点）の上位5位までと新宿区をランキングにしたものです。

平均価格ランキング（2023年12月15日時点）

新宿区で販売されている中古マンションの平均価格は8,015万円で、東京23区の中では6番目に位置しています。

次に1年間の価格の推移を見てみましょう。下記の表は、2022年12月15日から2023年12月15日までの平均価格の推移をまとめたものです。

平均価格の1年間の推移

新宿区で販売されている中古マンションの平均価格は、この1年間の最低価格が6,620万円（2023年6月15日付）で、最高価格は8,015万円（2023年12月15日付）です。1年間では7,228万円から8,015万円に787万円上昇しており、価格の上昇率は10.9％となっています。

ただし、東京23区の平均価格の中央値は6,762.1万円から7,563万円に800.9万円上昇しており、値上がり率は11.8％です。東京23区全体に比べると、新宿区の中古マンション平均価格の値上がりは緩やかということがわかります。

2　新宿区で中古マンションの購入を検討している方の推移

下記の表は、東京23区の中古マンションの購入を検討している区ごとの人数（2023年12月15日時点）の上位5位までと新宿区をランキングにしたものです。

購入検討者数ランキング（2023年12月15日時点）

新宿区の中古マンション購入検討者数は東京23区で6番目に位置しています。2022年12月15日〜2023年12月15日の1年間の推移も見てましょう。

購入検討者数の1年間の推移

2023年12月15日時点で東京23区の中古マンション購入検討者は43,334人おり、そのうち新宿区の中古マンション購入を検討しているのは2,639人です。これは、東京23区全体で同時期に購入検討している人の6.1％に当たります。

2022年12月15日付から2023年12月15日付までの1年間では、12月のうち8月で前月比増となっており、増加傾向が続いていることもうかがえます。購入検討者数は2,325人から2,639人に314人増加しており、増加率は13.5％です。東京23区全体の増加率は1.9％となっていることから、東京23区全体に比べて新宿区の増加率が高いことがわかります。

新宿区の中古マンションの平均価格が上昇しているのは、このように購入検討者が増えていることも要因の一つと考えられます。

3　新宿区で販売されている中古マンション物件数の推移

下記の表は、東京23区で販売されている中古マンションの物件数（2023年12月15日時点）を区ごとに表した上位5位までのランキングです。

売り出し物件数ランキング（2023年12月15日時点）

表を見てわかる通り、新宿区で販売されている中古マンションの数は、東京23区で4番目に多くなっています。この1年間の推移も見てましょう。

売り出し物件数の1年間の推移

新宿区で販売されている中古マンションの数は、この1年間の最多が388件（2023年4月16日付）で最少が257件（2023年12月15日付）となっています。12月のうち9月で前月比減となっており、減少傾向が見られます。

2022年12月15日付では333件だったのが、1年後には257件と76件の減少となっています。減少率は22.8％となっており、東京23区全体の減少率11.6％よりも高く推移していることがわかります。

売り出されている物件数が減少傾向にあることも、平均価格が上昇している要因の一つと考えられます。

4　新宿区の基本データ

新宿区の中古マンション売却に関する傾向を見てきましたが、新宿区にはどのような特徴があるのか確認しておきましょう。

4-1　新宿区の人口・世帯数の推移

下記の表は、東京都の「東京都の統計」から新宿区の人口と世帯数について、2022年12月から2023年11月までの推移を表したものです。

※参照：東京都「東京都の統計」より抜粋

東京23区の人口は、2023年11月1日時点で9,794,264人（5,381,857世帯）です。新宿区は東京23区中12番目の354,422人で、約3.6％を占めています。一方、世帯数は東京23区のうち9番目に位置しています。

2022年11月から2023年12月までの1年間では、東京23区全体では9,574,523から9,794,264人に219,741人増加しており、新宿区はそのうちの3.5％を占める7,587人の増加となっています。

