東証プライム上場企業100%子会社のロードスターインベストメンツ株式会社が運営するオーナーズブックは投資家から高い信頼を得ていますが、最近投資家に対してエクイティ型ファンドの提供を始めました。
このエクイティ型ファンドは、これまでのソーシャルレンディング案件とは一体、どのような点が異なるのでしょうか。その点について詳しく特徴を見ていきます。
目次
- 「融資」ではなく「投資」である
1-1.オーナーズブックに返済義務はない
1-2.利益も損失もまっさきに追う立場 - エクイティ型ファンドのメリット
2-1.利回りが高い
2-2.売却益が得られる
2-3.投資先物件の情報が明らかになっている - エクイティ型ファンドのデメリット
3-1.利益は目安でしか無い
3-2.投資資金が長期間拘束される
3-3.不動産市場が不興になった場合、影響を大きく受ける - エクイティ型ファンドとソーシャルレンディングの手順の違い
4-1.余裕資金を入力する必要がある
4-2.投資枠を確保してから入金をおこなう
4-3.分配は年1回 - まとめ
1.「融資」ではなく「投資」である
エクイティ型ファンドのソーシャルレンディングとの最も大きな違いは、融資ではなく、『投資』である点です。ソーシャルレンディングは貸金業法に則って運用されており、投資先の名前などが明らかになっていません。
しかし、エクイティ型ファンドは、ロードスターキャピタルが直接運用する不動産に投資します。そのため投資家に対する分配金の出所は融資の貸付金利ではなく、不動産の運用益や売却益となっています。
不動産を運用して得られた利益に対する『「不動産信託受益権』への投資なのです。
1-1.オーナーズブックに返済義務はない
融資ではないため、投資家から集めた資金を返済する義務はオーナーズブックにありません。仮に運用で全く利益が出ない、不動産が売れずに元本が0円になってしまった場合でも、オーナーズブックは投資家から集めたお金を返済しなくてもよいのです。
そのためソーシャルレンディングに比べれば、ハイリスク・ハイリターンと言えます。その代わり、きちんと換金対象となる不動産の存在自体を明らかにしています。
みんなのクレジットが行ったような虚偽行為、つまり、担保を設定しているのに実際には不動産担保がなかったというリスクはありません。あくまで返金されないのは、不動産を運用しても利益が出なかった、売却しても0円になったという、ありえないレベルでの話だけです。
1-2.投資家は、利益も損失もまっさきに負う立場
エクイティ型ファンドに投資した人は、利益が出た場合は優先して分配金を受け取ることができます。逆に損失が出た場合には、エクイティファンドの投資分から損失を負う形になります。
オーナーズブックでは今回のエクイティ型ファンドも、実際にはメザニン型ローン、シニア型ローン、そしてエクイティ型ファンドと、3つの資金調達手段を用いています。
仮にメザニン型ローン、シニア型ローン、そしてエクイティ型ファンドで1億円ずつ資金を調達して3億円の不動産物件を購入したとします。運用期間終了後に3億5千万円で売ることができれば、元本込みで1億5千万円がエクイティ型ファンドの投資家へ分配されます。この場合、大変大きな利益を確保できます。
しかし、2億5000万円でしか売れなかった場合、5千万円の損失はエクイティ型ファンドの投資家が負います。メザニン型ローン、シニア型ローンの投資家は特に損失を負うことはありません。
2.エクイティ型ファンドのメリット
エクイティ型ファンドのメリットを見ていきましょう。
2-1.利回りが高い
オーナーズブックで現在提供されているエクイティ型ファンドの利回りは、7%です。オーナーズブックがこれまで運用してきたソーシャルレンディング案件を見ると、利回りは4.5%や5%が多く、ソーシャルレンディング業界の平均的な水準と比べると低い数字でした。
その分安定性は高かったのですが、投資家の中には「オーナーズブックは利回りが低い」と敬遠する人もいたのです。
今回のエクイティ型ファンドのように利回り7%であれば、ソーシャルレンディング業界の水準と同程度の数字であり、比較的高い利回りを得ることが可能です。
2-2.売却益が得られる
エクイティファンドは1年に1回、収益が配当されることになっています。そういったインカムゲインだけではなく、物件を運用して売却益が発生すれば、最終的にその利益も受け取ることができるのがエクイティ型ファンドの大きな特徴です。
インカムゲインとキャピタルゲインの二つの利益が得られますので、不動産市場の上昇時に売却すれば、物件価格が購入時よりも大きく値上がりしている可能性もあります。最終的なリターンが、当初予定されていた数字よりも高くなる可能性があるのです。
2-3.投資先物件の情報が明らかになっている
案件情報を確認すれば分かるように、今回のエクイティ型ファンドの投資対象は、
- 住所
- 築年数
- 現在の入居率の数字
など、細かい情報が投資家に明らかにされています。本当にこの案件に投資してそれだけの利益を見込むことができるのか、将来的に売却が狙える地域なのかといった情報を確認できますので、投資家への情報量は非常に多いと言えます。
