米国・日本の宇宙産業株・投資信託銘柄は?特長や注意点も

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株式投資の方法に、テーマによって分類された銘柄に投資する方法があります。近年ではESGやAI、軍需、宇宙産業などをテーマとした投資が目立っています。今回取り上げる宇宙産業もその一つです。宇宙産業は、衛星の製造から打ち上げ、宇宙利用など広範囲にわたるため、参入企業が多いことが特徴です。

今回は、宇宙関連投資信託が投資している銘柄を中心に特徴などについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 宇宙関連産業
    1-1.宇宙機器産業
    1-2.宇宙利用サービス産業
    1-3.宇宙関連民生機器産業
    1-4.ユーザー産業
  2. 宇宙関連投資信託
    2-1.東京海上・宇宙関連株式ファンド
    2-2.ニッセイ宇宙関連グローバル株式ファンド
  3. 宇宙産業関連の主な米国株銘柄
    3-1.キーサイト・テクノロジーズ(KEY)
    3-2.テレダイン・テクノロジーズ(TDY)
    3-3.ジェネラック・ホールディングス資本財・サービス(GNRC)
    3-4.ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス(SPCE)
    3-5.アストラ・スペース(ASTR)
  4. 宇宙産業関連の主な日本株銘柄
    4-1.クレハ(4023)
    4-2.古河電気工業(5801)
    4-3.セック(3741)
    4-4.スカパーJSATホールディングス(9412)
    4-5.コア(2359)
  5. まとめ

1 宇宙関連産業

宇宙産業はすそ野が広い総合産業で、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)は宇宙機器産業を頂点に宇宙利用サービス産業、宇宙関連民生機器産業とユーザー産業の4つに分類しています。

1-1 宇宙機器産業

宇宙機器産業とは人工衛星やロケット、地上設備などを製造する産業です。関連企業は米国のボーイングやロッキード・マーティン、オービタルATK、ジェネラック・ホールディングス、日本企業では三菱重工業、川崎重工業、IHI、NEC、三菱電機などが挙げられます。

1-2 宇宙利用サービス産業

宇宙利用サービス産業は、通信衛星などの宇宙インフラを利用し、サービスを提供する産業のことです。企業ではコスター・グループが挙げられます。

1-3 宇宙関連民生機器産業

宇宙関連民生機器産業とは、GPSや通信衛星放送の受信用のアンテナなどを製造する産業です。

1-4 ユーザー産業

ユーザー産業とは、宇宙利用サービス産業が提供するサービスを利用し、事業を行っている産業です。関連企業としては、ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス(SPCE)が挙げられます。

2 宇宙関連投資信託

宇宙に関連する投資信託は、投資信託協会のデータベースで検索すると2021年8月19日時点で8銘柄あります。このうち純資産額が50億円以上の銘柄は、ニッセイ宇宙関連グローバル株式ファンドと東京海上・宇宙関連株式ファンド(それぞれ為替ヘッジ有、無、分配金あり)の6銘柄です。

6銘柄のうち東京海上・宇宙関連グローバル株式ファンドの為替ヘッジ有・無の2銘柄は、楽天証券やSBI証券で取り扱いがあります。

2-1 東京海上・宇宙関連株式ファンド

東京海上・宇宙関連株式ファンドの組み入れ比率上位5銘柄は、アップル3.5%、マイクロソフト3.4%、アマゾン・ドット・コム2.7%、キーサイト・テクノロジーズ2.6%、テレダイン・テクノロジーズ2.5%です。

2-2 ニッセイ宇宙関連グローバル株式ファンド

ニッセイ宇宙関連グローバル株式ファンドの組み入れ比率上位5銘柄は、マイクロソフト9.9%、コンステレーション・ソフトウェア9.4%(カナダ)、ジェネラック・ホールディングス6.4%、HISマークイット6.3%、メトラー・トレド・インターナショナル5.7%です。

3 宇宙産業関連の主な米国株銘柄

宇宙産業関連の主な米国企業についても紹介します。(株価は2021年8月19日時点)

3-1 キーサイト・テクノロジーズ(KEYS)

キーサイト・テクノロジーズは電気・電子計測機器メーカーで、電子計測器やシステムを提供し、同業界では世界最大規模です。

2021年第3四半期決算は好調。売上高は前年の10.1億ドルに対し23%増の12.5億ドル。純利益は前年同期比44.3%増の2.54億ドル、GAAP(※1)ベースのEPS(※2)は1.36ドル(前年同期:0.93ドル)、Non-GAAPのEPSは1.54ドル(前年同期:1.19ドル)です。宇宙、電磁スペクトル、衛星アプリケーションを含むコミュニケーション・ソリューショングループの売上高は前年比15%増の8.75億ドルと好調。

