最近人気の投資手法の一つに、不動産投資型クラウドファンディングがあります。不動産投資型クラウドファンディングは、運用会社に資金を入金し、資金を集めた運用会社はそのお金を元に物件を購入後、転売や賃貸経営などで利益を出していきます。
間接的な不動産投資とも言える不動産投資型クラウドファンディングと、自分の手による不動産投資を比べた時、それぞれにどのようなメリットとデメリットがあるのかを比較してみました。
目次
- 不動産投資型クラウドファンディングのメリット
1-1.運用はプロに任せられ、手間がかからない
1-2.自由なタイミングで解約できる
1-3.利回りの数字も決して低くない - 不動産投資のメリット
2-1.実物資産を所有できる
2-2.収益性の高い物件の運用も可能
2-3.キャピタルゲインが期待できる - 不動産投資型クラウドファンディングのデメリット
3-1.自分で運用できない
3-2.利回り上昇が少ない
3-3.案件がないと利益が出ない - 不動産投資のデメリット
4-1.運用の手間がかかる
4-2.誰でも気軽に買えるわけではない
4-3.現金化に時間がかかる
4-4.損失も全て自分が負う - 不動産投資型クラウドファンディングを選ぶべき人とは?
- 不動産投資はこんな人に向いている
- まとめ
1 不動産投資型クラウドファンディングのメリット
不動産投資型クラウドファンディングの特徴として挙げられるメリットには、何があるのでしょうか。それぞれ見ていきましょう。
1-1 運用はプロに任せられ、手間がかからない
不動産投資型クラウドファンディングは、物件の運用を全て不動産会社の人間に任せることができます。そのため、自分で物件を購入したり、入居者を集めたりする手間がかかりません。投資した後は作業が発生しないので、不労所得に近い形での収入が得られます。
1-2 自由なタイミングで解約できる
現在、不動産投資型クラウドファンディングを提供している会社を見ると、任意のタイミングでの解約が可能となっています。つまり、運用面で収益性が低い場合や、資金を他の投資に回したい場合などに解約すれば、投資金が損なわれることなく返還されます。
1-3 利回りの数字も決して低くない
現在、日本で運営されている不動産投資型クラウドファンディング案件の利回りは、4.5%~8.0%となっています。これは一般的な不動産投資の収益率と比較しても、決して低い数字ではありません。区分マンション投資の利回りは5.0%で充分と言われますし、8.0%もの高い利回りの不動産物件はそれほど多くありません。
不動産投資型クラウドファンディングは、自分で運用する手間がかからないメリットがありながらも、収益性も悪くないのです。
2 不動産投資のメリット
では、自分でアパートやマンションを運営する不動産投資のメリットを見てみましょう。
2-1 実物資産を所有できる
不動産投資では、実物資産を所有できるメリットがあります。実物資産ですので自分で自由に売却できますし、不動産を担保に金融機関から融資が受けられます。
もちろん、固定資産税や都市計画税などの課税対象になるというデメリットはありますが、他社の活動に気取られないまま資産を自由に扱える点は、実物資産ならではのメリットと言えるでしょう。
2-2 収益性の高い物件の運用も可能
不動産投資型クラウドファンディングの利回りは、5.0%から8.0%です。自分の手による不動産投資の場合、それ以上に高い利回りを生み出すこともできます。
例えば、築古戸建てを購入し、リフォームをして貸し出せば、10%以上の高い利回りを得ることも可能です。その他にも、シェアハウス投資やトランクルーム経営で、20%以上の利回りを得る人もいます。
そう簡単に誰でもできるわけではありませんが、自分で物件をアレンジし、運用次第で収益性が上がる点は、不動産投資型クラウドファンディングにはない魅力です。
2-3 キャピタルゲインが期待できる
不動産投資は物件を賃貸に出して家賃収入を得る、いわゆるインカムゲインだけではなく、キャピタルゲインを得ることもできます。
物件を購入して家賃収入を5年得て、さらに売却時に購入時より高い値段で売ることができれば、二重の収入が得られます。特に都心の不動産は現在、値上がり傾向にあるため、キャピタルゲインも十分に期待できるのです。
3 不動産投資型クラウドファンディングのデメリット
では、逆に不動産投資型クラウドファンディングのデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
3-1 自分で運用できない
不動産投資型クラウドファンディングは、運営を完全に不動産会社に任せることになります。自分で運用できる裁量権はありません。投資経験者にとって芳しくない結果に終われば、「もっとうまいやり方があったのでは」「自分で運用できれば」と思うこともあるでしょう。
また、「なぜ、こんな物件ばっかりなのか」と、不満を持つこともあります。限られた条件下での投資対象の選定は、熟練不動産投資家にとっては不満材料や、懸念点になります。
3-2 利回り上昇が少ない
不動産投資型クラウドファンディングの利回りは、あらかじめ提示されています。ただし、その利益は運用益や売却益から捻出されますので、よほど予想を大きく上回る数字で売却できない限り、当初の利回りを上回ることはありません。
また、売却が想定通りにいかないこともありますので、利回りを下回るケースも起こり得ます。基本的には提示されている数字以上の利回りは得られないものだと思っておきましょう。
3-3 案件がないと利益が出ない
不動産投資型クラウドファンディングは、案件を提供する会社があって初めて利益が発生します。案件に投資できないと利益が発生しないため、例えば不動産投資型クラウドファンディングを提供する会社が倒産した、サービスを停止したなどの事態が発生すれば、投資家は利益を生み出すことができなくなってしまいます。
