株式や投資信託などを取引するときの窓口になるのが証券会社です。しかし、証券会社はたくさんあるので、どこで口座開設すればいいのか迷う人も多いのではないでしょうか。
証券会社には、インターネットのみで取引する「ネット証券」と、店頭で直接売買ができる「店頭証券」があります。この記事では、それぞれのメリット・デメリットと、目的に応じてどちらの証券会社を選べばいいのかについて解説します。
目次
- ネット証券とは
1-1.ネット証券はコロナで取引活況 - ネット証券のメリット
2-1.いつでも自分の判断で取引できる
2-2.手数料が安い - ネット証券のデメリット
3-1.担当者からアドバイスをもらえない
3-2.セキュリティや回線上のトラブル - 大手のネット証券会社は?
4-1.SBI証券
4-3.PayPay証券
4-4.松井証券 - 店頭証券とは
- 店頭証券のメリット
6-1.様々な金融商品を紹介してくれる
6-2.IPOの主幹事が多い - 店頭証券のデメリット
7-1.手数料が高い - 店頭証券に向いている人
- まとめ
1.ネット証券とは
ネット証券とは、インターネットのみで株式の売買注文を行うサービスを提供する証券会社です。一般的に店舗がないのでコストを下げることができ、そのぶん手数料が店頭証券より安くなる傾向にあります。
1-1.ネット証券はコロナで取引活況
2020年1~6月期のネット証券の売買代金は153兆円と、集計可能な2012年上半期以降で最高となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2~3月にかけて株価は大きく下落しましたが、それを好機ととらえる個人投資家の取引が増えたからです。
また、投資初心者の参入も増えています。ネット証券大手5社の新規取引口座開設数は2019年12月22万件でしたが、2020年3~5月は18~31万件に達しました。テレワークが広がり在宅勤務が増える中、ネット証券で口座を開いて株取引をしようと考える人が多くなったと考えられます。
2.ネット証券のメリット
ネット証券を利用する際のメリットを以下で解説します。
2-1.いつでも自分の判断で取引できる
店頭に行く必要がなく、オンラインですべて完結できるのがネット証券の大きなメリットです。パソコンやスマートフォンを利用すれば、どこでも株や投資信託の取引ができます。日中忙しくてスキマ時間しか取引できない人にも便利ですし、外出先でも簡単に売買を行うことができます。
ネット証券は、自分で判断して売買するのが基本です。営業マンから電話などがかかってくることは、ほとんどありません。自分のペースで取引したい人は、ネット証券の利用を検討してみると良いでしょう。
2-2.手数料が安い
ネット証券は店頭証券と比べて手数料が安いのも魅力です。10万円以下の株取引なら100円以下の手数料しかからないネット証券も多く、中には手数料が無料の会社もあります。少額取引で手数料が安ければ初心者の方にも優しく、また1日に何回も取引するデイトレーダーもコストを抑えられます。
3.ネット証券のデメリット
対してネット証券には以下のようなデメリットもあります。
3-1.担当者からアドバイスをもらえない
ネット証券では、基本的に証券会社の担当者からのアドバイスはありません。銘柄選択から購入まで、すべて自分で行う必要があるのです。利益がでている間は大丈夫でも、損失が膨らむと不安になる人もいるでしょう。自分自身で投資判断ができるよう、投資の勉強を行いながら利用することが必要です。
3-2.セキュリティや回線上のトラブル
ネット証券はオンライン上で取引するので、情報漏洩リスクがあります。ネット証券では暗号化などでセキュリティを強化したり、個人情報を保護したりする対策を取っていますが、100%安全ではありません。例えばスパムメールのリンクを開いてしまったことで、証券口座のIDとパスワードを盗まれて不正ログインされるといった事例もあります。
またパソコンやスマートフォンの不調や回線トラブルなどで、取引のタイミングを逃してしまう恐れもあります。また、証券会社のシステムがダウンして取引できなくなる可能性もあります。
4.大手のネット証券会社は?
