米アマゾン・ドット・コム(ティッカーシンボル:AMZN)が4月28日に発表した2022年1~3月期決算は、売上高が前年同期比7%増の1,164億4,400万ドル(約15兆円)、最終損益は38億4,400万ドルの赤字だった(*1)。出資先の新興電気自動車(EV)メーカー、米リヴィアン・オートモーティブ(RIVN)の株式評価損を計上したことが響いた。市場予想を下回る売上高見通しを示したことも嫌気され、決算翌日の株価は約14%急落した(*2)。
新型コロナのパンデミックから経済活動の正常化に向けた動きが広がるなか、主力のネット通販事業は勢いを失っている。直営のネット通販の売上高は前年同期比3%減の511億2,900万ドルだった。
一方、クラウドコンピューティング部門(AWS)の売上高は同37%増の184億4,100万ドルと堅調を維持。通信を始めとするさまざまな業界でAWSの利活用が進んだという。「アマゾンプライム」を中心とするサブスクリプション(継続課金)型サービスは同11%増の84億1,000万ドルだった。
1~3月期は約38億ドルの損失を計上し、15年以来となる7年ぶりの最終赤字に転落した。アマゾンは前期にリヴィアン株の株式評価益として118億ドルを得たが、今期は株式評価損を76億ドル計上したことが大きく影響した。倉庫作業員の拡充のために多額の資金を投じたほか、サプライチェーンの混乱やインフレ、輸送費、人件費の増加に直面していることも収益を圧迫している。
米投資銀行ウィリアム・ブレアのアナリストは、リヴィアン株の投資関連損失を除いた1株当たり利益(EPS)は約3.40ドルと算出されるが、それでもコンセンサスを60%下回っていると指摘する(*3)。
アマゾンは4~6月期の売上高が前年同期比3~7%増の1,160億~1,210億ドルになると予想するが、アナリスト予想の1,255億ドルに届かない見込み(*3)。伸び率は1~3月期からさらに縮小する模様だ。
直近では、インフレ抑制のため米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めやウクライナ侵攻の長期化などへの警戒感が高まっている。それを受け、株式市場では割高感の強い米ハイテク株への売り圧力が強まっており、アマゾンも組み込まれるナスダック総合株価指数は5月10日、20年11月以来の水準まで下落している。
【参照記事】*1 アマゾン「Amazon.com, Inc. – Amazon.com Announces First Quarter Results」
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「アマゾン・ドット・コム【AMZN】」
【参照記事】*3 CNBC「Amazon shares fall 14% for worst day since 2006」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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