ロボアドバイザーと投資信託の違いは?リスクやコストなど比較

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投資商品には株式投資、FX、投資信託、ETFなどさまざまな種類がありますが、30代から40代の働く世代を中心に利用者が増えているのが「WealthNavi(ウェルスナビ)」などをはじめとするロボアドバイザーによる運用です。

今回はロボアドバイザーと投資信託を取り上げ、何が違うのかをご紹介していきたいと思います。ロボアドバイザーとは「どんな投資方法なのか」「何を対象に投資するのか」「簡単に始められるか」「投資にいくら必要か」「リスクは高いのか」などの疑問についても答えていきます。

目次

  1. 投資信託とロボアドバイザーの基礎知識
    1. 投資信託とは
    2. ロボアドバイザーとは
  2. ロボアドバイザーと投資信託の6つの違い
    1. 投資商品としての違い
    2. 投資での手間の違い
    3. リスクの違い
    4. 投資額の違い
    5. コストの違い
    6. 投資までの時間の違い
  3. まとめ

1 投資信託とロボアドバイザーの基礎知識

投資信託とロボアドバイザーの基本的な概要から見ていきましょう。

1-1 投資信託とは

投資信託とは、多数の投資家から資金を集めて、それをもとに運用の専門家が株式や債券などに投資し、運用で得た利益を投資家に還元する仕組みの金融商品です。

投資信託を運用するのは次の3社です。

  • 販売会社(投資信託の販売)
  • 委託会社(運用の指図)
  • 受託会社(信託銀行等で運用と資金の管理)

投資家が得るリターンは、投資信託からの分配金や償還金のほか売却による売却益になります。

投資信託の価格

投資信託の取引単位は「口(くち)」で、投資信託の「基準価格」は1口または1万口当たりの価格として設定されます。通常は、1万口の基準価格が多くなります。

投資信託は複数の株式や債券などで構成され、価格はそれらの時価評価で決まり、1日に1回計算・公表されます。また、基準価額が売買単位となり投資信託の購入や換金が実施されます。

投資信託の運用コスト

投資家が負担するコストには、次の4種類があります。

  • 販売手数料
  • 信託報酬
  • 監査報酬
  • 信託財産留保額

販売手数料は投資信託を購入する際の費用で、信託報酬は運用に伴う費用(運用報酬、信託財産の管理費用等)として信託財産から差し引かれます。
監査報酬は投資信託を監査する監査法人に支払われる費用であり、信託財産留保額は投資信託を解約する際に投資家が負担する費用です。

これらの費用は各投資信託によって内容や金額(あるいは率)が異なるため、購入前の確認が欠かせません。

投資信託の種類

投資信託の投資対象は、株式、債権や不動産などの多様な資産が対象で、国内ほか海外金融商品まで対象とするタイプも多くあります。一般社団法人投資信託協会の「投資信託の全体像(純資産総額・ファンド本数)」によると、2022年3月末時点の証券投信の数は6,005本となっています。

資産クラスによる分類では主に次の4種類があります。

  • 国内株式型
  • 海外株式型
  • 国内債券型
  • 海外債券型

このほかにも国内不動産、海外不動産や金・原油などの実物資産を対象とするタイプもあります。

また、収益性・リスクの違いによる分類では「パッシブ運用」と「アクティブ運用」の2タイプに分かれます。パッシブ運用(インデックス運用)は日経平均株価やTOPIXなどの指数に連動した成果を目指すタイプで、アクティブ運用は指数を上回る成果を目指すタイプになります。

1-2 ロボアドバイザーとは

ロボアドバイザー(ロボアド)は、インターネット上で投資診断や投資アドバイスを行ったり、運用(売買や最適化等)を代行してくれるサービスです。

ロボアドバイザーは、投資家に対して最適な資産配分や投資対象の「助言だけを行うタイプ」(=助言型)と、「助言と運用までを行うタイプ」(=一任型)に分かれます。後者は、申し込んでロボアドバイザーの提案内容を了承すれば、あとはロボアドアドバイザーに運用まで任せることができる投資一任サービスです。

現在、投資一任型のロボアドバイザーの最大手はウェルスナビ(WealthNavi)となっています。(※)