ネット証券は、店頭証券(対面証券)より取引コストがコストが安くなります。また、取引ツールや情報が充実しているので、自分の判断で取引したい人に適しています。
以下では、大手のネット証券会社3社をピックアップして解説していきたいと思います。
4-1.SBI証券
SBI証券は預かり資産・口座数ともにネット証券トップクラスで、多くの個人投資家に利用されています。
日本株の売買手数料は業界最低水準で、とくに1日定額プランは最大で1日100万円まで売買手数料がかかりません。さらに米国株や夜間取引、金や銀などの商品取引など取扱商品は業界トップクラスの豊富さです。ほかの証券会社で取り扱っている金融商品のほとんどをカバーしています。
4-2.PayPay証券
PayPay証券はソフトバンクグループのPayPay証券株式会社が提供するサービスで、日本株・米国株にスマホで1,000円から投資することができます。
PayPay証券では、IPOに1株から投資することができる点や、同じソフトバンクグループであるPayPay株式会社が提供する「PayPayボーナス」をPayPay証券の独自ポイントに交換し、疑似的な運用を体験できる「ボーナス運用」というサービスが利用できる点も大きな特徴です。
4-3.松井証券
松井証券は大正7年に創業され、100年以上の歴史をもつ老舗ながら、日本で初めて本格的なインターネット取引を導入した証券会社です。株式を中心に、投資信託やFXなど幅広い金融商品を扱っています。
松井証券も1日の現物株式取引の約定代金が50万円までは手数料無料となっています。また、高度な発注機能がある「ネットストック・ハイスピード」や登録銘柄の状況を一目で確認できる「株価ボード」など、アプリやツールが豊富です。
5.店頭証券とは
店頭証券とは、店舗があり、投資家ごとに担当者をつけるケースも多い証券会社のことを指します。ネット証券と大きく違うのは、担当者がつく対面取引を主としており、銘柄選択など投資に関するアドバイスをもらえるという点です。
6.店頭証券のメリット
店頭証券を利用する際のメリットは以下の通りです。
6-1.様々な金融商品を紹介してくれる
店頭証券では資金が豊富なリタイア層を主なターゲットとしており、担当者が顧客一人ひとりのニーズに応じて細やかな資産形成のアドバイスを行います。そのため、わからないことは何でも相談できますし、株式や投資信託だけではなく様々な金融商品を紹介してもらえます。ですから、自分の運用手法の幅が広がるというメリットがあるのです。
また入手できる投資情報も豊富で、専属のアナリストによるレポートなどをもらえます。
6-2.IPOの主幹事が多い
IPO(新規公開株)の取り扱いが多いのも、店頭証券の特徴です。IPOでは主幹事証券を中心に複数の証券会社が幹事証券を分担して取り扱うので、幹事証券に口座を開設しないとIPOに応募することはできません。主幹事証券を務めるのは、野村證券や大和証券など店頭証券がほとんどなので、IPO投資を考えているなら、店頭証券で口座を開いた方が有利になります。
7.店頭証券のデメリット
店頭証券のデメリットは以下の通りです。
7-1.手数料が高い
店頭証券は店舗があり、担当者の人件費もかかるので、手数料がネット証券よりも高くなります。また様々な金融商品を取り扱っているのはメリットですが、そのぶん勧誘も多くなります。頻繁に電話がかかってくるなど勧誘がしつこいと感じることもありますし、担当者と仲良くなると断りづらいという点がデメリットです。
8.店頭証券に向いている人
店頭証券では、野村證券、大和証券、三菱UFJ証券HD、SMBC日興証券、みずほ証券が「大手5社」と呼ばれています。
大手5社のうち、もっとも大きな企業規模を誇るのが野村HDです。「証券界のガリバー」と呼ばれる企業規模から、業界内外で大きな存在感を見せています。そして、その次に大和証券グループ本社が続くという形になっています。シェアで大差をつけている野村、そして2番手の大和という構図が長年続いているのです。
店頭証券では、様々なアドバイスをもらえるので、相談しながら資産運用をしたい投資家に向いています。ただ担当者との相性もあるので、実際に店舗に行って話をしてから取引をするかどうか決めるようにするのがおすすめです。
まとめ
証券会社には、「ネット証券」と「店頭証券」があります。取引手数料を安く抑えたいという方はまずネット証券から検討を始めてみると良いでしょう。一方、「金融商品は種類が多いので迷う」「投資相談をしたい」という人は、店頭証券の方が向いていると言えます。
もちろん、最初からどちらかに決めなければいけないという訳ではありません。複数の証券会社に口座を開き、取引しやすい証券会社を決めるようにしましょう。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
- IPO投資に強い証券会社、少額からIPOに参加できるサービス
- 25歳以下の現物株式の取引手数料が実質0円の証券会社
- 大手証券会社が提供している株式投資サービス
- 少額で株式投資ができるサービス
山下耕太郎
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