NISAの始め方は?証券会社選びや銘柄選びなど手順に沿って解説

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NISAは投資で得られた利益が非課税となる制度ですが、1人1口座しか開設することができず、取引できる金融商品や発生する手数料は各金融機関で異なるため、証券会社選びや銘柄選びでは慎重に検討する必要があります。

そこで、この記事ではNISAの概要や証券会社の選び方、銘柄の選び方などNISAを始めるために押さえたいポイントをご紹介します。NISA制度について詳しく知りたい方、投資目的に合った銘柄選びで悩んでいる方は、参考にしてみてください。

※本記事は2022年6月18日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. NISAとは
    1-1.NISAのメリット
    1-2.NISA口座開設の流れ
  2. NISAの始め方
    2-1.証券会社の選び方
    2-2.銘柄の選び方
  3. NISAの注意点
    3-1.損益通算と損失の繰越控除ができない
    3-2.2024年から新しいNISAに移行予定
  4. まとめ

1 NISAとは

NISAとは2014年1月1日から始まった少額投資非課税制度です。2018年1月1日から新たに始まった「つみたてNISA」と区別するために「一般NISA」と呼ばれており、投資で得た利益に税金がかからない税制優遇制度となります。

項目 年間非課税枠 非課税保有期間 対象となる金融商品
NISA(一般NISA) 120万円 5年間 国内株、外国株、株式投資信託、国内外ETF、国内外REITなど
つみたてNISA 40万円 20年間 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託

NISAの対象商品は、株、投資信託、ETF、REITなど幅広く、これらの取引から発生した売却益や株式の配当金、投資信託の普通分配金などは全て非課税となるのが特徴です。

本来、投資で得られた利益に対して20.315%の税金が課されるため、利益が出た場合も手元に残るのは税引き後の金額になります。例えば、株式の売却で100円の利益を得た場合、約20円が税金として差し引かれ、実際に投資で増えた金額は約80円となります。

しかし、NISAを利用した取引は非課税なので、上記の例では利益として得た100円が全て手元に残ることになり、NISAを利用しない投資と比べて資産を効率的に増やすことも可能です。

なお、NISAは、年間120万円までの新規投資を最長5年間非課税で運用することができます。現行NISAは2023年まで新規投資が可能なため、2022年にNISAで取引を始めると2022年(120万円以内2026年まで運用可)と、2023年(120万円以内2027年まで運用可)の2年間で最大240万円の投資が可能です。

一方、つみたてNISAは同様に投資で得た利益が非課税となる制度ですが、長期投資に向いている一部の投資信託のみが投資対象となります。年間の新規投資枠の上限は40万円、最長20年間(最大800万円)の積立投資で得られた利益が非課税となる制度であり、NISAよりも長い期間をかけて資産形成を図れる仕組みとなっています。

1-1 NISAのメリット

NISAの最も大きなメリットは、上記の通り投資で得た利益が非課税となる点です。また、NISAは取引できる金融商品が豊富な点もメリットで、同じように運用益が非課税となるつみたてNISAと比べても取引の自由度が高くなります。

つみたてNISAは、長期積立投資が前提となる制度で、長期・分散投資のできる投資信託が投資対象です。一方、NISAでは国内外の株式やETF、REITなどに投資できるため、短期間で利益を目指す運用も可能です。

また、NISAは年間の投資枠内であれば投資の時期や金額などを自由に決めて取引できるため、新たに上場する会社の株式を上場前に購入し、上場後にすぐ高値で売却するIPO取引でも活用できます。

1-2 NISA口座開設の流れ

NISAを始める際は、取扱いがある金融機関で専用のNISA口座を開設する必要があります。具体的な手順は以下の通りです。

NISA口座を開設する金融機関の決定

NISA口座は、各金融機関を含めて1人1口座のみ開設可能です。複数の金融機関で申し込むことはできないため、取扱商品や手数料などを考慮した上で慎重に口座開設する金融機関を決定します。