株価は168.79ドル、予想PER(※3)が28.04倍、時価総額は31.1億ドルです。

※1 GAAPとは:「Generally Accepted Accounting Principles」の略。一般に公正妥当と認められた会計原則
※2 EPSとは:「Earnings Per Share」の略。1株当たりの純利益。
※3 PERとは:「Price Earnings Ratio」の略。株価収益率。1株当たりの純利益(EPS)の何倍まで買われているものかを表す指標。

3-2 テレダイン・テクノロジーズ(TDY)

テレダイン・テクノロジーズは航空機エンジンの製造会社です。宇宙関連電子機器などを提供しています。

2021年第2四半期決算(2021年3~6月)の売上高は、前年同期7.43億ドルに対し50%増の11.2億ドル。2021年5月にFLIRシステムズの買収が完了し、買収日からFLIRの決算が含まれます。

株価は450.46ドル、予想PERが28.85倍、時価総額は21.0億ドルです。

3-3 ジェネラック・ホールディングス(GNRC)

ジェネラック・ホールディングスは米国の発電機メーカーです。同社は2020年6月~2021年6月の1年間に4社を買収。2020年7月に産業ディストリビュータであるエナジーシステム、同年9月にオハイオ州のMean Green、同年10月にコロラド州に本社を置く電力網の運用安定性をサポートするソフトウェアプロバイダーのエンバラ、2021年6月には英国のDeep Seaを買収しました。

第2四半期(2021年3~6月)の売上高は、前年同期5.46億ドルに対し68%増の9.19億ドルです。希薄化後のEPSは1.02ドルから2.01ドルに増加しました。

株価は400.32ドル、予想PERは40.61倍、時価総額は252.6億ドルです。

3-4 ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス(SPCE)

ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングスは航空宇宙事業の持株会社です。子会社を介して宇宙事業会社を営んでおり、2021年7月11日に初の有人宇宙飛行に成功しました。この成功により、2022年の商業サービスの立ち上げに向けて大きく前進しました。

現時点で事業開始前のため、2021年度第2四半期(2021年3~6月)の売上は57万ドル、利益は940万ドルの赤字ですが、夢のある会社です。

株価は24.53ドル、予想EPSはマイナス1.4ドル、時価総額は59.1億ドルです。

3-5 アストラ・スペース(ASTR)

アストラ・スペースはロケットの打ち上げ企業で、低コストで低軌道を周回する小型の人工衛星を打ち上げています。

第2四半期決算(2021年3~6月)の純損失(GAAP)は3,133万ドルですが、宇宙軍ロケットシステムの打ち上げが予定されています。元米国防次官が取締役会に加わったこともあり、この分野の成長は期待できそうです。

株価は9.62ドル、予想EPSマイナス0.60ドル、時価総額は19.3億ドルです。

4 宇宙産業関連の主な日本株銘柄

日本ではJAXAが民間事業会社とパートナーシップを結び、宇宙関連事業の創出を目指す研究プログラムに取り組んでいます。ここでは、5銘柄を紹介します。(株価は2021年8月19日時点)

4-1 クレハ(4023)

クレハは、宇宙・地上兼用物理抗菌プラスチック製品事業のパートナー企業です。JAXAが有する原子状酸素照射技術を応用し、従来の抗菌材料よりも優れた抗菌プラスチック製品の事業化を目指しています。

株価は7,150円、予想PERが11.44倍、時価総額は1,480億円です。

4-2 古河電気工業(5801)

古河電気工業は宇宙用電源事業のパートナー企業です。小型衛星向け次世代電気推進機(ホールスラスタ)を共同開発しています。小型衛星は、低コストで短期間での開発が可能なため、小型衛星向け次世代電気推進機の需要は増加傾向にあります。

株価は2,275円、予想PERが12.10倍、時価総額は1,610億円です。

4-3 セック(3741)

セックはシステムエンジニアを究めた技術者の集団でリアルタイム技術を基盤とし、宇宙先端分野や社会基盤システムの計測・制御分野のソフトウエアを提供しています。

株価は2,382円、PERが16.2倍、時価総額は12.2億円です。

4-4 スカパーJSATホールディングス(9412)

スカパーJSATホールディングスは、不要衛星等の移動(除去)サービスと宇宙メディア事業のパートナーです。問題となっているスペースデブリ(宇宙ゴミ)を除去する衛星の設計・開発に着手し、2026年のサービス提供を目指しています。

株価は402円、予想PERが9.2倍、時価総額は122億円です。

4-5 コア(2359)

高精度測位対応受信機をはじめ、GNSS(全世界測位システム)受信機を開発、販売しています。センチメーター精度で測位することができ、ドローン測量など新しい分野での課題解決に活路を見出しています。

株価は1,436円、PERが12.9倍、時価総額は21.3億円です。

まとめ

宇宙産業はすそ野が広いため市場規模が大きく、将来性のある産業分野です。一方で、赤字企業や小型銘柄も多く、投資の面からは不確定要素が多いことも事実です。そのため、初心者の方は投資信託やITA(米国航空宇宙防衛のETF)などに投資するのも選択の一つでしょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。