カナダの鉱山探査会社であるMAG Silver Corp. (以下、MAGシルバー)は6月19日、2024年度の第4回年次サステナビリティレポートを公開した。同レポートでは、主力事業のフアニシピオ鉱山における労働災害発生率が3年連続で低下するなど、環境・社会・ガバナンス(ESG)分野での継続的な改善が報告されている。
フアニシピオ鉱山では、休業災害度数率、総記録災害度数率、重篤度率のすべてで下降傾向を示した。全事業所合計で10万2000時間以上の安全研修を実施し、フアニシピオ鉱山、ディアトレイルプロジェクト、ラーダープロジェクトのいずれにおいても重大な環境事故は発生していない。
社会的責任の強化に向けた取り組みとして、同社は人権デューデリジェンスの内部評価ツールを開発した。カナダ・アビティビ地域のラーダープロジェクトでは、地域社会からの支持を示す「ソーシャルライセンス」の測定で肯定的な結果を得ている。またガバナンス面では、取締役会の女性比率が38%に達し、同社の多様性・公平性・包摂性ポリシーで定めた30%の目標を上回った。
MAGシルバーのジョージ・パスパラス社長兼最高経営責任者は「2024年、当社は重要なマイルストーンを達成し、課題を通じて回復力を示し、サステナビリティ、安全性、長期的なステークホルダー価値への取り組みを強化した。これにより2025年のさらなる成功への基盤を築いた」と述べた。
同社は主力のフアニシピオ鉱山で44%の共同事業権益を保有し、メキシコの鉱山会社フレスニージョ(56%)が運営を担当している。同鉱山は世界有数の銀鉱山地帯であるメキシコのフレスニージョ・シルバー・トレンドに位置し、日量4000トンの処理能力を有する。現在、採掘・処理操業に加え、複数の有望な鉱脈を対象とした探査プログラムの拡大を進めている。
MAGシルバーは銀鉱山開発に特化したカナダの成長企業として、米国ユタ州のディアトレイルプロジェクトで100%の権益獲得を目指す多段階探査プログラムを実施中だ。またカナダの歴史的な鉱山地域であるアビティビ地域では、100%所有のラーダープロジェクトを推進している。
今回のサステナビリティレポートは、同社の気候変動対応声明と2024年ESGパフォーマンスデータ表によって補完されており、透明性と説明責任への継続的なコミットメントを示している。世界的にサステナビリティ情報開示の義務化が進む中、鉱山業界でも環境・社会への配慮と事業成長の両立が求められており、同社の取り組みは業界のベンチマークとなる可能性がある。
【参照記事】Mag Silver Publishes Fourth Annual Sustainability Report

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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