ロシアのウクライナ侵攻を受け、シュローダー・インベストメント・マネジメント(シュローダーIM)株式会社は2月25日、ウクライナ情勢を巡るリスクと投資家がとるべきリスクへの備えについての見解を、レポート「プーチン大統領とFRBがもたらすリスク」で公表した。
ヨハナ・カークランドCIOは「ウクライナ情勢を巡り、足元でボラティリティの高い環境が続いている」とし、プーチン大統領の行動を予測することは難しく、リスクは予測不可能。緊張が緩和される可能性が本筋だとしても、状況が悪化する可能性は大きい」と警告する。
そのうえで、「我々のアプローチは最悪の場合に備えて、ポートフォリオのプロテクションとなる手段を特定すること。足元では、コモディティがこのプロテクション役割を果たす」との見解を示す。足元のインフレ圧力を巡る懸念に対するヘッジ手段としてコモディティを選好しており、原油や金についても、ロシアによるウクライナへの軍事作戦に対するプロテクションとなることが期待される。
さらに、政治リスクについて「今回はロシアがウクライナを侵略するか否かの2つのシナリオだけではない」と指摘。「プーチン大統領はロシア国外での自国の影響力を拡大するための様々な戦略を取っている。ベラルーシとの合同軍事演習や、ウクライナにおける分断の助長、ウクライナの政治的リーダーシップの弱体化などだ。戦争が回避された場合、短期的には市場にとって支援材料となる。しかし、様々な要因を考慮すると根本的な解決には至らないと考えられます。ロシアはこの先、数カ月、数年に亘り、リスクの源となる可能性があり、我々はそのリスクと共存する方法を学ばなければならない」と厳しい見解を示す。
「金融政策が支援材料となったブルマーケットの基盤は変化しつつあり、株式は割高なバリュエーションに直面しようとしている。社債市場のボラティリティが上昇する中、投資家はより高いスプレッドを要求することになる」という考えから、同社は足元ポートフォリオのリスクを削減している。
ただし、同社は2022年に景気後退のリスクがあるという可能性は依然低いと判断している。そのうえで、キャッシュよりも分散投資の重要性を強調しており、バリュエーションに対する懸念が一層低い一部の株式に注視している。「景気サイクルは成熟化しており、バリュエーションは割高で、資産間の相関性にも変化が見られつつある。このような環下では、投資家は投資を継続する必要はあるが、分散が重要だ」と指摘した。
【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
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