将来の資産形成手段として、ロボアドバイザーを検討する方や利用し始めている方が増えています。
この記事では大手が提供するロボアドバイザーサービスのウェルスナビとTHEO+ docomoのどちらを選べばよいかについて、「利回り」「コスト」「最低投資額」などさまざまな視点から徹底的に比較します。ロボアド選びの参考としてぜひご活用ください。
目次
- ウェルスナビとTHEO+docomoの概要
1-1.ウェルスナビとは
1-2.THEO+docomoとは - ウェルスナビとTHEO+docomoを徹底比較
2-1.投資戦略の比較
2-2.ポートフォリオの比較
2-3.コスト面(手数料)の比較
2-4.利回りの比較
2-5.最低投資額の比較
2-6.税負担を自動で最適化する機能の比較 - どっちのロボアドを選べばいいの?
3-1.ウェルスナビが向いている人
3-2.THEO+docomoが向いている人 - まとめ
1 ウェルスナビとTHEO+docomoの概要
まずは、ウェルスナビとTHEO+docomoのサービス概要、それぞれの運営企業について簡単にご紹介します。
1-1 ウェルスナビとは
ウェルスナビは投資一任型のロボアドで、ウェルスナビ株式会社が提供しているサービスです。投資一任型とは、顧客の年収や資産額などの投資環境、投資を行う場合のリスク許容度を自動的に判定、個人に最適な運用プランを構築し、資産運用を行ってくれるものです。
「ウェルスナビ」運営企業の概要
運営企業 | ウェルスナビ株式会社 |
住所 | 東京都渋谷区渋谷2-22-3 渋谷東口ビル9F |
設立年月 | 2015年4月28日 |
資本金(資本剰余金含む) | 32億3,792万5,081円 ※2021年12月31日現在 |
自己資本規制比率 | 720.5%(2022年9月末時点) |
(注)自己資本規制比率は企業経営の健全性を表す重要な財務指標で、金融商品取引業者は、この自己資本規制比率が120%を上回るよう努めることが義務付けられています。
1-2 THEO+docomoとは
THEO+docomoは、ウェルスナビと同じく投資一任型のロボアドで、株式会社「お金のデザイン」とNTTドコモの協業サービスとなっています。
「THEO+docomo」運営企業の概要

運用会社 | 株式会社お金のデザイン |
住所 | 東京都港区赤坂1-9-13 |
設立年月 | 2013年8月 |
資本金 / 資本準備金 | 1億円 / 120億2392万4861円(2022年3月31日現在) |
自己資本規制比率 | 560.16%(2021年3月期) |
2 ウェルスナビとTHEO+docomoの比較
ウェルスナビとTHEO+docomoは、運用プランの提案・構築からポートフォリオのリバランスまで任せられる投資一任型サービスである点は同じです。両者の違いを「投資戦略」「ポートフォリオ」「コスト」「利回り」などから細かく見ていきます。
2-1 投資戦略の比較
資産の運用方針について、ウェルスナビとTHEO+docomoは共通して次のものを掲げています。
- 資産運用アルゴリズムを活用し、個人に最適な資産運用プランを提案する
- リスクの時間的な分散を図るため【長期投資】を主軸に置く
- リスクの地理的な分散を図るため【国際投資】を主軸に置く
- リスク分散のため株式・債券・不動産など【分散投資】を主軸に置く
これらの資産運用方針をまとめると、「個々の顧客に対応する長期国際分散投資」の方針になります。ウェルスナビでは世界50ヶ国・12,000の銘柄から、THEOでは世界86の国・地域の銘柄から投資対象が選定されています。
なお、THEO+docomoでは、ポートフォリオの一部をESG関連ETFに変更できる機能『THEOグリーン』が選択できます。資産運用を通じて、⼿軽に社会的な課題解決に貢献することが可能できますので、ESG投資に興味・関心があるという方に嬉しいサービスです。
ESG関連ETFに投資できる『THEOグリーン』

2-2 ポートフォリオの比較
ウェルスナビとTHEO+docomoともに、資産運用方針は長期国際分散投資であり、主な投資対象は海外ETFとなっています。
項目 | ウェルスナビ | THEO+docomo |
---|---|---|
投資対象 | 海外ETF | 海外ETF |
選定基準 | インデックス型の銘柄が主体 【選定条件】 ・一定以上の資産規模があり、総口数が急減少していない ・一定以上の流動性がある ・金融庁に外国投資信託の届出がされている ・運用コストが低い |