ここでは投資方法として投資信託との比較を行うため、投資一任型を対象として説明します。

※一般社団法人日本投資顧問業協会「契約資産状況(最新版)(2024年3月末現在)『ラップ業務』『投資一任業』」を基にネット専業業者を比較 ウエルスアドバイザー社調べ(2024年6月時点)

ロボアドバイザーのサービス

ロボアドバイザーのサービス内容と流れは以下のようになります。

  1. 投資家がサービス提供会社のサイトやアプリにアクセスする
  2. 投資家がロボアドバイザーの質問(年齢、金融資産、リスク許容度等)に回答する
  3. ロボアドバイザーが各投資家に最適な資産運用方針(ポートフォリオ)を提案する
  4. 投資家がその提案を了承する、または設定内容の一部等を変更し決定する
  5. 決定した設定内容に基づきロボアドバイザーが商品購入や、その後の調整(ポートフォリオのリバランス等)を実施する

ロボアドバイザーの投資対象

ロボアドバイザーの投資対象は運用している事業者のサービスにより異なりますが、主に海外上場投資信託(ETF)や国内投資信託が主な対象になります。

2 ロボアドバイザーと投資信託の6つの違い

ロボアドバイザーと投資信託との違いを確認していきましょう。

2-1 投資商品としての違い

一般的な投資信託への投資は、各投資家が主に自分で投資信託を選び投資する形になります。一方、ロボアドバイザーは投資家にあった最適な投資信託やETF(主に海外ETF)を、選択・購入・最適化を実施します。

両者の投資対象の範囲や数は異なりますが、主要な対象が投資信託およびETFである点は同じといえます。

根本的な違いは、投資信託は投資家自身で投資対象を選定・購入などを行う必要があり、ロボアドバイザーはサービス側でそれらを行ってくれるという点です。

2-2 投資での手間の違い

ロボアドバイザーと投資信託は、投資の際の手間も大きく違います。個人が行う投資信託の投資方法の手順を示すと以下のようになります。

  1. 投資対象の資産配分を決定する
  2. 投資信託の商品を選定する
  3. 証券会社等へ入金する
  4. 投資商品を発注する
  5. 分配金の再投資、償還後の新規投資等を検討する
  6. 投資目的や目標に応じてにポートフォリオを修正する(リバランス等)を行う

投資信託の投資では、資金を1つの商品に充てるのではなく複数の商品に分散投資するケースが多くなります。例えば、国内株式型、海外株式、国内債券型と海外債券型を1対1対4対4の割合で投資するといった方法です。

そのため、投資家自身が対象資産を配分した上で各商品の収益性やリスクを考慮して選ぶ必要が出てきます。

この作業が投資信託の醍醐味である一方、投資経験が浅い方などにはどのように選択したら良いか分からず、時間もかかり、負担は小さくありません。その結果、投資までに時間がかかり過ぎたり、コストパフォーマンスの良くない商品を選択したりする場合もあります。

一方、ロボアドバイザーを利用すると自分で投資商品を選んで購入するという手間が省けるため、投資信託よりも簡単で手早く始められます。さらに積立投資も可能で、分配金の再投資や市場の動向に合わせたポートフォリオの最適化(見直し)を自動で行う点も投資初心者に向いています。

ロボアドバイザーは個人で投資信託を行う大半の作業や手間を自動で行ってくれるため、「投資の知識がない」「経験が浅い」「投資に時間が取れない」などの方に合った投資方法といえます。

例えば、株式会社FOLIOが提供する「ROBOPRO」は、ETF(上場投資信託)を対象資産としたAI技術を個人向けに初解禁し、本格的に資産運用にAIを活用した運用を行ってくれます。

ROBOPROでは、「ブラック・リッターマンモデル」を使って各資産の将来のリターン予測をしており、その予測の際にAIを活用しています。また、各資産の配分比率は上限50%、下限を0%と設定する独自のポートフォリオ構築を行うことで、時々の情勢をポートフォリオに反映することが可能となっています。

ROBOPROの運用プロセス

  • 世界各国の株式指数や債券・通貨など40種類以上のマーケットデータなどを収集し、統計的処理によって数百種類以上の特徴量を計算
  • 特徴量から機械学習の技術を用いて大量の予測スコアを生成して厳選
  • 厳選された予測スコアの精度を再度評価して、平均精度が高く、かつ性能のばらつきが少ない予測スコアを採用。
  • 採用された予測スコアから期待リターンを推定し、マーケットリスクも考慮した上で最適な資産配分を計算

