食品・日用品大手の英ユニリーバ(ティッカーシンボル:ULVR)は4月21日、16歳未満の子どもを対象にした食品・飲料の広告およびマーケティングを取りやめると発表した(*1)。2023年1月より世界各国で適用する方針だ。デジタル・ソーシャルチャネル上でながれる広告が子どもにおよぼす影響を認識し、親や保護者が商品を選択できるようサポートを強化する。
ユニリーバは「責任あるマーケティング」を実践する企業として業界をリードしている。同社はこれまでマスメディアでは12歳未満、ソーシャルメディアでは13歳未満の子どもに対して、食品・飲料の広告およびマーケティングを取りやめていた。
よりデジタル化された世界で暮らすなか、テレビをはじめとする伝統的メディアは依然として強力な広告媒体となる一方、ソーシャルメディアの影響力も増している。そのようななか、子どもたちがオンライン広告と接触する機会が多くなっている状況を踏まえ、伝統的メディアとソーシャルメディアの双方で、アイスクリームを含む食品・飲料の広告・マーケティングを規制する基準を16歳未満に引き上げる。
ユニリーバが掲げる子どもに対する責任あるマーケティングの新原則には、16歳未満を対象としたマーケティングを行わないことにくわえ、16歳未満の子どもに関するデータを収集・保存せず、16歳未満をインフルエンサーとして起用しない方針が示されている。また、インフルエンサーに対して同社の規定を明確に開示するとともに、インフルエンサーが配信するコンテンツに対する子どもへの訴求を制限し、一部の例外を除いて学校で商品をプロモーションすることを控える。
あらたなマーケティング手法の採用には、親・保護者が十分な情報を得たうえで子ども向けの食品・飲料を選択できるようサポートする狙いもある。
ユニリーバのアイスクリーム部門プレジデントを務めるマット・クローズ氏は、われわれは食品・飲料の責任あるマーケティングにコミットしており、ソーシャルメディアやインフルエンサーによるマーケティングの影響力を認識するとともに、それに対応していかなければならないと述べた(*1)。また、子どもたちが食品・飲料業界が配信する広告にさらされる機会を減らし、かわりに親や保護者をサポートし続けることが目標だと付け加えた。
【参照記事】*1 ユニリーバ「Championing no food marketing to under-16s」

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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