Siiibo証券株式会社は8月16日、特定投資家に向けて非上場企業の新株予約権付社債の取扱いを開始したと発表した。政府の「スタートアップ育成5か年計画」でもスタートアップへの資金供給強化施策のひとつとして挙げられている「特定投資家私募制度」を活用したサービスで、アーリーステージ以降のスタートアップが、新株予約権付社債のひとつである「転換社債」を発行できるようになり、ベンチャーデットによる調達が可能になる。
ベンチャーデットとは、スタートアップをはじめ、リスクを取ってイノベーションを起こそうとする企業に対するデット(負債)性の資金調達手段。転換社債は、投資家が利息収入(インカムゲイン)と株式売却益(キャピタルゲイン)の双方を期待できることから、同社は「個性豊かな発行企業と他にはない投資機会を求める投資家をつなぎ、一層、新しいスタートアップ投資市場の拡大に貢献する」としている。
同社は今年7月27日付で、日本証券業協会より特定投資家向け銘柄制度(J-Ships)における取扱協会員としての指定を受けた。これにより、プロ投資家(特定投資家)を対象とし、スタートアップの発行する転換社債の取扱いが可能となった。プロ投資家向けに非上場企業の転換社債の取扱いに積極的に取り組むと宣言した証券会社は、同社が初めてという。
発行企業として想定するのは、アーリーステージ以降のスタートアップ(時価総額数億円から数十億円程度)で、ベンチャーデット調達を希望する企業。これまで同社が取り扱ってきた社債発行支援サービスは、純粋なデット(負債性)調達手段のため、主にミドルステージ以降のスタートアップ向けだったが、社債に新株予約権の性質が加わった転換社債の取り扱いを始めることで、アーリーステージのスタートアップに対する資金調達サポートも行えるようになった。
発行企業にとっては、従来のエンジェル投資家層とも親和性のあるプロ投資家のみをターゲットとするため、比較的大口の投資家に限定されることが期待できる。また、株式や新株予約権のみによる調達と異なり、転換社債の場合は満期償還または権利行使を投資家が選択できるため、必ずしも株主が増加しない点もメリットとなる。
また、同社は金融リテラシーが高く保有資産等も十分なプロ投資家に対し、スタートアップへのオルタナティブな投資機会を提供できるようになった。投資家にとって、転換社債は、同社が扱ってきた社債と同様の社債利息収入(インカムゲイン)に加え、株式転換した場合の株式売却益(キャピタルゲイン)も期待できる商品となる。また、エンジェル投資は一般的にシード期までのスタートアップが中心なのに対し、転換社債としてデットの要素を折り込むことで、純粋なエンジェル投資では出逢えなかったアーリーステージのスタートアップへの投資機会が得られることになる。
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