サステナビリティ報告基準の国際的策定機関であるGRI(Global Reporting Initiative)は6月19日、GRIスタンダードを構造化されたコンピュータ可読形式(XBRL)で表現可能とする「GRIサステナビリティ・タクソノミー」を発表した。これにより、企業のESG情報開示は文書ベースから構造化デジタル報告へと移行し、データの利活用が飛躍的に向上することが期待される。
GRIサステナビリティ・タクソノミーは、ビジネス報告のグローバル標準言語であるXBRLを活用し、企業がGRIスタンダードのユニバーサル基準、セクター基準、トピック基準を、デジタルに分類・整理しタグ付けして報告するための仕組み。組織の規模や技術的能力を問わず、オンラインフォームや直接提出を通じて、標準化されたサステナビリティデータの開示が可能となる。
特筆すべきは、同タクソノミーがISSB基準(IFRSサステナビリティ開示基準)やESRS(欧州サステナビリティ報告基準)とのXBRL整合性を重視して設計されている点である。これにより、企業は異なる法制度下においても、報告内容の重複や非効率を回避しながら、複数の規制要件に一元的に対応可能となる。
GRIのクリスティーナ・ギル・ホワイト最高エンゲージメント責任者は、「これは報告された影響と、それを理解し行動する必要がある人々との間のギャップを埋める、実用的で包括的なデジタルツール」と述べた。
従来の報告では、投資家やステークホルダーが必要な情報を手作業で抽出・比較する負担が大きかったが、本タクソノミーの導入により、データの収集・分析・比較が効率化され、開示内容の整合性や網羅性の検証も容易になる。
GRIは2025年後半に、報告内容がGRI基準に準拠しているかを確認するための「ファイリングツール」を提供予定としており、企業の自己検証を支援する。
今回のパブリックコメントは2024年8月11日まで行われ、XBRLの専門家やサステナビリティ担当者に対し、構造や内容への意見提出が呼びかけられている。この取り組みは、サステナビリティ情報の信頼性とアクセシビリティを高め、迅速かつ低コストな情報開示を後押しすることになる。
【参照記事】A digital leap forward for sustainability reporting

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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