インデックス型の銘柄が主体 【選定条件】 ・一定以上の資産規模がある ・一定以上の流動性がある ・運用コストが低い ・一定期間以上の継続安定性がある |
投資銘柄数 | 7銘柄 | 約30銘柄 |
投資対象の選定基準では、ウェルスナビ、THEO+docomoともに、「一定以上の資産規模・流動性がある」「運用コストが低い」ことを基準としていますが、ウェルスナビでは「金融庁に外国投資信託の届出がされている」こと、THEO+docomoでは「一定期間以上の継続安定性がある」ことを条件としているなど若干の違いがあります。
ETF選定の考え方では、ウェルスナビ、THEO+docomoともに、マーケットの平均的な動きに連動するインデックス運用、長期的な安定性、低運用コストを重視するなど、共通点は多くあります。
実際に投資対象とする銘柄数をみると、ウェルスナビでは、海外ETFの中でも純資産総額が大きい7銘柄を選定し、それらの配分比率を変えて運用プランを作成しています。一方、THEO+docomoではETFから30銘柄を選定するなど、ウェルスナビと比べて多くの銘柄を投資対象にし、それらを組み合わせて運用プランを作成しています。
このように選定する銘柄数には違いがあるものの、両者のポートフォリオ構築の考え方や基本路線は似ています。
2-3 コスト面(手数料)の比較
ウェルスナビとTHEO+docomoの基本となる手数料はほぼ同じです。基本手数料は、両者とも手数料は預かり資産の1%(現金部分を除く、年率・税込1.1%)。3000万円を超える部分は0.5%(現金部分を除く、年率・税込0.55%)となっています。
ウェルスナビでは、運用期間と運用金額に応じて手数料の割引が拡大する「長期割」のサービスがあります。運用金額50万円以上200万円未満で6ヶ月ごとに年率0.011%、運用金額200万円以上で6ヶ月ごとに年率0.022%を割り引いてくれるという内容です。最大で0.90%(現金部分を除く、年率・税込0.99%)まで手数料が割り引かれます。
2-4 利回りの比較
ウェルスナビとTHEO+docomoでは過去の運用実績を公開しているため、そのデータから利回りを比較することができます。
ウェルスナビは、顧客のリスク許容度に応じて、ローリスクローリターン型の「リスク許容度1」からハイリスクハイリターン型の「リスク許容度5」まで、5段階の運用プランを用意しています。
以下は、ウェルスナビのサービスが開始されたスタート時点(2016年1月19日)から2022年9月末までの運用実績です。(※グラフは2022年9月末の実績)
2016年1月からの2022年6月末までのウェルスナビの運用利回り・実績(円建て、積立なし)
リスク許容度 | リターン(2022年9月末時点) |
---|---|
1 | +46.7% |
2 | +59.6% |
3 | +67.7% |
4 | +76.6% |
5 | +80.7% |
2016年1月からの2022年6月末までのウェルスナビの運用利回り・実績(ドル建て、積立なし)
リスク許容度 | リターン(2022年9月末時点) |
---|---|
1 | +19.6% |
2 | +30.1% |
3 | +36.7% |
4 | +44.0% |
5 | +47.3% |
上記数値からウェルスナビの年率リターンを算出してみると、ウェルスナビの年率平均利回り(※)は円建てで5.89~9.23%、ドル建てで2.71~5.95%(いずれも2022年9月末時点)となっています。
一方、THEO+docomoは、投資対象を世界の株式ETFとするハイリスクハイリターン型の「グロース」、投資対象を債券ETFとするローリスクローリターン型の「インカム」、投資対象をコモディティ・不動産・物価連動債とする資産防衛型の「インフレヘッジ」の運用プラン構成要素を設定しています。その3つの構成要素の配分比率を変えることで、顧客のリスク許容度に応じた228通りの運用プランを用意しています。
2016年3月〜2022年9月末までの運用実績において、年平均の利回りが最も高かったポートフォリオと最も低かったポートフォリオは以下の通りです。
プラン | プランの詳細 | 年率リターン(円建て) |
---|---|---|
最も運用実績が高かったプラン | ・グロース92% ・インカム5% ・インフレヘッジ3% |
7.72% |
最も運用実績が低かったプラン | ・グロース6% ・インカム72% ・インフレヘッジ22% |
2.71% |
(注:公表されている年率利回りは年度別の数値ではなく、THEOが運用を始めた2016年3月1日からの通算利回りを年率に換算したもので、投資一任報酬(税込み)、配当税控除後の数値となります。)