口座開設申込み

ほとんどの金融機関はネットや郵送で申し込み手続きをすることができ、店舗を構えている金融機関では窓口での手続きも可能です。

証券会社でNISA口座を開設する場合、事前に証券総合口座の開設が必要です。また、銀行で開設する場合も、普通預金口座と投資信託口座(特定口座)が必要になります。

必要書類は口座の開設状況によって異なりますが、証券総合口座の開設と同じで基本的に本人確認書類やマイナンバーを確認できる書類を用意します。

税務署での審査

口座開設までの日数は、金融機関や申込み方法によって異なりますが、申込みが完了すると金融機関でのNISA口座の開設手続きは完了となります。しかし、口座開設後、税務署で二重口座などの審査が行われるため、金融機関から審査承認の連絡があるまで口座開設の手続きは完了しません。

税務署への申請は、金融機関が行うため特別な手続きは不要で、金融機関での口座開設手続きが完了した後、NISA口座で取引可能になります。

しかし、他の金融機関でNISA口座を開設している二重口座などが確認されると、取引をした後でも非承認となることがあります。非承認の場合、NISA口座は無効となり、すでに取引をしていた場合、税制優遇が適用されません。

このほか、過去にNISA口座を開設していた場合、金融機関の変更手続きなども可能なため、事前に過去のNISA口座の開設状況などを確認してから申込み手続きを行うことが大切です。

2 NISAの始め方

NISA口座は、1人1口座の開設なので、金融機関選びは重要なポイントです。また、NISAの税制優遇メリットを最大限に活かすためには、投資目的に合った銘柄選びも欠かせません。以下、具体的な選び方を確認していきましょう。

2-1 証券会社の選び方

NISA口座で取引できる商品と手数料は金融機関によって異なります。豊富な選択肢の中から投資目的にあった銘柄を選びたい場合、株式投資信託のみの取り扱いとなる銀行や信託銀行ではなく、株やETF、REITなども取引できる証券会社などが向いています。

以下は、NISA口座での取扱商品の豊富さや手数料の安さが強みの証券会社です。それぞれの特徴を比較しながら確認してみましょう。

証券会社 国内株売買手数料 NISA口座での外国株取引 IPO株 投資信託取扱銘柄数
SBI証券 無料 9か国(米国、中国、韓国など) 2,597本
楽天証券 米国、中国、アセアン各国 × 2,565本
マネックス証券 米国、中国 1,234本
松井証券 × 1,600本
SMBC日興証券 137円~ × 1,046本

SBI証券は、国内株の売買手数料や海外ETFの買付手数料が無料で、コストを抑えた取引が可能です。外国株や投資信託の取り扱いも豊富で、証券会社の中でもトップクラスの実績を持つIPO取引にも対応しています。

楽天証券も国内株の売買手数料が無料で、海外ETFもキャッシュバックにより買付手数料が実質無料になります。外国株や投資信託の取り扱いも豊富なほか、ショッピングサイトやポイントプログラムを生かせる楽天経済圏も強みの一つです。

マネックス証券も、国内株の売買手数料が無料で、米国株と中国株の買付手数料もキャッシュバックで実質無料になります。外国株の取扱銘柄はSBI証券や楽天証券と比較しても豊富なので、NISA口座で外国株を取引する際の検討候補となります。

松井証券は、NISA口座で外国株の取扱いこそ無いものの、国内株は売買手数料無料で取引可能です。また、利用者本人に代わって運用してくれるロボアドバイザーの「投信工房」を無料で利用できるため、初心者や経験の浅い方にも適しています。

SMBC日興証券は、国内株の売買手数料が有料となっているため、取引コストは上記証券会社に比べるとやや高めです。しかし、IPO取引では投資家への配分株数が多くなる主幹事を務めることが多いなど実績豊富なので、NISA口座でIPO取引をしたい方にも向いています。

2-2 銘柄の選び方

NISA口座で運用する銘柄は、各金融商品の特徴やリスクを知った上で、投資目的に合ったものを選ぶことが重要です。

株式

売却益と配当金が株式投資の主な利益です。短期間で利益を目指す場合は売却益狙い、中長期的な目線で利益を目指す場合は売却益と配当金の双方でリターンを狙えます。しかし、銘柄によっては、倒産など極めて大きいリスクを伴うこともあるため、個別の情報収集と分析が必須です。

