松井証券が提供するロボアドバイザー「投信工房」。ファンドラップサービスのような投資一任サービスではありませんが、低コストで投資のサポートやアドバイスをしてくれるのが特徴です。
この記事では、投信工房の特徴やメリット・デメリットのほか、他ロボアドバイザーとの違いや口コミ・評判などをご紹介します。投資信託やロボアドバイザーのサービスに興味をお持ちの方などは参考にしてみてください。
目次
- 投信工房の特徴
- 投信工房のメリット
2-1.各投資家に合わせたポートフォリオの提案
2-2.積立投資は100円から可能
2-3.運用コストは平均0.32%
2-4.リバランス機能の充実 - 投信工房のデメリット
3-1.投資の判断や商品購入はユーザー自身で行う
3-2.税金の最適化サービスに対応していない - 投信工房と他ロボアドバイザーを比較
- 投信工房の口コミ・評判
- 投信工房の始め方
6-1.口座開設
6-2.投資方針の診断
6-3.投資信託の購入
6-4.運用の開始 - まとめ
1 投信工房の特徴
サービス名 | 投信工房 |
URL | https://www.matsui.co.jp |
運営会社名 | 松井証券株式会社 |
本社所在地 | 東京都千代田区麹町一丁目4番地 |
設立 | 1931年(創業1918年) |
代表取締役 | 松井 道夫 |
資本金 | 119億4500万円(2021年3月31日現在) |
社員数 | 154名(2021年3月31日現在) |
上場有無 | 東証プライム上場 |
ポートフォリオ診断 | 0円(無料) |
運用手数料 | 平均0.32%(2021年8月12日時点、税込) |
最低投資金額 | 100円 |
積立頻度 | 毎月・毎週・毎日から選択可 |
出金までの期間 | 依頼日より最短3営業日後 |
特定口座(源泉徴収あり) | 選択可能 |
運用方針 | リスク許容度に応じたポートフォリオを提案、開始後もプラン見直しの提案と自動リバランス |
運用パターン | リスク許容度別に5通り |
リスク許容度別の期待リターン(円建て) | 【リスク許容度1】分散投資(安定型) 期待リターン+3.4% 【リスク許容度2】分散投資(やや安定型) 期待リターン+4.4% 【リスク許容度3】分散投資(バランス型) 期待リターン+5.3% 【リスク許容度4】分散投資(やや積極型) 期待リターン+6.1% 【リスク許容度5】分散投資(積極型) 期待リターン+7.0% |
投資対象 | 投資信託(国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、海外リート、コモディティ) |
リバランスの頻度 | あらかじめ好きな日にちを設定しておくと、設定した日に自動でポートフォリオのリバランスが行われる ※リバランスとは、相場の価格変動に応じて投資信託もしくは保有銘柄の保有割合を再調整すること |
※2022年6月時点の情報となります。最新情報に関しては松井証券のウェブサイトからご確認ください。
松井証券の投信工房は、WEB上での簡単な質問で各投資家のリスク許容度などを診断し、その結果に応じたポートフォリオ(投資信託の組み合わせ)の推奨から運用のメンテナンスに関する提案等を行い、投資家の資産運用のサポートをしてくれる「アドバイス型」のロボアドバイザーサービスです。ユーザーに投資知識や経験などは特になくても、手間を少なく運用できるのが特徴です。
投信工房ではポートフォリオのカスタマイズ機能のほか、自動積立やリバランス積立などのサービスもあり、投資家の経験度や事情などに合わせた投資を支援してくれます。
最低投資額は100円と投資にかかるコストも低いので、少額資金で分散投資ができるのも特徴です。
2 投信工房のメリット
投信工房の具体的なサービス内容やメリットを見ていきましょう。
2-1 各投資家に合わせたポートフォリオの提案
投信工房では、まずリスク診断として事前にいくつかの質問に答えます。「ある程度のリスクをとってリターンを重視するか」「バランス重視にするか」などのリスク許容度を診断し、その結果に基づき各投資家に適した投資方針やポートフォリオを提案してくれます。
診断結果により株式や債権などの資産の比率やそれに合わせた具体的な商品(投信等)が提案されるので、投資家自身で投資対象を選ぶ必要はありません。また、提案されたポートフォリオで運用した場合のシミュレーションや、積立を行った場合の最終的な資産額なども確認できます(あくまで推計となるので運用結果を保証するものではありません)。
このように投資にかかる知識や運用の手間を大幅に軽減してくれるのが投信工房のメリットです。
2-2 積立投資は100円から可能
積立金額を毎月1万円〜と設定するサービスが多い中、投信工房では100円からの積立が可能です。自動で定期的に購入する「投信積立」を利用すれば、購入時期に悩むこともなくリスクを分散させた投資ができます。