両者ともに過去の運用実績を公開していますが、それぞれ集計の方法やデータの元となるポートフォリオの組み方などが異なっています。例えば両者の集計期間は、開始時期が異なっており一致していません。また、ウェルスナビの利回りは、集計期間トータルの利回り数値であるのに対し、THEO+docomoは1年ごとの年率数値です。
また、データの元となるポートフォリオの組み方では、ウェルスナビは、特定のモデルケースについて運用した場合の実績で、THEOは一定の条件を満たす実際の顧客のポートフォリオについて、その運用実績を年率に換算した数値です。
両者の利回りは集計期間や集計方法、ポートフォリオの組み方などが異なるため、単純な比較は難しいですが、双方ともに年率でプラスを維持し、運用成績の良いものは高い数値を示しています。
リスク許容度別に見ると、双方ともにハイリスクハイリターン型のポートフォリオのほうが、ローリスクローリターン型よりも運用成績が良好です。
2-5 最低投資額の比較
ウェルスナビとTHEO+docomo両者の最低投資金額は、次のとおりです。
- ウェルスナビ:10万円
- THEO+docomo:1万円
ウェルスナビの最低投資金額10万円に対して、THEO+docomoの最低投資金額は1万円と始めやすくなっています。
2-6 税負担を自動で最適化する機能の比較
従来は、ウェルスナビにのみ「DeTAX(デタックス)」という自動税金最適化機能がありました。DeTAXは、配当金を受け取る、または運用途中で最適化を行う場合に売却益が生じると課税対象となるため、ポートフォリオの中に含み損の未決済銘柄があれば同数量の決済を行い、その損金と売却益を相殺して税負担を繰り延べることができる機能です。
THEO+docomoにも自動税金最適化機能が備わっています。税金最適化の方法は、基本的にはウェルスナビと似ています。そのため税負担を自動で最適化する機能の比較では、ほぼ互角と言えるでしょう。
3 どっちのロボアドを選べばいいの?
ウェルスナビとTHEO+docomoの両者ともに、長期国際分散投資を運用の基本方針としており、投資対象銘柄の選定やポートフォリオの作成基準もよく似ています。具体的な投資銘柄数などでそれぞれの個性はあるものの、基本的にはリスクを分散するため広範囲な投資対象をターゲットにするという共通点を見ることができます。
そのため、両者を比較するには、他の評価項目であるコストや最低投資額を基準に選ぶと良いでしょう。
3-1 ウェルスナビが向いている人
コスト面では、基本的な手数料はウェルスナビとTHEO+docomoの両者ともに同じですが、割引サービスの適用条件や内容に差があります。毎月の積立と対象期間内に出金しないというTHEOの割引条件は満たさないが、50万円以上の金額で運用ができるという方は、ウェルスナビの「長期割」特典を受けられるため、向いています。
最低50万円以上のまとまった額で積み立てるよりも投資そのものに価値をおきたいという方は、ウェルスナビを検討してみると良いでしょう。
なお、下記タイアップページ経由で新規に資産運用を開始するなどの条件を満たした方に対して、「1000円がプレゼント」されるタイアッププログラムを実施中です。(※詳細はキャンペーンページで確認してください)
3-2 THEO+docomoが向いている人
THEOの手数料割引サービスの適用を受けるには、dカード GOLDを利用していることや、毎月の積立を行っていること、および対象期間内に証券口座への出金をしていないことなどが条件となります。毎月積立を行い、頻繁に出金しない方は割引サービスが適用されるため、向いています。
なお、THEO+docomoの割引条件を満たすと同時に、50万円以上の運用というウェルスナビの割引条件もクリアする場合でも、THEO+docomoのほうが割引率は大きくなります。
最低投資金額で比較すると、THEO+docomoは1万円から始められるメリットもありますので、少額で始めたい方や、長期的に大きな額を運用したいという方には手数料の割引率が大きいTHEOのほうが適しているでしょう。
4 まとめ
ウェルスナビとTHEOのサービス内容を詳細に比較しました。コスト面で始めやすいTHEOを選ぶか、ある程度まとまった資金で運用を始めるのに向いたウェルスナビを選ぶかは個人の状況次第です。
ロボアドバイザーをこれから始める方は、この記事を参考に、ご自身に合ったサービスを選んでみてください。
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