時価総額から考える仮想通貨トレード【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】

今回は、仮想通貨の時価総額について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 仮想通貨の時価総額とは?
    1-1.時価総額の概要
    1-2.時価総額の大小
    1-3.時価総額と発行量
  2. 時価総額を踏まえたトレード方法
    2-1.初心者は時価総額の大きい銘柄から
    2-2.時価総額と機関投資家
    2-3.時価総額と発行量
  3. まとめ

近年、仮想通貨(暗号資産)業界がますますその規模を拡大しており、多くのトレーダーが取引市場に参入しています。その一方で、仮想通貨取引はFXなどと比べるとまだ歴史が浅く、明確な投資のロジックなども確立されていないため、投資銘柄の選択に悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、仮想通貨の時価総額に注目し、時価総額を踏まえた仮想通貨のトレード方法について、詳しく解説していきます。

①仮想通貨の時価総額とは?

1-1. 時価総額の概要

仮想通貨取引を行う際によく耳にするのが、「時価総額」と呼ばれるものです。

時価総額とは、該当する仮想通貨の市場価格と、その発行量を掛けて算出したものです。例えば5月13日時点のビットコイン(BTC)の時価総額は366万円×1,900万BTC=69兆8,000億円となります。

VTC MCAP

時価総額は、市場と発行量によって変動するため、それぞれの仮想通貨の価値を平等に判断できるインジケーターとなっています。そのため、ある時点での正確な時価総額を比較する場合には、その都度計算することが重要となってきます。

なお、時価総額は仮想通貨関連のさまざまなサイトでリアルタイムで公開されており、特に、あらゆるマーケットデータを公開している「CoinMarketCap」は多くのトレーダーに利用されている使い勝手の良い情報サイトとなっています。

1-2. 時価総額の大小

前項で、時価総額は仮想通貨の価値を判断する重要な材料だと説明しましたが、実際に時価総額の大小は仮想通貨にとってどのような意味を表すのでしょうか?

まず、時価総額が大きい仮想通貨はそれだけ需要が高いと言うことができ、大きければ大きいほど信用度がより高く、マーケットに与える影響も大きいと考えることが可能です。そのほか、時価総額が大きい仮想通貨の相場を動かそうと思うとかなりの資金が必要となってくるため、価格の大きな変動が時価総額の少ない通貨よりも少なく、より安定した取引が可能です。

一方で、時価総額が小さい仮想通貨は市場に与える影響も少なく、少ない資金でも相場を簡単に動かすことができてしまうため、乱高下の状態が発生しやすく、トレードも比較的困難であると言うことができます。

1-3. 時価総額と発行量

時価総額の算出方法は、仮想通貨の現段階における市場価格とその発行量を掛けると説明しましたが、この計算式からも分かるように発行量は時価総額に大きく関連しています。

仮想通貨取引において、それぞれの通貨の価値をはかる際、そのトークンの価格が高いか安いかという点に注目してしまいがちですが、それだけでは本当の価値をはかることはできません。一般的に、仮想通貨の発行量が少なければそれだけ希少価値は上がるため、1単位あたりの値段は高くなり、反対に発行量が多いと、1単位あたりの値段は低くなります。しかし、発行量は基本的に作成者が自由に決定できるため、需要との直接的な結びつきがあるとは言えません。

そこで、発行量に注目することでそのコインの本当の価値(時価総額)を算出できるというわけです。なお、発行量が少ないものは1単位の比重が比較的大きいため、価格が乱高下しやすく見えます。反対に発行量が多いものは単価が低いので「初心者に好まれやすい」と言われています。

仮想通貨の中で時価総額の大きい「ビットコイン(BTC)」の最大発行量は2,100万BTCと、比較的少ない設定です。22年5月13日時点にすでに発行上限の90%にあたるBTCがマイニングされています。世界的な投資家に買われているBTCの価格は約366万円と、非常に高額となっています。一方で、柴犬をモチーフとしたミームコインとして知られている「ドージコイン(DOGE)」は発行量の上限がありません。22年5月7日時点に約1,326.7億DOGEが流通しており、ビットコインの約6,317倍にもおよぶ数が流通しています。ドージコインも米国の投資アプリRobinhoodのユーザーを中心に世界的に人気がありますが、市場価格は10.51円となっています。

基本的に、このような発行量がかなり多い仮想通貨に関しては、価格が100円を切ることがほとんどです。

②時価総額を踏まえたトレード方法

2-1. 初心者は時価総額の大きい銘柄から

時価総額の大きい銘柄は、既に多くの仮想通貨取引所に上場しており、日々の取引量が高い傾向があります。取引量が大きいほど、価格が乱高下しにくくなるため、取引しいやすいというメリットがあります。また、このような通貨はチャートも綺麗に表示される傾向があるほか、ロジックから外れた動きを見せることも比較的少ないという点も特徴の一つと言えます。そのため、時価総額の大きい銘柄はテクニカル分析がよりフィットしやすく、取引方法を判断しやすいと言えます。

このように、時価総額の大きい銘柄は傾向が掴みやすく、取引の判断が比較的容易であるため、まだあまり取引経験のない初心者トレーダーはこのような銘柄から優先的に取引を行うことをおすすめします。

2-2. 時価総額と機関投資家

ビットコインなどの時価総額が高くなっている理由の一つとして、機関投資家の参入が挙げられます。

機関投資家とは、大手の銀行やヘッジファンド、保険会社や共済組合などといった、高額の資金を使用して仮想通貨の取引を行う大口投資家のことを指します。機関投資家は個人と比べてかなり高額の資金を運用しているため、時価総額の高い仮想通貨には、こういった期間投資家の存在が関係していることが多くなっています。

なお、個人のトレーダーはそれぞれに条件が異なり、その時々によってトレードの手法を変えたり、外的要因によってトレードを行わない時期があったりと、トレード傾向にかなりのばらつきがあるのが事実です。

一方で、機関投資家はトレードの手法が比較的ロジカルで一定なため、彼らが取引に参入している銘柄のチャートは動きが比較的読みやすくなっています。そのためトレードを行う場合は、機関投資家もやりとりしている銘柄、つまり時価総額が高い銘柄を選択することをおすすめします。

Bitwise 10 Crypto Index Fund

③まとめ

仮想通貨投資はまだまだ新しい分野で日々研究が重ねられていますが、その中でも時価総額は投資銘柄を選択する際における重要な要素の一つとなっています。時価総額は発行量と密接に結びついており、仮想通貨それぞれの価値をはかることのできる重要な指標と言えます。もちろん投資に絶対はありませんが、現在どの銘柄に投資しようか迷っている方は、ぜひ一度時価総額に注目して判断してみることをおすすめします。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12