民泊仲介大手の米エアビーアンドビー(ティッカーシンボル:ABNB)が5月3日に発表した2022年1~3月期決算は、売上高が前年同期比70%増の15億893万ドル(約1,900億円)だった。最終損益は1879万ドルの赤字(前年同期は11億7221万ドルの赤字)となり、赤字幅が大幅に縮小した(*1)。新型コロナのパンデミックを乗り越えて旅行需要の回復が続いており、四半期ベースの宿泊などの予約件数は初めて1億件を突破した。
新型コロナのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻など、マクロ経済の不確実性が強い環境下であったが、1~3月期は売上高が市場予想を上回ったほか、1株当たり損失は予想よりも小幅にとどまった(*2)。
1~3月期の宿泊と旅行先などでのアクティビティーをあわせた予約件数は、前年同期比59%増の1億210万件だった。パンデミック前の水準を上回ったほか、四半期の予約件数としては初めて1億件を超えた。とくに、都市部の宿泊予約件数は同80%増となり、足元では地方にくわえて都市部の旅行需要も回復している模様だ。総予約額(GBV)は同67%増の172億ドル、1件当たり単価(ADR)は同5%増の168ドルだった。
滞在期間の長期化が進んでおり、長期滞在は19年時点の滞在期間と比較して最も急成長しているカテゴリーだという。ブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)は今後も同カテゴリーの成長が続くと見込む(*1)。
4~6月期も好調を維持する見込みだ。会社側は同期の売上高を20億3,000万~21億3,000万ドルになると予想しており、アナリスト予想の19億6,000万ドルを上回る(*2)。旅行需要が強まるなか、22年4月末時点における今夏の旅行予約は、19年同期よりも30%以上多くなっているという。ただし、エアビーは新型コロナの感染再拡大やウクライナ侵攻、消費者の価格志向が旅行需要に影響を及ぼしうると指摘する。
ロシア・ウクライナ情勢を巡っては、エアビーは2月末にロシアが侵攻したウクライナから逃れた難民に対し、最大10万人分の一時的な滞在先を無償で提供すると発表した(*3)。さらに、ウクライナ国内で宿泊先を予約するだけで、実際には宿泊せず寄付する形をとる支援も広がっている。同社はウクライナ国内での予約にかかる手数料を一時的に免除しており、1~3月期には約60万件の予約がなされ、約2,000万ドルがホスト(家主)に渡ったという。世界情勢の移り変わりとともにエアビーがどのような取り組みをするか、世界から注目が集まるだろう。
【参照記事】*1 エアビーアンドビー「Investor Relations」
【参照記事】*2 CNBC「Airbnb (ABNB) earnings Q1 2022」
【関連記事】*3 エアビー、ウクライナ難民に最大10万人分の無料住居提供
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
最新記事 by HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム (全て見る)
- 見守り市場に変革を。介護テックベンチャーがFUNDINNOで9/25募集開始 - 2024年9月20日
- 高速硬化性樹脂で日本の強靭化に貢献。日本総代理店がFUNDINNOで資金調達 - 2024年9月13日
- 子どもが安心安全に利用できるSNSアプリで事業拡大。運営ベンチャーがFUNDINNNOで8/31CF開始 - 2024年8月30日
- DMM株の評判は?メリット・デメリットやアカウント登録手順も - 2024年8月30日
- 採用のミスマッチ・入社後ギャップを解消するテックベンチャーがFUNDINNOで3度目のCF - 2024年8月29日