ロボアドバイザーはこれまで投資をしたことのない方でも簡単に始められることが最大の魅力です。ですが、自分が知らないものに対する投資は厳禁。そこで今回はロボアドバイザーに投資をする人が増えている理由について詳しく見ていきましょう。
ロボアドバイザーではリスク対策として「分散投資」の考えが取り入れられて作られたサービスです。適切な分散投資が実施されているからこそ、初心者であってもリスクを抑えて資産運用に取り組むことができるのです。ロボアドバイザーの分散投資では「投資国の分散」「投資対象の分散」「時間の分散」の3つが綿密に設計されており、それぞれが重要な役割を果たしています。
今回は、ロボアドバイザーにおける「分散投資とはどのような投資法なのか」「メリットは何か」などを、投資初心者の方向けにわかりやすく解説していきます。
目次
1 ロボアドバイザー投資とは
まずはロボアドバイザー投資について学んでいきましょう。
1-1 ロボアドバイザーとは
ロボアドバイザーには、パソコンやスマートフォンのアプリ上で顧客に投資の助言をする「アドバイス型」と、運用を全て任せることができる「投資一任型」の2タイプがあります。
アドバイス型は投資対象の選定の助言や診断に特化したタイプで、投資一任型は助言のほか投資対象の選定・購入・運用まで可能です。
投資一任型ロボアドバイザーに運用を任せると、自動で投資対象の選定、購入や資産配分の最適化であるリバランスが実行されるため、ユーザーは株式投資などの知識がなくても簡単に投資を始めることができます。
1-2 ロボアドバイザーの特徴
投資家が株式や投資信託などに投資する場合、自分のリスク許容度に応じて投資対象を適切に配分し、具体的な銘柄・商品を選定して購入する必要があります。また、利益の確定や、損失の低減、売却も随時行わなくてはなりません。しかし、ロボアドバイザー投資では以下の手順で資産運用を投資一任型のロボアドバイザー会社に任せることができます。
- ユーザーは年齢、金融資産、リスク許容度などに関する質問に答える
- 回答結果からロボアドバイザーがユーザーに適した投資プラン(投資対象の配分、商品の選定など)を提案する
- ユーザーの同意に基づきロボアドバイザーが商品を購入し、運用(リバランスやリアロケーション)を行う
通常、投資を行うためには株式投資などの資産運用に関する膨大な知識が必要になりますが、ロボアドバイザー投資ではロボアドバイザーが購入や売却もすべて自動で行ってくれるため初心者でも投資のプロと同様のパフォーマンスで資産運用を行うことができます。
また、市場の動向を常にチェックする必要もないため、運用に手間がかからないことも特徴です。ロボアドバイザーは投資初心者の負担となる資産運用に関する専門知識の習得や運用の手間を肩代わりしてくれるため、若い世代を中心に利用が広がっています。
1-3 ロボアドバイザーにもリスクがある?
ロボアドバイザーの投資対象は主に海外や国内の投資信託などです。投資対象を資産別にみると「株式」「債券」「通貨」「不動産」「金・原油」などとなっており、預貯金や国債の購入などに比べるとリスクは高い傾向にあります。もちろん、ロボアドバイザー投資はリスクを低くなるように設定されていますが、どんな投資であってもリスクがゼロでないことを投資家として認識しておくことが必要です。
資産運用をすべて自動的に行ってくれるロボアドバイザーではありますが、自分が投資する対象にはどのようなリスクがあるかを知っておくことは投資の大前提です。どのような資産、どういった地域に投資をしているのかは投資判断で重要なポイントになります。ロボアドバイザーの場合、「投資対象の分散」「地域の分散」「時間の分散」という3つの分散投資を実施することによって、リスクを極力抑えることが可能です。以下で詳しく見ていきましょう。
2 投資対象の分散
投資のリスクを抑える有効的な方法は分散投資です。簡単にいうと、複数の投資対象に投資をしていれば、一部が失敗しても、一部は成功するという考え方です。分散投資には前述の通り、さまざまな分散投資がありますが、まずは代表的な分散方法として投資対象の分散について見ていきましょう。投資対象の分散は文字通り、投資対象とする資産を複数用意し資金を分散して投資します。
2-1 ロボアドバイザーにおける投資対象の分散とは
