ドイツ銀行(ティッカーシンボル:DBK)が4月27日に発表した22年1~3月期(第1四半期)決算は、純利益が前年同期比17%増の10億6,000万ユーロ(約1,400億円)だった(*1)。投資銀行部門の低迷を受けて大規模リストラを敢行しているが、今期までに7期連続で黒字を確保し、再建が着実に進んでいる模様だ。ただし、足元はコスト圧力が高まるなかで困難な市場環境であるとの見方を示した。
今回の決算は、すべての部門が前年同期を上回る良好な結果となった。会社全体の収益は前年同期比1%増の73.3億ユーロだった。主力の投資銀行部門は同7%増の33億ユーロ。債券や為替業務が同15%増と収益拡大をけん引した。
クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は、「今期の決算で当行がグローバルハウスバンク(ユニバーサルバンクまたはメインバンク)としての力強さと回復力を示した」と述べた(*1)。また、すべての事業の業績が目標を達成もしくは上回る結果となり、四半期ベースで9年ぶりの高水準を達成したと付け加えた。
ドイツ銀行は収益性の低迷やコンプライアンスの問題を受けて、ゼービングCEOが抜本的な改革に取り組んでいる。19年には向こう3年で全行員の2割に相当する1万8,000人を整理するほか、投資銀行業務では株式セールス・トレーディング事業から撤退するなど、大胆なリストラ計画を公表していた。19年は53億ユーロの最終赤字に転落したが、今期までに7期連続で黒字を確保していることに鑑みると、ゼービングCEOによる改革が奏功しているようだ。
ジェームズ・フォン・モルトケ最高財務責任者(CFO)はCNBCに対し、今期のよい流れが第2四半期もつづくだろうと述べた(*2)。ただし、ウクライナ戦争や中国のコロナ対応、サプライチェーンの混乱などの問題が山積みするなか、足元の金融市場には不透明感が漂っているという。
また、ドイツ銀行は3月11日、ロシア事業から段階的に撤退すると発表した(*3)。当初、事業を続ける意向を示したことで批判を浴びていたが、一転して撤退を表明した。第1四半期には総貸出金残高が13億ユーロと5%減少している。
ロシアのウクライナ侵攻に絡む不透明感や、新型コロナのパンデミックに伴う困難が残るなかではあるものの、財務規律を保ちつつ、中核事業の「Core Bank(コーポレートバンク、インベストメントバンク、プライベートバンク、アセットマネジメントの4部門)」の収益拡大による持続可能な収益性の改善に注力する方針だ。
【参照記事】*1 ドイツ銀行「Quarterly Results – Deutsche Bank」
【参照記事】*2 CNBC「Deutsche Bank earnings q1 2022」
【関連記事】*3 ドイツ銀行、ロシア事業継続表明から一転して撤退へ。株価は8%急騰
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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