下落局面で投資を始めてもいい?主な各投資対象の基本的な運用方法

株価指数は乱高下を繰り返しながら上昇トレンドを描いています。背景には世界経済が成長していることが挙げられます。

2022年に入り、米国FRB(米連邦準備制度理事会)が高インフレを背景に金融政策を緩和から引締めに舵を切ったため、株式市場は下落基調にあります。しかし、世界経済は成長過程にあるため、株価の下落直面においては長期投資を念頭においた運用を始める良いタイミングだと言えそうです。

そこで今回は、株価の下落局面における主な投資対象の基本的な運用方法について解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年7月1日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 世界のGDPと世界株式時価総額
  2. 株価下落局面での基本的な運用方法
    2-1.投資信託
    2-2.株式
    2-3.国債
    2-4.社債
    2-5.インバース・インデックスETF
  3. まとめ

1 世界のGDPと世界株式時価総額

世界のGDP(国内総生産)と世界株式時価総額には強い正の相関関係があります。世界のGDPと株式時価総額を、比較可能な2003年末時点と2020年末時点で比較すると、世界のGDPは約39兆ドルから約84兆ドルに、株式時価総額は約30兆ドルから約103兆ドルに成長しています。

投資尺度の一つに、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が重視しているバフェット指数があります。この指数は、株式時価総額を名目GDPで割った指数で、1を上回ると株式市場が割高、下回れば割安とされています。

IMF(国際通貨基金)は世界の成長率を2022年、2023年ともに3.6%と予想しています(参照:IMF「世界経済見通し 2022年4月」。世界経済は今後も成長過程にあるため、株式時価総額も増加傾向にあると考えられます。

2 株価下落局面での基本的な運用方法

株価下落局面での基本的な運用方法について、投資信託、株式、国債、社債などの投資対象ごとに解説します。

2-1 投資信託

株価下落局面では、株価が大きく変動するため、投資信託の基準価額も大きく変動する可能性があります。底値だと思い大きな資金を投資してしまうと、さらに大きく下落し大きな損失を出してしまう可能性があります。そのため、一度に大きな金額を投資するのではなく、定期的に一定額ずつ投資する積み立て運用が適していると言えます。

定期的に一定額を投資し、価格が安い時には多く買い、高いときに少なく買う投資方法(ドルコスト平均法)を利用することで、長期的な資産形成が可能となります。つみたてNISAは、年間の投資金額上限が40万円(ひと月:33,333円)で、分配金や売却益が20年にわたり非課税です。株価下落局面は、つみたてNISAを始めるチャンスかもしれません。

2-2 株式

株価下落局面では、割安な銘柄に比べて割高な銘柄の下落率が大きくなる傾向があります。成長期待で上昇した割高水準(高PER)銘柄の水準訂正が起きることが考えられ、このように期待で株価が釣り上げられていた銘柄は急落する可能性を秘めているため、株価下落局面では避けるようにしましょう。銘柄によっては、株価が半値以下に下落してしまう可能性もあります。

一方、配当利回りが高く、PER(株価収益率)が低い割安銘柄は、下値が堅い傾向があります。そのため、株価下落時には割安銘柄に投資する方法が基本的な運用方法と言えそうです。

2-3 国債

債券の利回りと価格は逆の動きをします。利回りが上昇すると債券価格が下落し、金利が下がると価格が上昇します。そのため、国債に投資する際には、株式市場が下落している要因に注目することが重要です。

2022年に入ってから米国株式市場は下落傾向にあります。背景には、FRB(米国準備制度理事会)が高インフレを抑えるために、金融引き締め(利上げ)に踏み切ったことがあります。利上げにより、国債利回りは上昇。2022年1月に0.7%台であった2年国債の利回りは、2022年6月3日時点で約2.7%に上昇しました。

今後も継続的に利上げが行われることが想定されており、金利の上昇傾向が予想されます。今回のような利上げ局面では、国債に投資する環境ではなさそうです。

一方で、株価下落要因が景気減速による場合には、中央銀行が利下げに踏み切る可能性が高いため、国債への投資に適していると言えそうです。景気減速に伴い株価が下落した事例としては、リーマンショックやコロナショックが挙げられます。

2-4 社債

株式市場の調整局面では、社債価格は下落する傾向があります。社債の利回りは、償還年限がほぼ同じ国債の流通利回り(市場で取引されている利回り)が基準となっており、スプレッド(上乗せ金利)で売買されています。このスプレッドを市場ではTスプレッドと呼んでいます。Tスプレッドは、社債市場の需給や企業の業績により、日々変動しています。

利上げを伴った株式市場全体の調整局面では、利上げにより企業業績の悪化が懸念されるためTスプレッドが拡大する傾向にあります。このことは、償還年限が同じ国債よりも価格が大きく下落することを示しています。株式市場の下落局面は、社債に投資するタイミングではないと考えられます。

2-5 インバース・インデックスETF

株価の調整局面が続くと予想される場合には、インバース・インデックスETFに投資する方法も考えられます。

インバースとは逆という意味で、対象の株価指数が下落するとインバース・インデックスETFの価格が上昇します。一方、対象指数が上昇するとインバース・インデックスETFの価格は下落します。

インバースETFには、指数の変動に対してレバレッジが2倍・3倍と変動するように設計されている銘柄もあります。リスクが高いため、投資初心者の方が投資する場合にはレバレッジがかけられていない1倍のETFに投資するようにしましょう。なお、インバースETFは長期運用には向かない金融商品なので注意しましょう。

東京証券取引所でレバレッジ1倍の日経平均を対象としたETFには、ダイワ上場投信-日経平均インバース・インデックス(1456)、NEXT FUNDS日経平均インバース・インデックス連動型上場投資(1571)、日経平均ベア上場投資(1580)があります。TOPIXを対象としたETFとしては、ダイワ上場投信―TOPIXインバース(-1倍)指数(1457)、TOPIXベア上場投信(1569)が挙げられます。

まとめ

株式市場の下落局面で投資を始めても大きな問題はありません。株価下落時には、ドルコスト平均法を活用した投資信託の積立が適しています。世界経済は成長過程にあるため、長期的にみると株式市場も同様に成長する可能性が高いためです。

株価下落局面で株式に投資する場合には、長期投資を前提としてバリュー株に投資するという方法もあります。

なお、国債や社債に関しては、中央銀行が金融引き締め政策をとっている場合は投資のタイミングではありません。

このように投資対象によって運用スタンスが異なるため、注意が必要です。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。