インドの大手鉄鋼メーカー、タタ・スチールは6月19日、2045年までのネットゼロ(温室効果ガス実質排出ゼロ)達成に向けた取り組みを紹介する新たな動画シリーズ「Greenovation」を開始したと発表した。同社のラジブ・マンガル副社長が出演し、脱炭素化戦略「The Net Zero Blueprint」について解説している。
動画でマンガル氏は、2020年にタタグループが環境持続可能性プロジェクト「Alingana」を開始し、タタ・スチールが2045年のネットゼロ達成を目標に設定したと説明した。同社はオランダで年産600万トンの統合製鉄所を運営しており、製造プロセスでの排出削減に加え、直接的な炭素回避と炭素オフセットの両方による脱炭素化を進めている。特筆すべき取り組みとして、同社がインド初のカーボンバンクを設立し、現在運用中であることを明かした。
製造工程での排出削減に留まらず、バリューチェーン全体での脱炭素化も推進している。CNG(圧縮天然ガス)の利用拡大により、完成鋼材の輸送におけるCNG使用比率を段階的に高めている。また、鉄鋼業界の脱炭素化には消費者、製造業者、政策立案者の積極的な関与が必要として、同社は政府や鉄鋼協会と連携し、国内での有意義で適切な政策策定に取り組んでいるとした。
タタ・スチールUKは2024年10月、英ポートタルボット工場での製鉄を停止し、2027年後半から2028年前半の稼働予定の電気炉(年産320万トン)建設期間中は一時的に製鋼を停止している。同社は2030年までにCO2排出量を30%削減し、遅くとも2045年までにネットゼロ鋼材の生産実現を目指している。
【参照記事】Where steel meets sustainability
【参照URL】Greenovation Series – Episode 1: Rajiv Mangal

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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