なお、株主優待はNISA口座の取引でも受けられるため、配当金と株主優待のある大型株で中長期的な運用も可能です。

投資信託

投資信託は、専門知識がなくても国内外の様々な金融商品に投資できます。投資信託の銘柄は、組入資産として株式を中心とするハイリスク・ハイリターンなものや、国内債券を中心とする低リスクの銘柄まで、様々な種類があります。

銘柄を1つ購入するだけで様々な金融商品に分散投資できる一方、運用コストである信託報酬などの手数料も定期的に発生するため、低コストの銘柄選びがポイントになります。

ETF

ETFは上場投資信託とも呼ばれる金融商品で、株式や債券、金や原油などの指数に連動した運用成果を目指すファンドが代表的です。株式のようにリアルタイムで取引できるのが特徴ですが、株主優待などはありません。

取引手数料は証券会社によって異なるため、低コストの証券会社を選ぶことがポイントです。

REIT

REITは不動産投資信託とも呼ばれ、REITを通じて間接的に不動産に投資して物件の賃料収入や売却益などを配当として受け取れる金融商品です。

REITは、多額の資金が必要になる不動産投資を少額から行えるほか、REIT法人の税制優遇により比較的配当の高い銘柄などもあります。しかし、不動産価値の下落や賃料収入の減少、自然災害などの価格下落リスクがあるため、銘柄を選ぶ際は対象となる収益物件の運用方針やリスクなども事前に確認しておくことが重要です。

3 NISAの注意点

NISA口座で取引を始める際の注意点についても確認してみましょう。

3-1 損益通算と損失の繰越控除ができない

NISA口座は、特定口座などと異なり損益通算できません。損益通算とは、所得の計算上発生した損失を利益と相殺できる制度で、確定申告することによって納税額を軽減することができます。

また、NISA口座で発生した損失は確定申告による損失の繰越控除もできません。損失の繰越控除とは、利益と相殺できない損失が発生した場合にその損失を確定申告により翌年以降に3年間繰り越し、その後の繰越期間内に利益が発生したら相殺できる制度です。

例えば、2021年度に10万円の損失が出た場合、確定申告によって2022年度〜2024年度まで損失を繰り越すことが可能です。一方、2022年度に10万円の利益が出た場合、繰り越した損失と相殺することで利益が0円になりますが、NISA口座ではこれを適用することができません。

このように、NISA口座では損益通算や損失の繰越控除ができないことから、損失が発生した場合、結果として税負担が重くなる可能性もあります。

3-2 2024年から新しいNISAに移行予定

現行NISAの新規投資は2023年までとなっており、2024年から新しいNISAが始まります。新NISAの年間非課税枠は、積立投資用の1階部分20万円と、2階部分の102万円で合計122万円となっており、つみたてNISAと同様に1階部分を現行NISA制度と同じ内容の2階部分と併用できる点が特徴です。

ただし、過去にNISA口座での投資経験などがない方は、2階部分のみを利用することはできず、原則1階部分の積立投資をしながら2階部分を利用することになります。

現行のNISA口座で運用している商品は、運用期間の5年が終了した段階で、新NISAにロールオーバー可能と予定されており、5年間の非課税期間終了後は、新NISAの新規投資枠を利用して同じ商品で投資を継続することが可能です。

このように、現行のNISAは近い将来新しい制度へ移行することが決定しています。移行後の新しいNISAとの兼ね合いも検討した上で、現行NISAの利用について検討する必要があります。

まとめ

NISAは、年間非課税枠内の投資で発生した利益が最長5年間非課税となるメリットの大きい制度です。運用できる金融商品の種類も豊富で、短期から中長期まで投資スタイルに合わせた商品選択が可能となっています。

なお、NISA口座は原則1人1口座となっているほか、取扱商品や手数料などを詳しく調べた上で口座開設する金融機関を決定することが大切です。また、損益通算や損失の繰越控除ができないという注意点もあるため、それぞれの金融商品の特徴とリスクを把握した上でリスク許容度に応じて銘柄を選んでみてください。

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