また、案件が提供されていても、投資したいタイミングに条件の良い案件がなければ、思ったような利益が得られません。ですので、運の良し悪しも大いに関係します。不動産投資型クラウドファンディングを提供する会社側の都合によって、投資ができずに儲けもゼロのケースがあるのです。
対して不動産投資は、自分で物件を購入して運営します。自分の意思によって利益を上げる、上げないが選べます。自分の裁量の有無は、収益面に大きく影響してくるのです。
4 不動産投資のデメリット
不動産投資のデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
4-1 運用の手間がかかる
物件を購入して運用を開始する不動産投資には、数々の手間がかかります。物件を購入するための手続きや時間、労力も煩雑ですし、物件を購入した後も不動産管理会社を決めて客付けを行い、時には修繕を実施してようやく貸し出せるようになります。修繕までした場合は、半年程度は見積もっておかなくてはいけません。
運用に関しても、退去が発生したら再度募集を行わなければいけませんし、入居者からの問い合わせやクレームに対応する必要もあります。不動産管理会社に大抵の作業は任せられますが、何の作業もしたくない人には向いていません。入居者募集や退去に伴うストレスも大きなものがあります。
4-2 誰でも気軽に買えるわけではない
不動産投資型クラウドファンディングは、1万円からの投資が可能です。
しかし、不動産投資では自分で物件を購入しなくてはいけませんので、まとまったお金が必要です。購入資金の大半は金融期間からのローン融資でまかなうことができますが、それでも金融機関の融資審査を通過するためには、信用と一定以上の収入が必要です。不動産投資は、誰でも気軽に始められるものではないのです。
4-3 現金化に時間がかかる
不動産投資で思ったように運用がうまくいかない、また、他の投資にお金を回すので売却したいという時は、自分の好きなタイミングで売却が可能です。ただし、すぐに現金化できるとは限りません。あくまでも需要と供給の関係で価格は左右されますので、自分が「この値段で売りたい」と思っていても、市場の状況次第でなかなか売れないこともあります。
また、買ってくれる人間が見つかっても、買主が資金を用意できなければ、購入の話は水泡に帰してしまいます。1~2ヶ月という短期間で不動産物件が売れるとは限りませんし、値下げした上に半年かけてようやく売れるということも珍しくありません。好きなタイミングで解約し、現金化できる不動産投資型クラウドファンディングと比べると、資産の流動性は低いと言わざるを得ません。
4-4 損失も全て自分が負う
また、不動産物件を売却して損失が発生した場合、損失は全て自分では負わなくてはいけません。不動産投資型クラウドファンディングでは、運用によって発生した損益はまず運営会社がさきに責任を負う契約となっています。運営会社で負いきれなかった損失(たとえば30%超等の損失が出たケース)の場合のみ、投資家の損失が発生するのです。
しかし、自分で不動産に投資している場合、そうはいきません。利益は全て自分のものになりますが、損失も全て自分の責任となります。
5 不動産投資型クラウドファンディングを選ぶべき人とは?
不動産投資型クラウドファンディングに向いている人は、どのような人でしょうか。それは若年層、そして、サラリーマンとしての本業がある人です。
不動産投資型クラウドファンディングは、わずかな資金から投資を始められますし、運用の手間が全くかかりません。投資した後は自動的にお金が増えるような感覚です。「投資後の相場のチェックが面倒、売買が面倒だ」という人でも、運用は全て管理会社に任せられます。自分でいちいち作業する必要がありません。
「投資に興味を持っているが、どうやって始めたらいいのだろう」という投資初心者こそ、不動産投資型クラウドファンディングが向いているのです。
6 不動産投資はこんな人に向いている
不動産投資をおすすめする人は、ある程度の貯金を持ち、投資にかける時間がある30~40代の人になります。不動産投資を安全に始めるには、まとまった現金が必要です。数百万円ほどの貯金があれば、区分ワンルームマンションが買えますので、まずはそういった物件から購入を検討してみると良いでしょう。
不動産投資型クラウドファンディングに比べれば、運用には時間も手間もかかります。それでも株投資やFX投資と比べれば、発生する作業ははるかに少なくなっています。
そして、不動産投資は融資を受けて物件を購入できますので、資産が増えるスピードは、不動産投資型クラウドファンディングよりも速くなります。他人のお金を使って自分の資産を増やせるメリットがあるのです。
「本格的に資産形成をしたい」「将来はセミリタイアをしたい」という人は、不動産投資をすることで不労所得と資産を増やし、セミリタイアを実現することができます。
まとめ
不動産投資と不動産投資型クラウドファンディングを比較しましたが、不動産投資は手間やお金はかかりますが、収益は大きくなる可能性があり、自分で物件を購入してアレンジする楽しみを持てる投資手法だと言えます。
一方で、不動産投資型クラウドファンディングは、気軽に始められる投資手法であり、リスクを抑えながら少しずつ利益を積み上げていきたい人に向いています。
自分の資産と投資にかけられる時間、そして将来的にどのような投資スタイルを確立させていきたいかを考えながら、自分に合った投資手法を選んでいきましょう。もちろん、両方に分散投資をするのも、一つの手です。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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