ロボアドバイザーでは幅広い資産を投資対象としており、複数の資産の組み合わせによって資金を分散することでリスクの低減が図られています。ロボアドバイザーの投資対象は、株式や債券などの有価証券のほか、通貨、土地・建物などの不動産、金や原油などの現物資産まで非常に広範囲です。
一般的に、株式は債権よりもハイリターン・ハイリスクといわれますが、有価証券と不動産、有価証券と現物資産などにおいてもリターンとリスクは大きく異なります。さらに、株式投資ひとつをとっても投資対象は豊富、リスクとリターンにも差が出てくるため、どの資産にどのような配分で投資するかによってリスクを減らすことも可能なのです。
2-2 投資対象の分散の具体的な方法
一般的にロボアドバイザーの資産運用プランにはハイリスク・ハイリターンからローリスク・ローリターンまで複数の運用タイプが用意されており、ユーザーの属性(年齢・年収・貯金額など)をもとに投資対象の組み合わせ・配分が決定されます。投資対象の組み合わせや配分を調整することによって、リスクを低減しながらも自分の期待する収益率を目指すことが可能です。
例えば、株式会社お金のデザインが提供するロボアドバイザーであるTHEO(テオ)では、対象資産は次の9つに分類されています。
- 新興国株式
- 先進国債権
- 新興国債権
- 投資適格債権
- ハイイールド債権
- リート・不動産
- 通貨
- コモディティ
THEO(テオ)では、これらの資産から構成される海外ETFを対象として投資が行われ、運用タイプはリターンやリスクなどが異なる「グロース」「インカム」「インフレヘッジ」の3つに分けられます。「グロース」は世界の株式市場の成長と同程度の高いリターンを、「インカム」はポートフォリオの価格変動幅を低くし安定したインカムを、「インフレヘッジ」は資産の実質的価値の保全を、それぞれ目指すポートフォリオです。
THEO(テオ)ではこれらのポートフォリオの比率をユーザーの投資方針に応じて設定することで、リスク許容度に応じた収益率を実現しています。例えば、あるユーザーのポートフォリオでは、グロースが55%、インカムが30%、インフレヘッジが15%というような組み合わせで収益率5%を目指すという設定がされることになります。
このようにロボアドバイザーでは、投資家が求める収益率やリスク許容度に応じて最適な資産へ投資できるように設計・運用されています。
3 投資国の分散
投資対象資産を分散させる以外に、リスクを抑える方法には投資国を分散する方法もあります。投資する国や地域を1つに集中させず、複数に分けて投資を行うことで政治的、経済的なリスクによる損失リスクを低減させることができます。
3-1 ロボアドバイザーにおける投資国の分散とは
世界各国の経済状況はさまざまで、日本のように低成長を維持する国もあれば、中国のように近年高度経済成長を実現してきた国もあります。また、アジアの中には高い成長率を期待できる国もあり、投資する国・地域によってリターンとリスクが大きく異なるのです。例えば、2015年の各国の経済成長率を見ると全世界「3.1%」、日本「0.59%」、米国「2.6%」、中国「6.8%」、インド「7.3%」、ミャンマー「8.5%」となっています。
日本のように経済成長が低い国や地域の資産だけに投資するとリターンは少ないですが、リスクも低くなります。逆に成長率が高いミャンマーなどに集中して投資すればリスクは高くなりますが、高いリターンを期待することもできます。こうしたリターンとリスクを考慮して投資先の国や地域の分散をすることによって、リスクを抑えながら目的となる収益を目指すことができます。
3-2 投資国の分散の具体的な方法
同じ国や地域の資産は同じようなリスク特性を持っているケースが多いため、ポートフォリオには異なる国・地域などの地理的な分散を加味した資産を加えること重要になります。どのような国や地域に分散させるかはロボアドバイザーによって異なりますが、分散させる国や地域が多いほどリスクの低減につながります。
例えば、THEO(テオ)の場合、ポートフォリオは約40種類のETFから構成されており、そのETFの資産の国・地域は86にもなります。同社のホームページで示されている投資対象の地域別構成比によると、米国「72.2%」、アジア・オセアニア「12.5%」、欧州「2.5%」などとなっています。資産別にみると、株式ではメキシコ、米国、韓国、台湾、日本、ドイツ、その他新興国などで、債券は主に米国、不動産では米国のリートや不動産株などです。
