米国スタートアップ企業の株は日本でも買える? メリット・デメリットも

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スタートアップ企業とは、創業から2~3年程度の企業で、まだ世に出ていないビジネスモデルを開発・提供し、短期的に急成長を目指す企業のことを主に指します。このような企業に投資することができれば、大きな利益も期待できます。

スティーブ・ジョブズ氏らが自宅で創業したアップルは、今や時価総額2兆ドルを超える大企業です。同じく大企業のマイクロソフトやフェイスブックも、元々はスタートアップ企業でした。

個人が米国スタートアップ企業へ直接投資することは一部のエンジェル投資家を除き難しいと言えます。そのため類似の手段として、スタートアップ企業に投資をするファンドに投資する方法やスタートアップ企業に投資している上場企業の株式、上場後のIPO銘柄、もしくは投資信託などに投資することになります。

そこで今回は、米国スタートアップ企業に投資するメリット・デメリット、投資方法などについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年7月2日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. スタートアップ企業に投資するメリット
    1-1.イグジットで利益が期待できる
    1-2.応援したい人や企業をサポートできる
  2. スタートアップ企業に投資するデメリット
    2-1.イグジットできるとは限らない
    2-2.換金性が低い
  3. 米国スタートアップ企業に投資する方法
    3-1.スタートアップ企業に投資するファンドに投資
    3-2.スタートアップ企業に投資している企業の株式に投資
    3-3.上場後に投資する
  4. まとめ

1 スタートアップ企業に投資するメリット

スタートアップ企業への投資で得られるメリットを見ていきます。

1-1 イグジットで利益が期待できる

スタートアップ企業に投資したあと、IPOや企業の売却が決まれば(イグジットを達成すれば)大きな収益が期待できます。スタートアップ企業への投資は出資という形となるため、上場や売却が決まった時点で膨大な利益を得られる可能性があります。IPO価格や株式の売買価格が1株当たりの出資金を大きく上回るケースがあるためです。

ただ、現実的にはスタートアップ企業が倒産せずイグジットできる確率は非常に低いと言われており、シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルでも失敗を前提に多数の企業に出資をしています。

有望な企業には投資案件が多く集まることから、企業も投資家を選んでいる傾向があります。そのため、一般の方にはダイヤの原石のような企業を発掘し投資することは難しくなっています。

1-2 応援したい人や企業をサポートできる

スタートアップ企業へ投資するということは、経営者と同じ船に乗り、イグジットを目指すことを意味します。応援したい人や企業に投資することで、経営者や企業を資金面で支えることができます。経営者と切磋琢磨し企業を育てていくこともでき、企業の成長を間近でみることができます。

2 スタートアップ企業に投資するデメリット

スタートアップ投資のデメリットは以下の通りです。

2-1 イグジットできるとは限らない

スタートアップ企業全てがIPOや売却によるキャピタルゲインの確定をできるという保証はありません。無事イグジットを迎えることができればハッピーですが、多くの企業はそれらを迎えることなく消えてしまいます。スタートアップ企業への投資は夢があるものの、リスクが高いため、最悪の事態を迎えることを想定し、余裕資金で投資するようにしましょう。

2-2 換金性が低い

スタートアップ企業に投資した場合、購入した株式は非上場のため簡単に売買することができません。価格も不透明なため、投資する場合はイグジットを迎えるまで保有するようにしましょう。

3 米国スタートアップ企業に投資する方法

以下では具体的に米国のスタートアップ企業の投資する方法を解説します。

3-1 スタートアップ企業に投資するファンドに投資

個人投資家がスタートアップ企業に投資するのは、一部のエンジェル投資家を除いて難しいと言えます。エンジェル投資でも最低投資金額が100万ドル以上となる場合も多く、個人投資家が投資する場合には「スタートアップ企業に投資するファンド」に投資する手段も取られています。

