フランスの金融大手BNPパリバ(ティッカーシンボル:BNP)が、金融機関による投融資を通じた温室効果ガス(GHG)排出量を測定・開示することを目的とした国際イニシアティブ「パートナーシップ・フォー・カーボン・アカウンティング・フィナンシャルズ(PCAF)」に加盟した(*1)。
PCAFは世界中の金融機関が協力して投融資に伴う GHG 排出量を測定・開示することを可能にする、唯一の業界主導型のイニシアティブだ。2020年11月には、金融業界向けに独自のグローバルなGHG排出量の計測・開示基準を公表した。加盟金融機関にとっては、気候変動関連のリスクを評価するとともに、脱炭素社会の実現に向けた効果的な戦略を策定することが可能になるという。
BNPパリバは250社目の署名機関となり、加盟する金融機関の資産規模は71兆ドル(約9,200兆円)超にのぼる。加盟金融機関は銀行のみならず、アセットマネージャーや保険会社、プライベートエクイティファームなど、さまざまな業種へと多様化しているようだ。日本からはみずほフィナンシャルグループやSOMPOホールディングスなどが加盟している(*2、*3)。
BNPパリバのCSR統括責任者を務めるLaurence Pessez氏は、金融分野のエネルギー・トランジション(#2)は11年以来当社の環境責任に関連する中核主題になると述べた(*1)。また、22年のデータに基づく排出量の開示にコミットするうえで、一貫したデータやレポーティングにくわえ、共通の手法を開発するために競合他社と協働することが求められるため、PCAFに加盟したと付け加えた。
より多くの規制市場において、事業者の活動に関連する取引先の排出である「スコープ3」の開示が求められている。そのようななか、欧州銀行監督局(EBA)や米証券取引委員会(SEC)、国際サステナビリティ審議会(ISSB)といった規制当局は、PCAFが開発した基準を参照する。
また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD、#1)はGHG排出量の開示を提言のひとつとする。PCAFは金融機関による投融資を通じたGHG排出量を開示するためのフレームワークを提供しており、TCFDをはじめ他の気候変動イニシアティブを補完するものになっている。
(#1)TCFD…、企業に対して気候変動がもたらすリスクおよび機会の財務的影響を把握し、開示することを提言する。金融システムの安定化を図る国際的組織である「金融安定理事会(FSB)」が、G20からの要請を受けて2015年に設置。
(#2)エネルギー・トランジション…従来の石炭や石油などの化石燃料を中心とするエネルギー構成から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを中心としたものに大きく転換していくこと。
【参照記事】*1 PCAF「PCAF welcomes 250th signatory, growing global participation fourfold in three years」
【参照記事】*2 株式会社みずほフィナンシャルグループ「みずほFG:国際イニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials」への加盟について」
【参照記事】*3 SOMPOホールディングス株式会社「SOMPOホールディングスのPCAF加盟について」
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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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