一般社団法人日本承継寄付協会(Will for Japan)とアクサ生命保険株式会社は6月26日、「承継寄付診断士」の養成を目指し連携すると発表した。人生100年時代の社会構造の変化に伴う相続の多様化と、遺贈寄付のニーズの高まりに対応する。この連携により、日本承継寄付協会が提供する「承継寄付診断士講座」が、アクサ生命の専属営業社員向けの社内研修として導入される。法人向けに同講座が導入されるのは、これが初の試みだ。
少子高齢化や単身世帯の増加を背景に、人生の終盤における資産の承継先として、個人の遺産をNPOや自治体などに寄付する「遺贈寄付」への関心が高まっている。しかし、日本承継寄付協会の調査では、遺贈寄付を検討する人の35%が「相談先がない」と回答しており、専門的な相談窓口の不足が大きな課題となっていた。
この課題解決のために同協会が運営するのが「承継寄付診断士」資格制度だ。寄付をしたい人の相談に応じ、次世代に想いをつなぐ支援を行う専門家を育成するもので、これまでに行政(埼玉県草加市)との連携実績もあり、全国でのべ約400名以上が受講している。講座では、寄付に関する法務・税務の基礎知識から、寄付先の選び方、不動産寄付の注意点、遺言書の書き方まで、実践的な知識を体系的に学ぶ。講師には司法書士や税理士といった専門家に加え、あしなが育英会や国境なき医師団日本など、実際に寄付を受け取る団体も名を連ね、現場の視点を提供する。
アクサ生命では、顧客から資産の承継先として地域社会への寄付を検討したいという相談が増加していた。今回の研修導入により、希望する専属営業社員は専門知識と倫理観を習得し、顧客への包括的な資産承継支援が可能となる。
日本承継寄付協会は、今回の取り組みが企業における新たな社会貢献のモデルケースとなることを期待している。金融機関が専門的な知見を持つ人材を育成することで、個人の想いを円滑に社会貢献へと繋ぐインフラが強化される。同協会は今後も研修や協業の拡大を通じ、遺贈寄付の啓発と提案力の強化を進める方針だ。
なお、日本承継寄付協会は、本講義の受講を検討している人などを対象に、講座のエッセンスを伝えるプレ講義を7月1日に開催する。この講義では、「なぜ今、相続の選択肢として遺贈寄付が注目されているのか」や「資格の活かし方」といったテーマを扱う。同協会の調査活動から見えてきたニーズの背景や、専門家として押さえておくべき遺贈寄付のポイントについて解説される予定だ。本講義となる2級講座は8月2日に開催が予定されている。
プレ講義
日時:2025年7月1日(火)18:30〜20:00
場所:Sansan株式会社 本社(東京都渋谷区)
詳細:https://www.izo.or.jp/news/seminar/20240701pre.html
2級講座(本講義)
日時:2025年8月2日(土)10:30〜18:00
場所:東京都内を予定(詳細は下記URL参照)
詳細:https://www.izo.or.jp/info/certificate.html
【関連サイト】一般社団法人 日本承継寄付協会

HEDGE GUIDE 編集部 寄付チーム

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