米アップル(ティッカーシンボル:AAPL)は5月11日、「最も価値のある会社」から陥落した。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ(コード:2222)が時価総額首位に返り咲いた。
米ファクトセットによると、アラムコの時価総額は11日に2兆4,000億ドル台に達する一方、アップルは2兆3,700億ドルとなり、今回の逆転劇が生まれた(*1)。アップルは20年に時価総額でアラムコを抜き去り、世界で最も価値のある会社となっていた。
景気が減速するとの懸念が浮上するなか、テクノロジー株は大きく売られている。アップルの株価は1月4日に182.94ドルの年初来高値をつけたが、その後は約20%下落する軟調な展開がつづく(*2)。
背景としては米国の金融引き締めの加速が挙げられる。ロシアのウクライナ侵攻を受けてコモディティ価格が高騰するなか、米連邦準備制度理事会(FRB)は4日、インフレ対策として政策金利を0.5%幅引き上げると決めた。政策金利の変更は一般的に0.25%幅であり、0.5%幅の利上げは22年ぶりとなる。金利の大幅上昇により、割高感の強いハイテク株が売られる形だ。また、供給制約を受けた成長鈍化の懸念も高まっている。
一方、ロシアのウクライナ侵攻を背景とする原油価格の高騰を追い風に、エネルギー企業の株価は良好な値動きとなっている状況だ。アラムコは年初来で27%超上昇(*3)。原油高を背景に同社は好調な業績を維持している。3月20日に発表した2021年12月期決算は、純利益が前期比2.2倍に膨れ上がった。また、5月15日に発表した22年1~3月期決算は、純利益が四半期ベースで19年の上場以来の最高益となっている。
金利上昇やインフレ高進、サプライチェーン(供給網)の混乱がつづく一方、原油をはじめとするエネルギー価格は高騰しており、足元では世界の投資マネーがハイテク株からエネルギー株に流入しているといえそうだ。
【参照記事】*1 CNBC「Apple slips behind Saudi Aramco to lose spot as most valuable company」
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「Apple Inc. (AAPL)」
【参照記事】*3 Yahoo!ファイナンス「Saudi Arabian Oil Company (2222.SR)」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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