米日用品・製薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J、ティッカーシンボル:JNJ)は4月19日、2022年12月期(通期)の売上高と利益予想を引き下げた(*1)。世界的に供給が過剰となり、需要も不確実なため、新型コロナワクチンの売上高見通しの公表も中止する。
22年通期の売上高は948~958億ドル(約12兆3,000億~12兆4,000億円)と、1月に公表した業績予想から約10億ドル下方修正した。調整後の1株あたり利益(EPS)も、10.15~10.35ドルと、従来予想から25セント引き下げた。ジョー・ウォルク最高財務責任者(CFO)は、原材料や人件費、輸送費が上昇しているほか、一部のコモディティに関しては供給制約に直面していると述べた(*2)。
新型コロナワクチンの1~3月期の売上高は4億5,700万ドルだった。売上高予想の開示を取りやめたことに関しては、ウォルクCFOは特定の商品の業績予想を公表することが例外的であったと説明(*2)。また、新興国ではワクチンを冷凍で輸送・保存、接種するための医療態勢が整っていないとも指摘した。
同日発表した22年1~3月期決算は、売上高が前年同期比5%増の234億ドル、調整後EPSは3.1%増の2.67ドルだった。部門別売上高では、主力の「処方薬」が前年同期比6.3%増となった。あわせて、四半期配当を1株あたり1.06ドルから1.13ドルに引き上げると発表した(増配率6.6%、*3)。
先進国を中心に経済正常化に向けた動きが広がっている。J&Jが新型コロナワクチンの売上高見通しの開示を取りやめたことからも、コロナのパンデミック期からウィズ・コロナもしくはアフターコロナへと移行が進んでいるようである。さらなる業績の拡大を目指す同社のパイプライン(新薬候補)開発状況を注視したい。
【参照記事】*1 ジョンソン・エンド・ジョンソン「Johnson & Johnson Reports Q1 2022 Results」
【参照記事】*2 CNBC「J&J lowers 2022 revenue and earnings expectations, stops giving Covid vaccine sales guidance」
【参照記事】*3 ジョンソン・エンド・ジョンソン「Johnson & Johnson Announces Dividend Increase of 6.6%」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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