積立をするペースは、毎月、毎週、毎日など自由に設定できるため、個人の収入状況に合わせた積立投資が可能になります。
また、公式の無料診断では積立シミュレーションのサービスを受けることができるので、「毎月いくら積み立てると目標金額に達成するか」などを具体的に確認することもできます。
2-3 運用コストは平均0.32%(※)
投信工房の利用料・購入手数料は無料でさらに信託報酬等の費用も低いため、年間コストでは平均0.32%(2021年8月12日時点、税込)の運用が可能となっています。
運用を投資のプロに任せるファンドラップサービスでは、投資家の手間がかからない反面、年間の平均コストは2.2%(金融庁発表)必要です。また、投資一任型のロボアドバイザーでも年間1%以上のコストがかかる場合が多くなります。
一方、投信工房のサービスでは、投資対象を購入時の手数料がかからないノーロード型投信にしています。また、ポートフォリオの構築やリバランスの提案などのサポート役にとどまり、運用・管理の判断はユーザーに委ねる「アドバイス型」になるため、大幅なコスト削減を可能としています。
2-4 リバランス機能の充実
投資目標を達成するにはその時々の経済状況等に適切に対応していくことが必要ですが、ポートフォリオの比率が意図せず大きく変化することもあるため、適宜元に戻す「リバランス」が重要になります。投信工房では、そのリバランスに関する機能が以下のように充実しています。
リバランス積立
投資信託を一定額で購入していく積立投資では、価格変動により資産比率が崩れることもあるので、リバランスを適切に行う手間が必要です。
投信工房の「リバランス積立」機能では、投資信託を積立する場合に目標とするポートフォリオ比率に近づける最適な配分で積立をします。価格変動があっても対象銘柄と金額をロボアドバイザーが自動計算して積み立ててくれるので、手動でリバランスする手間はかからないのが特徴です。
自動リバランス機能
事前に任意の日を設定してポートフォリオのリバランスの実行を予約する機能です。設定した日になるとリバランスが自動的に実施されるため、忙しい方でも負担を少なくして運用できます。
一括リバランス
操作画面から「リバランスする」のボタンを押すだけで、どの銘柄を解約し、どの銘柄をいくら購入すればいいのかなどを瞬時に計算してくれます。ユーザーはその結果を確認し、注文するだけで良いので簡単です。ポートフォリオの比率が目標と大きく乖離したことを確認したときなど、一括で修正する場合に特に便利な機能と言えます。
3 投信工房のデメリット
投信工房を利用する際のデメリットや注意点についても確認をしてみましょう。
3-1 投資の判断や商品購入はユーザー自身で行う
ロボアドバイザーの種類には投信工房のようにポートフォリオの提案・助言にとどまる「アドバイス型」と、ポートフォリオの提案からその購入の実行、ポートフォリオ内の組み換え、リバランスなどを自動で行う「投資一任型」の2つのタイプがあります。
投資一任型は運用面まで自動化できるのに対して、投信工房などのアドバイス型ではアドバイスや助言などはしてくれるものの、投資の実行はユーザー自身の判断で行う必要があります。そのため、運用の手間を極力減らしたい方や、運用する自信がない方などは「投資一任型」が向いているでしょう。
一方、投資知識はなくても投資判断は自分で下したい方、ロボアドバイザーのアドバイスを受けながら投資経験を積みたい方などは、投信工房などの「アドバイス型」が向いています。
3-2 税金の最適化サービスに対応していない
投信工房では、節税対策として投資一任型のロボアドバイザーなどで提供されている「自動税金最適化(DeTAX)」機能がありません。
DeTAXは、ユーザーの税負担が一定額を超える場合、ポートフォリオ内の含み損のある商品を売却し、直ぐに同じ商品を買い戻して運用による損失と利益を相殺することで、その年度の税負担を軽減する機能です(適用には条件あり)。
2020年4月時点では投信工房に税金の最適化機能はないことを留意しておきましょう。
4 投信工房と他ロボアドバイザーを比較
投信工房と主要な他社ロボアドバイザーの違いを比較すると次のようになります。
項目 | 投信工房 | ウェルスナビ | マネックスアドバイザー |
---|---|---|---|
運営企業 | 松井証券株式会社 | ウェルスナビ株式会社 | マネックス証券株式会社 |
ロボアドバイザーのタイプ | 助言型 | 投資一任型 | 助言型 |
ロボアドバイザーのサポートを受けながら自分で運用 | ロボアドバイザーに運用を一任 | ロボアドバイザーのサポートを受けながら自分で運用 | |
サービス利用料 | 無料 | 年1.1%(現金部分を除く、年率・税込) | 年0.330%(税込) |
信託報酬 | 年平均0.30%(税込) | 年0.09~0.13%(税込) | 年0.166%(税込) |
初期投資額 | 1万円から | 1万円 | 5万円 |
最低積立額 | 100円から | 1万円から | 1万円から |