4-2　新宿区の特徴

2020年10月に行われた国勢調査をもとに、新宿区の特徴を確認していきましょう。

• 年齢（3区分）別人口構成比：年少人口9.2％、生産年齢70.8％、老年人口20.0％
• 5歳階級別人口：最多25〜29歳（28,855人）、最少10〜14歳（8,491人）
• 有配偶割合：男性57.2％、女性51.4％
• 1世帯あたり平均人員：1.55人
• 世帯人員別割合：1人世帯67.8％、2人世帯17.0％、3人世帯8.7％、4人世帯5.3％
• 家族類型別世帯数：単独世帯67.8％、夫婦のみ世帯11.9％、夫婦と子供世帯13.0％、ひとり親と子供世帯4.8％、そのほかの世帯2.4％
• 家族類型別65歳以上の世帯員のいる世帯数：単独世帯46.9％、夫婦のみ世帯24.9％、夫婦と子供世帯11.1％、ひとり親と子供世帯11.0％、そのほかの世帯6.0％
• 住宅の建て方別世帯数：一戸建て28,162世帯（12.8％）、長屋建1,410世帯（0.6％）、共同住宅189,802世帯（86.3％）、そのほか674世帯（0.3％）
• 共同住宅に住む世帯の階数別割合：1・2階11.4％、3〜5階36.2％、6〜10階25.8％、11〜14階18.8％、15階以上7.8％
• 持ち家率：36.6％（80,566世帯、民営借家世帯117,281世帯、53.3％）

※参照：新宿区新宿自治創造研究所「2020（令和2）年国勢調査人口等基本集計結果新宿区の概要」より抜粋

1世帯あたりの平均人員が1.55人となっており、単独世帯が多い新宿区の特徴を表しています。また新宿区は若い人が多いイメージですが、老年人口が20.0％を占めており、少子高齢化がやや進んでいることもわかります。65歳以上がいる世帯のうち、約半数が単独世帯なのも特徴的です。

家族類型別で見ると、夫婦と子供世帯は28,931世帯（構成比13.0％）となっており、ファミリー向けの住宅に対する需要は構成比だけで判断するとそれほど高くないと推測できます。なお東京23区全体の構成比は、単独世帯53.8％、夫婦のみ世帯15.4％、夫婦と子供世帯20.3％、ひとり親と子供世帯6.9％、そのほかの世帯3.9％となっています。

また特徴的なのは、マンションを含む共同住宅に住んでいる方が86.3％と多くを占めている点です。建物の階数別に見てみると、1・2階が11.4％と10％程度なのに対して、3〜10階が62％と半数以上を占めており、11階以上に住んでいる世帯は4分の1以上の26.6％となっています。

5　マンションの実際の査定価格を知るには査定依頼も検討する

データを参照しながら新宿区の中古マンション売却について検証してきましたが、これらは全体的な傾向であり、個別性の強いマンションの売買においては必ずしも当てはまらないケースがあります。

例えば、区全体のマンション価格が上昇傾向にあっても、修繕積立金が高騰していたり、駅から遠いなど立地条件の悪いマンションでは価格が横ばい、もしくは下落していることも少なくありません。加えて、不動産は経年劣化によって徐々に資産価値が低下していく特徴があるため、土地値が大きく高騰しないかぎり基本的に徐々に値を下げる傾向があるのです。

このような不動産の個別事情については全体的な市場傾向から読み取ることができません。マンションの個別事情を加味しながら売り時を探るには、実際に不動産査定を依頼したり、売り出しを検討してみるのも一案です。

今回データを参照した三井のリハウスでは、売却に迷っている段階でもマンションの査定依頼をすることが可能です。また、実際に売り出しを実行したとしても、希望価格に届かない場合には売る必要がなく、媒介契約の契約期間を経過した後は売却自体を取り下げることも可能です。

新宿区の中古マンション価格は上昇傾向にある一方、物件数は減少しており、全体傾向としては一つの売り時と見ることができます。売却に迷う場合には、情報収集の手段の一つとして査定依頼を検討されてみると良いでしょう。

まとめ

今回は三井のリハウスが公表しているデータから、新宿区の中古マンション売却について検証をしました。主に下記のような傾向が見て取れます。

• 中古マンション平均価格は上昇しているが、値上がり率は東京23区全体よりも緩やか
• 中古マンションの購入を検討されている方は東京23区内でも上位に位置している
• 販売されているマンションの数は減少傾向にある

ただし、今回集計したデータが示すのは全体的な傾向であり、個別事情が大きく売買に影響する中古マンションにおいて必ずしも当てはまらないことがあります。不動産査定を受けて実際の価格を調査することも大切なポイントです。

マンション売却では、不動産市場の動向に詳しく、売買の実績が豊富で、地域の特性を把握している不動産会社に強みがあります。不動産査定は売却に迷っている段階でも無料で依頼することができるので、情報収集の手段としても査定を検討されておくと良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。

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