不動産で利益を出すためには立地が重要と言われます。東京都の不動産案件といっても、23区内の千代田区と都市部では、将来的な地価の推移は大きく違うでしょう。
第1号案件に関しては秋葉原駅近くという非常に立地の良い場所であるため、需要がなくなる可能性はほとんどないエリアだと言えます。そういった不動産物件の価値を考えながら投資できるのも、リスクの軽減に役立ってくれます。
3.エクイティ型ファンドのデメリット
では、エクイティ型ファンドのデメリットやリスクには一体、どういったものがあるのでしょうか。
3-1.利益は目安でしか無い
今回の案件では7%と、これまでの同社の案件よりも高い利回りが提示されています。ただし、これはあくまでも目安でしかありません。
分配金がこの水準で支払われる可能性はありますが、最終的に投資していた資金がどれくらい戻ってくるのか、蓋を開けてみるまでわからないのです。損失が発生する可能性もあります。
3-2.投資資金が長期間拘束される
今回の第1号エクイティ型ファンドの運用期間は2年10ヶ月。投資開始と返済までのタイムラグを含めれば約3年間、資金が拘束されます。しかも、このエクイティ型ファンドは途中解約ができないため、確実に資金が拘束されてしまうのです。
運用期間の間に不動産が値下がりしたり、逆に絶好の投資タイミングが訪れたりしても、資金を自由に運用できないリスクがあります。長期間の運用案件は、収入が安定するというメリットがある一方で、リスクも高いのです。
3-3.不動産市場が不興になった場合、影響を大きく受ける
オーナーズブックのエクイティ型ファンドは、不動産物件そのものに投資する案件です。
不動産市場で何か外的な要因による不況が発生したら、その影響を大きく受けます。家賃収入自体は景気には左右されにくいですが、売却益は大きく減る可能性が高いです。
ソーシャルレンディングと比べると、損失が発生する可能性も高いです。
4.エクイティ型ファンドとソーシャルレンディングの手順の違い
実際に、オーナーズブックのエクイティ型ファンドに投資してみたいと思う人はいるかもしれません。投資の手順は、同社のソーシャルレンディング案件とはかなり異なっています。その手順についてもお伝えします。
4-1.余裕資金を入力する必要がある
エクイティ型ファンドの投資にあたっては、余裕資金の金額を入力する必要があります。
オーナーズブックではエクイティ型ファンドのリスクを投資家によく理解してもらうために、まず、投資に回せる資金がどの程度か、数字を入力させます。そして、常に余裕資金の範囲内でしか投資できないことになっています。
例えば投資に回せる余裕資金が500万円あったとしても、エクイティ型ファンドには500-300万=200万円しか投資できないのです。それだけオーナーズブックでも、エクイティ型ファンドはリスクが高いと感じているのです。
そのため投資家に対し、リスクをきちんと理解させる手順を取っているのです。
4-2.投資枠を確保してから入金をおこなう
従来、オーナーズブックでソーシャルレンディング案件に投資をするときは、まず、投資用資金を個人ページ内のデポジット口座に振り込んでいました。そして、振り込んだ資金の範囲内で投資をするという手順でした。
しかし、エクイティ型ファンドでは、まずは投資枠を確保し、それから指定された口座に入金する手順となっています。急な案件募集で資金を募集開始までに入金できない時でも、投資枠を確保すれば、募集開始数日後の入金でも投資が可能です。
「ついつい入金を忘れてしまった」というケアレスミスがあっても、投資できるのはメリットと言えるでしょう。
4-3.分配は年1回
オーナーズブックのエクイティ型ファンドの分配金は、年1回です。オーナーズブックのソーシャルレンディングでは3ヶ月に1回の分配でした。そのため複利投資もしやすかったのですが、エクイティ型ファンドは1年に1回と、複利投資できる機会が限られています。
短いスパンの分配金を再投資に回すタイプの投資家にとっては、複利投資の機会が失われますので収益性の低下につながります。
5.まとめ
エクイティ型ファンドは大きな利益が狙えますが、その反面、損失が発生するリスクを負う投資手法です。オーナーズブックでもそのことは重々認識しており、投資家に対してリスクの大きな投資案件だということをWEBサイト内で通知しています。
投資家が得られる情報量も多いので、自分でリスクとリターンを判断しながら投資の可否を判断しなくてはいけません。結果的にはオーナーズブック内での選択肢が増え、ローリスク・ローリターン案件とミドルリスク・ミドルリターン投資ができるようになったのです。
良くも悪くも不動産市場の影響を大きく受けますので、この種類の案件で利益を出していくためには、不動産市場についてよく勉強しておく必要があるでしょう。不動産に詳しい人であれば、良い案件を見極めて大きな利益を手にする可能性もあります。
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