国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の違いとメリット・デメリット

不動産には興味があるものの、借入等のことを考えると踏み出せない方が多いのではないでしょうか。そのような方にはREITという金融商品があります。REITとは不動産投資信託のことで、多くの投資家から集めた資金を基にオフィスビルやマンションなどの不動産を複数購入し、そこから得られる賃貸料や売買益が投資家に配分される金融商品です。

REIT投資には、個別銘柄に投資する方法とインデックス(J-REIT)に投資する方法があります。インデックスに投資するには、国内REIT ETF(上場投資信託)とJ-REIT投資信託に投資する2つの方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。今回はそれらの違いについて解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の共通点
  2. 国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の違い
    2-1.取扱金融機関
    2-2.銘柄数と投資金額
    2-3.手数料
    2-4.価格
    2-5.取引時間
    2-6.取引方法
    2-7.流動性
  3. 国内REIT ETFのメリット・デメリット
    3-1.メリット
    3-2.デメリット
  4. J-REIT投資信託のメリット・デメリット
    4-1.メリット
    4-2.デメリット
  5. まとめ

1.国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の共通点

国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の共通点は、不動産投資信託であるということです。ベンチマークには、東証REIT指数が使われます。そのため、インデックス運用の場合、運用成績に大きな違いはありません。

東証REIT指数は、現在(2021年5月28時点)61銘柄で構成され、1株から購入することができ、価格帯は2万円台から80万円台までさまざまです。東証REIT指数は、株式の配当利回りに相当する分配金利回りが3.5%と高いため、国内外の機関投資家が注目しています。

2.国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の違い

以下に違いについても解説します。

2-1.取扱金融機関

国内REIT ETFは証券取引所に上場しているため、取り扱いができる金融機関は証券会社のみです。一方、投資信託は証券会社のほか、銀行や郵便局など投資信託を取り扱っている金融機関で購入することができます。

2-2.銘柄数と投資金額

現在、国内REITを対象としたETFは16銘柄です。このうち最低投資金額は2千円台で、最も投資金額が大きな銘柄は上場インデックスファンド毎月分配型(東証コード:1345)の約21万円です。多くの他の銘柄は、1~2.5万円の範囲で投資することができます。

一方、投資信託の銘柄数はETFより多く、現時点で155本あります。投信つみたてを利用すると、ネット証券などでは最低100円から始めることができます。

2-3.手数料

国内REIT ETFは取引所に上場しているため、株式と同様に売買時には手数料がかかります。また、保有期間中には信託報酬が必要です。売買時の手数料については証券会社により異なりますが、ネット証券が対面式証券会社より安い傾向があります。

J-REIT投資信託は、購入時に販売手数料、保有時には信託報酬、解約時には信託財産留保額が必要ですが、現在、販売手数料が不必要なノーロードが主流です。また、信託財産留保額も必要のない銘柄が主流となっています。

信託報酬についてはETF、J-REIT投資信託のどちらも必要です。料率はETFが0.15%強から0.3%弱と投資信託(0.2%弱から1.155%)と比較し、低く設定されています。J-REITを対象としたインデックスファンドは運用成績には大きな違いがないため、手数料率の低い銘柄を選ぶようにしましょう。

2-4.価格

国内REIT ETFの価格には、市場で売買する市場価格と純資産額を基に求められる基準価額の2つが存在します。

また、東京証券取引所ではETFが保有(投資)している全銘柄の価格を、15秒毎に算出したインディカティブNAV(Net Asset Value)で公表しています。保有している資産がほぼリアルタイムに更新されるため、J-REIT投資信託より実勢価格に近い水準で推移していると言えます。

国内REIT ETFは信用取引もできるため、市場価格がインディカティブNAVを下回る水準でETFを購入し、上回るレベルで売却することで、市場の歪みを利用した取引をすることができます。ETFは株式と同様に成行や指値注文が可能です。

一方、J-REIT投資信託を売買する場合の基準価額は、申込み時点(発注は15時まで)では価格は未定で、その日の夜に算出されます。

2-5.取引時間

国内REIT ETFの取引時間は、株式と同様に9時から15時で、夜間取引も可能です。一方、投資信託は毎日15時に注文が締め切られ、その日の夜に算出される基準価額が取引価格となります。

2-6.取引方法

国内REIT ETFは、株式と同様に売買単位が決められており、売買単位(口)の整数倍が取引単位です。注文方法は株式と同じように成行や指値です。

一方、J-REIT投資信託はETFと同じ口数の取引のほか、金額指定の取引が可能です。金額指定とは、金額を指定して投資信託を購入する方法で、証券会社によっては投資信託を100円から購入することができます。金額指定はつみたてに適した投資方法です。

