米小売り大手ホーム・デポ(ティッカーシンボル:HD)が5月17日に発表した22年2~4月期(第1四半期)決算は、純利益が前年同期比2%増の42億3,100万ドル(約5,500億円)だった(*1)。インフレ圧力が高まるなか、値上げが奏功して四半期ベースで過去最高の売上高を記録したほか、通期の業績予想を引きあげた。
同日に23年1月期通期の業績見通しを上方修正した。売上高は従来の微増から3%増に、1株当たり利益(EPS)は一けた台前半から一けた台半ばになる見込みだ。両指標ともに市場予想(売上高:1.8%、1株当たり利益:3.6%)を上回った(*2)。テッド・デッカー最高経営責任者(CEO)は、当初の予想よりも消費者が物価上昇に対して敏感に反応する様子は見られないと指摘する(*1)。
2~4月期の売上高は前年同期比4%増の389億800万ドルで、市場予想の367億2,000万ドルを上回った(*2)。既存店売上高は2.2%増だった。米国の既存店売上高も1.7%増と増収を確保。21年に実施した給付金による消費の押し上げ効果の剥落や少ない営業日数から、今年の米国の既存店売上高は3月と4月に減少したが、2~4月期を通じては底堅さを示した形だ。21年の同期は29.9%増だった。
購入決済数は前年同期比8.2%減少したものの、事業者向けの需要拡大により高額品の購入が増加した。平均購入単価は11.4%増、1回の決済額が1,000ドル超の高額決済数は12.4%増だった。
米国では大幅な金利引き上げがつづく見通しだ。金利が上昇すると住宅市場の成長が減速しかねない。ホーム・デポにとってマイナスの影響を及ぼす可能性があるなかでも、「引っ越しを検討するひとびとは、現在の低い固定金利の住宅にとどまり、家屋を改修したほうがよいと考えるようになっている。」と会社側は指摘する(*2)。
第1四半期の決算はインフレを受けて苦戦を強いられる企業が散見されている。一方で、ホーム・デポは値上げが奏功して増収増益となったほか、通期の業績見通しも引きあげた。物価が高騰するなか、マクドナルド(MCD)やコカ・コーラ(KO)といった強固なブランド力を武器に値上げを実施できる企業も増収営業増益を確保している。
【参照記事】*1 ホーム・デポ「Events & Presentations」
【参照記事】*2 CNBC「Home Depot (HD) Q1 2022 earnings」

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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