日本では、HiJoJo Partnersが個人投資家向けに国内外の非上場企業に投資するファンドを販売しています。最低投資金額は100万円で、募集頻度は月1回程度です。ファンドの販売累計額は4月下旬に100億円を突破しました。運用方針は、近い将来にIPOやM&A等のイベント発生の可能性が高いユニコーン企業を、ファンド毎に1社に厳選しています。銘柄を決めて投資することはできません。

分散投資ではないので、リスク分散されない点には注意する必要があります。また運用成績は、投資先の銘柄により大きく異なる点も注意が必要です。また手数料は高めに設定されており、販売報酬1%、運用報酬1%、事務管理手数料1%のほか、成功報酬は22%(ファンドで発生した利益に対し)です。なお、利益は雑所得で総合課税の対象のため、上場株式との損益通算はできませんので注意しましょう。

3-2 スタートアップ企業に投資している企業の株式に投資

スタートアップ企業に投資をしている会社の株式に投資することで、間接的にスタートアップ企業に投資することができます。

代表的な銘柄として、ソフトバンクグループ(東証コード:9984)が挙げられます。同社は、ビジョンファンド(ファンド1と2)を通して米国などスタートアップ企業など224社(2021年3月末)に出資をしています。これら投資先の企業価値が直接ソフトバンクGの収益となるため、投資先の企業価値が上昇することで同社の企業価値(株価)が上昇する可能性があります。

投資先企業の中には、上場することができた企業もあり、総合的に同社の資産価値は上昇傾向にあります。孫会長は決算報告時に負債を差し引いた一株当たりの投資先企業の価値(時価)と株価を比較し公表しています。

米国企業では、プライベート・エクイティ最大手のブラックストーン・グループ(ティッカー:BX)、ほかブルックフィールド・アセット・マネージメント(ティッカー:BAM.N)、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(ティッカー:KKR)などが挙げられます。また、これらの会社に投資するETF(iシェアーズ上場プライベート・エクイティUCITS ETF(ティッカー:IPRV)に投資する方法もあります。

株価は、2021年7月2日時点で、ブラックストーン・グループが51.24ドル、ブルックフィールド・アセット・マネージメントが51.33ドル、KKRが59.79ドル、iシェアーズ上場プライベート・エクイティUCITSが2,184.00ドルです。

外国株式投資は手数料が高めに設定される傾向がありますが、ネット証券を使うことで手数料を抑えることができます。楽天証券ではブラック・ストーン、ブルックフィールド・アセット・マネージメント、KKRの3銘柄、SBI証券やマネックス証券ではKKRを除く銘柄に投資することができます。

3-3 上場後に投資する

スタートアップ企業に個人が直接投資するチャンスはなかなかありません。そのため、上場前に投資することは難しいといえます。気になる会社があれば、上場後に投資するようにしましょう。米国のマイクロソフト、アップル、アマゾン、ネットフリックスなどは、上場以降に投資した場合においても株価は大きく上昇しています。

1986年3月に上場したマイクロソフトのIPO価格は21ドルでしたが、9回の分割を繰り返し、1株が288株に増えたうえ、現在の株価は270ドルです。21ドルが約3,700倍の77,760ドルになっている計算です。

スタートアップ企業の中には、上場後の株価が上昇する企業もあります。将来的にその業界のハブとなり得るような企業に投資することができれば、マイクロソフトのように大きな資産を築くことができる可能性もあります。

まとめ

米国企業のスタートアップ企業へ投資するには、ファンドを通す方法、スタートアップ企業に投資をしている企業(運用会社)の株式を購入する方法、上場以降に投資する方法が考えられます。このなかでは、上場以降に気になる銘柄を購入し、長期保有する方法が最も個人投資家にとって現実的です。

また、HiJoJo Partnersのファンド投資の最低金額は100万円とハードルが高く、ファンド投資先のユニコーン企業をリクエストしたり指定したりすることはできません。投資する場合は高リスクが前提です。

リスクを抑えるには、すでにスタートアップ企業への投資を得意としているブラック・ストーンやKKRなどの投資会社の株を購入する方法が挙げられます。この場合でも依然リスクが高いことには変わりないため、余剰資金の範囲内で慎重に検討してください。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。