2-7.流動性

東京証券取引所は、ETFの流動性を向上させるために、マーケットメイク制度を導入しました。マーケットメイク制度とは、取引所から指定された値付け業者(証券会社)であるマーケットメーカーが常に「売り」と「買い」の気配値を提示することで、投資家の売買を成立させる方法です。

投資信託の売買は一日1度のみです。流動性という面ではETFが優れています。

3.国内REIT ETFのメリット・デメリット

国内REIT ETFのメリットとデメリットを解説します。また、以下に国内REIT ETFの銘柄や最低投資金額などをまとめました(2021年5月末時点)。

コード 名称 対象指数 売買単位 信託報酬(%) 価格(円) 投資金額(円) マーケットメイク
1343 NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信 東証REIT指数 10 0.155 2,217 22,170
1345 上場インデックスファンドJリート)隔月分配型 東証REIT指数 100 0.33 2,096 209,600
1597 MAXIS Jリート上場投信 東証REIT指数 10 0.25 2,123 21,230
1595 NZAM 上場投信 東証REIT指数 東証REIT指数 10 0.248 2,108 21,080
1398 SMDAM 東証REIT指数上場投信 東証REIT指数 10 0.22 2,117 21,170
1476 iシェアーズ・コア Jリート ETF 東証REIT指数 1 0.16 2,132 2,132
1488 ダイワ上場投信-東証REIT指数 東証REIT指数 10 0.155 2,139 21,390
2552 上場インデックスファンドJリート隔月分配型(ミニ) 東証REIT指数 1 0.245 2,212 2,212
2555 東証REIT ETF 東証REIT指数 10 0.245 2,211 22,110 ×
2556 One ETF 東証REIT指数 東証REIT指数 10 0.155 2,115 21,150
2517 MAXIS Jリート・コア上場投信 東証REIT Core指数 10 0.25 1,220 12,200
2527 NZAM 上場投信 東証REIT Core指数 東証REIT Core指数 10 0.24 1,238 12,380
2528 ダイワ上場投信-東証REIT Core指数 東証REIT Core指数 10 0.2 1,226 12,260
2565 グローバルX ロジスティクス・J-REIT ETF 東証REIT物流 指数 1 0.275 1,136 1,136
1660 MAXIS高利回りJリート上場投信 野村高利回りJリート指数 1 0.25 11,930 11,930
2566 上場インデックスファンド日経ESGリート 日経ESG-REIT指数 10 0.15 1,165 11,650

3-1.国内REIT ETFのメリット

国内REIT ETFのメリットは、J-REIT投資信託と比べ取引所が開いている時間中いつでも売買することができることや、信託報酬が安いことが挙げられます。

3-2.国内REIT ETFのデメリット

国内REIT ETFのデメリットとしては、取引所に上場しているため、売買時に手数料が必要な点が挙げられます。証券会社により手数料率は異なりますが、対面式証券会社よりもネット証券会社が低い傾向にあります。

4.J-REIT投資信託のメリット・デメリット

J-REIT投資信託についても以下に解説します。

4-1.J-REIT投資信託のメリット

J-REIT投資信託は、金額を指定して投資信託を購入できることがメリットです。これは長期積立運用に適した購入方法です。定期的に定額購入するとドルコスト平均法により、対象銘柄の価格が高いときには少額での購入を、安い時には多く購入することができ、リスク分散に繋がります。

4-2.J-REIT投資信託のデメリット

J-REIT投資信託のデメリットとしては、流動性が低い点や信託報酬の高さが挙げられます。銘柄の中には、信託報酬が1%を超す銘柄もあります。同じ指数をベンチマークとしている投資信託の場合は運用成績に大きな差が生じないため、信託報酬が安い銘柄を選ぶようにしましょう。

まとめ

国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の大きな違いは上場しているか、それとも非上場かということです。また、J-REIT投資信託の場合は、金額指定という購入方法が可能だという点がメリットです。金額指定購入は、ドルコスト平均法を用いることができるため、投資信託の長期積立に適した運用方法です。

一方、国内REIT ETFは流動性が高く、インディカティブNAVが公表されていることから市場価格と誤差が生じ収益機会が発生することがあり、市場の歪みを狙った運用が可能です。ただし、J-REIT投信信託のように金額指定の購入はできません。

国内REIT ETFとJ-REIT投資信託の違いを理解した上で、自身の用途にあった投資信託を選ぶようにしましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。