2-3 リスクの違い

投資信託では自分の判断で商品のリスクを評価して選ぶ必要がありますが、ロボアドバイザーは投資家のリスク許容度に応じた商品を選ぶのが特徴です。

ロボアドバイザーは最先端の投資理論を基にした投資システムなどにより、投資家のリスク許容度に適したポートフォリオを提案します。また、ビッグデータや市場データなどから投資対象等の下落を予想し、リスクの低いポートフォリオに構成し直して、リスクの軽減を図るというタイプもあります。

加えて、多数の資産クラス(株式、債券、不動産、金や原油など)でポートフォリオを構成し、国内・海外など地域の分散化も行います。そのため、ロボアドバイザーよる投資信託以上のリスク分散を期待することができます。

2-4 投資額の違い

ロボアドバイザーは最低投資額1万円が必要となるサービスが多いですが、投資信託では100円単位の積立投資も可能です。

投資信託の場合、1万口の基準価格が1万円程度の商品も多く、一般的な株式投資よりも購入しやすいですが、さらに積立投資では「毎月100円から」といった商品もあります。

一方、ロボアドバイザーの場合は提供会社によって最低投資額が異なりますが、ロボアドバイザー大手の「ウェルスナビ(WealthNavi)」や、THEOとNTTドコモが協業して実現した「THEO+docomo」などは毎月1万円からの積立投資が可能となっています。

2-5 コストの違い

ロボアドバイザーと投資信託の運用コストを比較してみましょう。

購入手数料 投資信託では0%~3%がかかる。ロボアドバイザーは無料のサービスが多い。
運用手数料(信託報酬) 投資信託の信託報酬は、預け資産の1%前後が主流。ロボアドバイザーの提供会社によってコストは異なるが、WealthNavi(ウェルスナビ)などのロボアドバイザー大手では預かり資産の1.1%(現金部分を除く、年率・税込)がかかることが多い。

こうした従来型のロボアドバイザーに対して、SUSTENのように、過去最高益を更新した月にのみ発生する「プロフィットシェア※(完全成果報酬)型」の手数料体系を採用しているサービスもあります。SUSTENは、過去最高益を更新した月末に利益額に応じて1.1/6~1.1/9(税別 1/6~1/9)の手数料が発生する仕組みとなっています。アクティブ型投資信託よりも低コストで、パッシブ型インデックス投資よりも費用控除後のリスクあたりリターンが高い運用を目指したいという場合は、検討してみるのも良いでしょう。

なお、ネット証券各社では投資信託の購入手数料を0円にする動きが強くなってきています。たとえば、SBI証券や楽天証券では、原則すべての投資信託が手数料無料(ノーロード)となっており、しかも100円から購入することができます。手数料が気になる方やまずは少額から投資信託を始めてみたいという方は検討されてみると良いでしょう。

2-6 投資までの時間の違い

ロボアドバイザーは手続きがオンラインで完結できるため、紙の書類提出やログイン情報の郵送などを必要とする証券会社で投資信託を購入するよりは早く始めることができます。

例えば、投資信託を証券会社のWEBサイトから申し込む場合、申込手続の完了後「ログイン情報(ID/パスワード)」の郵送といった手続きが必要です。そのため申し込みから取引開始までに1週間程度かかります。

一方、ウェルスナビなどの場合、口座の開設手続はすべてオンラインで済み、用意するものはマイナンバーと本人確認書類のみとなるため、手続きは約3分で完了します。

口座開設は最短2営業日で完了し、その後入金すれば当日か翌営業日には運用が開始されます。申し込んでから最短3営業日程度でのサービス利用が可能です。

3 まとめ

ロボアドバイザーは投資信託よりもコスト面や分散投資の面で優れている部分があり、手続きなども簡単となっています。

ロボアドバイザーを提供する各社は、ロボアドバイザーを無料で利用できるお試し版のアプリ(スマホ向け、パソコン向け)を用意しています。気になるロボアドバイザーがあれば、ぜひ資産運用を気軽に体験してみましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム

HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチームは、ロボアドバイザーに関する知識が豊富なメンバーが投資の基礎知識からロボアドバイザーのポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」