エンジェル税制、どう変わる?2020年の「エンジェル投資」解説セミナー

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ファンディーノ代表取締役柴原氏

ベンチャー企業への投資促進として、中小企業庁によるエンジェル税制が見直されています。株式投資型クラウドファンディング業界大手のファンディーノを運営する株式会社日本クラウドキャピタル(現 株式会社FUNDINNO)が、1月14日(火)に中小企業庁とのコラボイベント「”ネットで”『エンジェル投資』徹底解剖」が開催しました。

エンジェル投資とは、個人投資家によるベンチャー企業への投資を指し、エンジェル投資を行う個人投資家に対してエンジェル税制と呼ばれる税制優遇があります。エンジェル税制では投資を行った年に総所得、株式譲渡益から控除することができます。2020年税制改正ではエンジェル税制の拡充が行われ、ベンチャー企業を対象とする株式投資型クラウドファンディングは今後注目が集まることが予想されます。

本イベントは3部で構成され、第一部では中小企業庁 創業・新事業促進課長の林揚哲氏による特別講演、第二部では林氏に加え、守屋実事務所の守屋実氏、株式評論家の坂本慎太郎氏、そしてファンディーノ投資家である黒田氏によるパネルディスカッションが実施されました。第三部ではファンディーノ代表取締役柴原氏がファンディーノの新サービスと今期の抱負について語りました。

第一部「創業・新事業の促進とエンジェル税制について」

第一部では、中小企業庁の林揚哲氏による2020年税制改正によるエンジェル税制の拡充についての解説がありました。林氏によると、昨年度の日本のエンジェル投資額は43億円で数年で増加傾向にあるものの、アメリカのエンジェル投資額2兆5000億円と比べて、市場の広がりに余地があるといいます。

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中小企業庁 林揚哲氏

そこで中小企業庁はベンチャー企業の支援を目的にエンジェル投資に対する税制上の優遇を強化しています。昨年エンジェル税制拡充として、対象ベンチャー企業の拡大や投資家の多様な層に対応した制度の改正を発表しました。

1. 投資対象企業要件を「設立後3年未満」から「設立後5年未満」へ改正

ITベンチャー企業の増加等を受け、開発期間や収益化に向けた準備期間が長期化しているベンチャーの資金調達を促進します。これにより、投資対象のベンチャー企業数が大幅に増加することが予想されます。

2. 経済産業大臣認定制度の拡充

エンジェル投資家の裾野拡大に向けて、ベンチャー企業の見極めができる事業者の認定制度が拡充されました。認定事業者を経由した投資の場合は投資企業の要件確認が簡素化されます。認定対象のファンドやクラウドファンディングへの投資を通して、エンジェル投資家になるハードルを下げることができます。

第二部「“ネットで”『エンジェル投資』徹底解剖」

第二部では株式投資型クラウドファンディングを巡る環境の変化や、ファンディーノが提供する個人投資家とベンチャー企業の関係、エンジェル税制の活用について中小企業庁の林氏、守屋実事務所の守屋実氏、株式評論家の坂本慎太郎氏、そしてファンディーノ投資家である黒田氏の4者によるパネルディスカッションが行われました。

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パネルディスカッションの様子

2018年度のエンジェル税制申請数のうち68%がファンディーノを利用しているエンジェル投資家だといいます。ファンディーノを通してエンジェル投資を行うと煩雑な税制申請が簡易化できることは大きな魅力です。

黒田氏によると「本当にシンプルで簡単に手続きができました。一方で、ベンチャーの代表の方によるとベンチャー企業側のエンジェル税制申請が煩雑なため、見送っているベンチャー企業の方が多いとのことでした。その部分は改善していただきたい」とコメント。対して林氏は「頂いたご意見を含め、さらに改善していかなければいけない」と述べました。

坂本氏も「意識の高い投資家は節税にも意識が高いので、こういった制度が進めばエンジェル投資の形が広がっていくことを期待したい。」と締めくくりました。

パネルディスカッションの最後に柴原氏は「挑戦している人がかっこいいという認識が広がり、そういう人を応援することで日本経済のボトムアップに繋がればと思います。株式投資型クラウドファンディングのマーケットを大きくするために、今年は投資家様にしっかりキャピタルゲインをお渡しする環境づくりをしていきたい」と抱負を語りました。

第三部「フェアに挑戦できる未来を創る-日本クラウドキャピタルの挑戦」

今回のセミナーを主催している株式投資型クラウドファンディング「ファンディーノ」は、国内取引量総計26.8億円を誇ります(2020年1月時点)。上場前の資金調達手段として、株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームを提供しています。

昨年末には最短5分で事業計画書が作成できるツール「FUNDOOR(ファンドア)」をリリースし、提供開始から3週間で300名の起業家に利用されています。ベンチャー企業が透明性の高い情報を開示することと投資家向けに情報提供をしやすくすることが狙いです。

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ファンディーノ代表取締役柴原氏

柴原氏は最後に、「今期は非上場株売買取引ができる株主コミュニティ制度の登録を含めて、非上場株取引市場の流動性を高めていくことにチャレンジしていきたい」と語りました。

まとめ

エンジェル税制の拡充、株式投資型クラウドファンディングへの大手企業の参入といった市場の広がりが感じられる株式投資型クラウドファンディング業界。今後の期待が高まります。

株式投資型クラウドファンディングが広げる「失敗があっても挑戦する人を応援したい」という想いは、停滞する日本経済に変革を起こすチャンスになるかもしれない。そんな可能性が感じられるセミナーでした。日本クラウドキャピタルでは、このようなエンジェル投資への理解を深められる勉強会を設けています。ぜひ足を運んでみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム

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