自動積立 | 可能 | 可能 | 可能 |
投資対象 | ノーロード型投信 | 海外ETF | 国内ETF |
自動リバランス | △リバランス積立をすれば可能 | 可能 | 不可(助言により自分で) |
投資一任型の投資コストは年率1%以上かかるケースが多いですが、投信工房ではその半分以下のコストで済みます。また、同じ助言型サービスと比較しても割安なのも特徴です。
このように投信工房は他社サービスに比べて初期投資額や最低積立額が低く、コスト負担も小さいため、少額資金でコツコツと運用したい方にも向いています。
5 投信工房の口コミ・評判
実際に投信工房を利用している方から寄せられた意見や感想は次の通りです。
「100円から気軽に積立投資ができる」
「電話やチャットで相談できるなどサービス体制が充実している」
「他ネット証券と比べると選べる銘柄はあまり多くない」
「アドバイス型で自動リバランス機能の提供はうれしい」
「投資一任型と比べて手数料水準が安い」
※個人の感想です。サービスのご利用にあたっては、ご自分でも情報収集をされた上で最終的にご判断下さい。
手数料の安さや初期投資額の低さを高評価する声が目立ちます。操作方法などわからないことがあれば電話やチャットで相談できるなどサポート体制も好評です。また、アドバイス型でありながら自動でリバランスできる機能がついている点も投信工房の強みとして評価されています。
6 投信工房の始め方
最後に、投信工房の口座を開設する手順をご紹介します。投資工房を利用するためには、松井証券で「基本口座」と「投資信託口座」を開設する必要があります。
6-1 口座開設
まず、基本の個人口座を開設するには、WEBと郵送の2つの方法が用意されています。WEB手続きは以下の流れになります。
- 口座開設情報の入力
- 確認書類のアップロード
- 開設通知とログイン情報の入手(書面・郵送)
- ログイン
WEB手続きの場合は、本人確認書類・ご自身の顔写真の撮影、マイナンバー確認書類の電子アップロードで全てWEB上で完結します。
また、個人口座の開設と同時に投資信託口座も開設されるようになっています。
6-2 投資方針の診断
取引の前にロボアドバイザーによるリスク許容度の診断を受けます。年齢、投資の目的、年収、投資経験、投資知識や投資方針などの質問に答えると、ユーザーのリスク許容度に応じた投資方針が提案されます。
リスク許容度は「安定型」「やや安定型」「バランス型」「やや積極型」「積極型」の5種類で、回答されたタイプについてのポートフォリオの提案および説明が表示されます。
6-3 投資信託の購入
購入方法は、推奨のポートフォリオの「一括購入」と「積立購入」が選択可能です。積立購入では100円から、毎月、毎週、毎日などで自由に設定できます。また、ポートフォリオを最適化しながら積立できる「リバランス積立」なども可能です。
6-4 運用の開始
投信工房のロボアドバイザーから金融市場や経済情勢の変化に応じた見直しの提案が適宜受けられるので、ユーザーはそれに基づいて投資判断をしていきます。
経済の状態によっては積極的な運用か保守的な運用かを選択することもあるため、それに応じてポートフォリオの内容を見直すことも重要です。投信工房ではその見直しの提案などもロボアドバイザーがしてくれ、元のポートフォリオの資産比率に戻す「リバランス注文」機能なども付いています。
まとめ
投信工房は、各投資家の投資方針や資産状況に応じた最適なポートフォリオを提案してくれるだけでなく、リバランス機能なども充実しているロボアドバイザーサービスです。
少額で投資や積立投資をしたい方、コスト負担を抑えた運用が好みの方、アドバイスを受けながら自分の判断で投資経験を身に付けたい方に向いているので、興味のある方は検討してみてください。
- 1万円以下から投資できるロボアドバイザーサービス
- 手数料が安いロボアドバイザーサービス
- スマホでかんたんに積立投資ができるサービス
- 少額で株式投資ができるサービスの比較・まとめ
- ポイント投資・ポイント運用ができるサービス
- 大手が運営しているロボアドバイザーサービス
HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム
最新記事 by HEDGE GUIDE 編集部 ロボアドバイザーチーム (全て見る)
- 積立投資は新NISAの「投資信託」と「ロボアドバイザー」のどちらがおすすめ? - 2024年8月20日
- ウェルスナビの評判は?メリット・デメリットや手数料・実績も - 2024年8月2日
- ROBOPRO(ロボプロ)の評判は?メリット・デメリットや他社との違いを比較 - 2024年6月22日
- ROBOPROの実績・評判は?メリット・デメリットや他ロボアドとの比較も - 2024年6月7日
- 楽天証券、NISAで利用できるロボアドバイザー「ウェルスナビ×R」提供開始 - 2024年5月16日