4 時間の分散
投資対象や国を分散させた後に投資家が考えるべき分散は「時間の分散」です。投資対象や国を分散させ、さらに投資するタイミングを一度に集中させず複数回に分けることによって、投資対象の値動きに左右されることなく購入額を一定水準に保つことが可能です。
4-1 ロボアドバイザーにおける時間の分散とは
具体的な時間の分散の方法には、「あらかじめ決めた時期までに何回かに分けて投資する」「一定額を毎月投資する」方法が考えられます。株式や投資信託のほか、金などの現物資産において毎月定額で購入する積立投資などが時間の分散にあたります。
株式や金などの時価で売買される資産は常に変動するため、価格が上昇すれば一定額で購入可能な資産は少なくなり、価格が下落すれば一定額で購入可能な資産は多くなることになります。つまり、投資する時期を何回かに分けることで購入価格のバラつきが小さくなり、時価が下落した場合の影響も小さくできるわけです。
これまでの世界経済は景気の好況や不況を繰り返しながら長期的には上昇してきており、IMFによれば2018年と2019年にそれぞれ3.9%成長すると予測されています。企業や経済が成長するという前提に立てば投資対象の時価も右上がりのトレンドを描くため、長期投資をしていれば投資対象の一時的な値動きによって資産価値を損なう可能性は少なくなるのです。
4-2 時間の分散の具体的な方法(ドルコスト平均法)
時間の分散した投資の代表的な手法であるドルコスト平均法を紹介しましょう。
ドルコスト平均法の投資方法
ドルコスト平均法は、特定の投資対象を同額で購入し続ける投資方法です。例えば、下表のようにある投資信託を毎月1万円ずつ購入していきます。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
基準価格 (単位:万円) |
1 | 0.8 | 0.8 | 1 | 1.2 | 1 | – |
購入金額 (単位:万円) |
1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 6 |
購入口数 (単位:万) |
1 | 1.25 | 1.25 | 1 | 1.2 | 1 | 6.33 |
*基準価格は1万口あたりの価格
上表では、4月〜9月まで毎月特定の投資信託を1万円ずつ購入し合計で6万円を投資した結果をあらわしています。仮に、4月に6万円で一気に投資信託を購入した場合には6万口の保有となりますが、ドルコスト平均法で購入をすると6.33万口の保有となり、0.33万口多く購入できることになります。
このように、ドルコスト平均法では長期的には購入価格を平均化できるため、時価の変動の影響を小さくできます。ドルコスト平均法は、一度にまとまった投資をした後に時価の変動によって売却してしまうといったことも起こりづらい投資方法ですので、結果的に投資を継続してリターンを得やすいという特徴があります。
ロボアドバイザーでのドルコスト平均法の投資
ロボアドバイザーではドルコスト平均法の投資にあたる機能として「積立投資」機能が用意されています。例えば、「THEO積立」は決まった日に決まった金額を自動入金できるサービスで、毎月もしくは自由に設定した月に一定額が自動的に積み立てられます。THEO積立は最小額が1万円からで、1千円単位での積立額の設定のほか積立の中止や再開も可能で、その手続はパソコンやスマートフォンから簡単に行うことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ロボアドバイザーはこうした3つの分散投資を自動で行っているため、初心者や若い人でも少額から安心して始めることができます。また、積立投資は、長い期間にわたって資産を運用し増やしていく投資法であるため、年齢が若いほど大きな成果を期待できます。
各社が提供するロボアドサービスにはそれぞれに個性や固有の特徴があるため、ロボアドバイザーを選ぶ際には、投資対象の種類をはじめ、投資やリスク分散の方法、必要経費、利回り・運用実績、さらに市況の大きな変動など緊急時における危機回避能力など、各機能を総合的に判断すると良いでしょう。
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