公務員は副業が禁止されていますが、資産運用はその対象ではありません。むしろ、年金制度の改定やインフレを考えると、公務員であっても自分の資産を増やすべき時代になっています。
この記事では公務員の方にも相性の良い投資方法と、注意点について解説します。
※2022年5月20日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 公務員の副業は禁止?
1-1.不動産賃貸
1-2.農業・牧畜・養鶏など
1-3.太陽光発電の販売 - 株や投資信託などの投資も副業ではない
- 公務員も資産運用を考える時代
- 公務員に向く投資法
4-1.投資信託
4-2.iDeCo(イデコ)を利用する
4-3.つみたてNISAを利用する
4-4.公務員の不動産投資 - FXや株式の短期投資は、公務員の投資に向いていない
- まとめ
1.公務員の副業は禁止?
公務員の副業は原則として禁止されていますが、一定の条件を満たせば兼業が認められ、報酬が支払われる場合もあります。過去には禁止されていた公務員の副業ですが、近年は解禁の方向に向かっているのです。そこで、副業禁止の法的根拠、例外が認められるケース、副業解禁の動きについて解説します。
公務員には、国家・国民のために働く「奉仕者」としての使命があります。その職務に対する責任から、民間企業で報酬を得て働くことを控えることが求められており、副業は原則禁止されているのです。
ただ、人事院規則で認められている副業が3つあります。それは「不動産賃貸」「農業」「太陽光発電の販売」です。この3つの副業は、「自営業」に該当しないため、以下に挙げる基準に当てはまらない限り、許可なく自由にできます。
1-1.不動産賃貸
不動産賃貸が副業と認められるケースは、主に以下のいずれかに該当する場合です。
- 独立家屋5棟以上
- アパート10室以上
- 土地の賃貸契約数が10以上
- 駐車場で駐車台数が10台以上
1-2.農業・牧畜・養鶏など
農業・牧畜・養鶏などの仕事については、以下が判断要素となります。基準が必ずしも明確ではないため、職場に確認を取るのが無難です。
- 大規模に経営され、営利が主な目的として判断される場合
1-3.太陽光発電の販売
太陽光発電投資(ソーラーパネルで発電した電気を売却する)の判断基準は以下です。
- 定格出力が10W以上
2.株や投資信託などの投資も副業ではない
投資や資産運用も公務員の副業禁止の対象ではありません。株式や FX(外国為替証拠金取引)、仮想通貨(暗号資産)への投資は営利目的等にならないので、公務員でも可能で、許可も必要ではありません。
ただし、投資によって利益が出た場合は、確定申告をする必要があります(特定口座「源泉徴収あり」の場合などは例外)。確定申告をしないと、罰則が加えられるので注意が必要です。
3.公務員も資産運用を考える時代
資産運用は、定年後の生活も踏まえて構築したライフプランに沿った計画的な運用を考えるようにしましょう。そしてその計画は、定年後の充実感や健康、まわりの大切な人も含めて幸せな生活を送ることができるようなものであると良いでしょう。そのため、今一度、生活設計の再確認が必要です。
また、資産運用のための金融商品は数多くあります。そして、今後も新しい金融商品の開発が予想されるため、常に新しい情報をキャッチしておく必要があるのです。
4.公務員に向く投資法
それでは、公務員の方にも適した投資・資産運用の例を紹介します。
4-1.投資信託
投資信託は投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、投資の専門家であるファンドマネージャーが株式や債券などに投資・運用し、その運用成果を投資家にそれぞれの投資額に応じて分配する金融商品です。
投資成果は、それぞれの投資額に応じて投資家に分配されます。集められた資金は、投資の専門家であるファンドマネージャーが各投資信託の投資方針に基づき、どのような投資を行うかを決定します。
ただ、投資信託の運用成績は、市場環境等によって変動するので注意が必要です。投資信託を購入後、運用成績が好調で利益を得ることもあれば、運用成績が悪化して投資額を下回る損失がでることもあるのです。
このように、投資信託の運用によって得られた利益や損失は、それぞれの投資額に応じて変わります。投資信託は元本が保証されている金融商品ではないので注意が必要です。
4-2.iDeCo(イデコ)を利用する
投資信託を購入するときは、iDeCoを利用すると大きなメリットがあります。iDeCoとは、公的年金にプラスして給付される私的年金制度です。公的年金とは異なり加入は任意ですが、iDeCoを国民年金や厚生年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送れます。
加入手続き、掛金の拠出、運用を自分で行い、掛金と運用益の合計額に応じて給付を受けることができます。そして、以下3つの税金メリットがあります。
- 掛金が全額所得控除
- 利息・運用益が非課税
- 受取時も一定額まで税制優遇
さらに、iDeCoには職業によって拠出金(掛金)に上限があります。公務員の場合、掛金の上限は月額1万2,000円(年間14万4,000円)ですが、2024年12月から月額2万円(年間24万円)に引き上げられる予定です。
4-3.つみたてNISAを利用する
投資信託を購入するときは、つみたてNISAも利用するとお得です。つみたてNISAは少額から積立投資を始められる少額投資非課税制度で、金融庁指定の投資信託やETF(上場投資信託)が対象です。
投資信託の運用益が非課税になり、非課税投資枠は年間で最大40万円となっています。非課税で保有できる期間は投資した年から20年間なので、最大800万円(40万円×20年)が最大投資額となります。株式にも投資できるNISAといずれかを選ぶことになりますが、積極的に利用するようにしましょう。
4-4.公務員の不動産投資
不動産投資とは、アパートやマンションを購入し、入居者からの家賃収入で利益を得る投資方法です。入居者がいる限り、一定の継続収入を得られる点が大きなメリットです。そして、株式投資やFXのように常に値動きを確認する必要がないため、公務員など忙しい人でも投資できます。
ただし、入居率が悪化すると、管理費やローン返済などで採算が合わなくなる可能性があるので、リフォームやメンテナンスなどで空室リスクを減らす対策が必要です。
5.FXや株式の短期投資は、公務員の投資に向いていない
FXとは「外国為替証拠金取引」のことで、簡単に言えば2つの通貨を売買して利益を得る投資方法です。利益を得るためには、常に為替レートをチェックし、売買タイミングを見極めなければなりません。そのため夜中や早朝でも動向が気になり、仕事に集中できなかったり、安眠できなかったりすることもあります。
FXでは、自己資金の25倍を上限とした取引金額を設定できます。ただ、大きな金額で取引をして損失が拡大してしまうと、せっかく稼いだ給料をFXで失ってしまう可能性もあるので、レバレッジをかけたFXは公務員の方にはおすすめできません。
また、短期的な株式投資も、公務員の方には向いていません。なぜなら、こちらも常に株価を監視し、タイミングを見計らって1日に何度も売買をしなければならないからです。本業に集中することが難しくなり、売買の判断を誤る恐れがあります。そして、株式投資に関する知識をアップデートしたり、経済情報に敏感になったりする必要もあるので、時間に余裕のない公務員の方にはおすすめできないのです。
まとめ
公務員でも投資や資産運用をすることは可能です。ただ、短期売買ではマーケットの動きを常に監視しなければいけないので、投資信託の長期保有や家賃収入狙いの不動産投資など、手間があまりかからない方法での資産運用を検討してみると良いでしょう。
山下耕太郎
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