定年後の投資デビューに適した投資と主なサービスは?メリット、リスク比較も

「人生100年時代」といわれるように、長生きすることが当たり前となった今、老後資金を少しでも増やすための対策として、定年後に行う投資の重要性が増しています。しかし、投資には元本を失うリスクもあるため、特に60代以降で未経験者の場合、低リスクな積立投資に適した銘柄選びなどが大切になります。

この記事では、定年後からでも始められる投資の種類や、メリット・リスクについて詳しく解説していきます。老後資金を効率良く作りたい方、各金融商品の特徴を知りたい方はご参考ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定ファンド・サービスへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2021年11月22日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 定年後に始める投資とは
  2. 定年後に行う投資のメリット・リスク
    2-1.老後資金の維持が可能になる
    2-2.老後の選択肢が増える
    2-3.投資元本を下回る可能性がある
  3. 定年後の投資デビューに向く金融商品
    3-1.eMAXIS Slim バランス(8資産型)
    3-2.つみたて8資産均等バランス
    3-3.iFree 8資産バランス
    3-4.三井住友・DC年金バランス50(標準型)
    3-5.三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)
  4. まとめ

1 定年後に始める投資とは

金融庁がまとめた「高齢社会における資産形成・管理(2019)」に関する報告書では、高齢夫婦無職世帯の毎月収入から毎月支出を引くと、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円が不足すると試算されています。

なお、この報告書は、2017年の情報をもとにした概算であり、全ての人に当てはまるものではありません。しかし、平均寿命が伸びる中、老後の生活資金をどう確保するかの問題は多くの人に当てはまるため、2019年に各メディアで取り上げられた時は大きな話題となりました。

しかし、老後資金や退職金などまとまったお金を一度につぎ込むことは、投資リスクの高い行為でもあります。そのため、これまでの貯蓄をあまり減らしたくない定年後の資産運用では、大きなリターンを狙うのではなく、低リスクで運用しながら銀行利息よりも高い利回りを狙う投資スタイルが重要になります。

例えば、国別分散された株式、債券、リート(不動産投資信託証券)など複数の金融商品を組み入れたバランスファンド(投資信託)は、株価が大きく下がったとしても、複数の資産に分散されているため、大きな損失を回避することが可能です。

また「NISA(少額投資非課税制度)」を活用すると、運用益にかかる税金を非課税にできます。NISAとは、個人投資家のための税制優遇制度のことで、毎年120万円の非課税枠が設定されています。

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資して配当金や譲渡益等の利益が出た場合、20.315%の税金を納めなければいけません。例えば、株や投資信託を運用して100万円の利益が出た場合、100万円–20.315%=203,150円が支払う税金になります。

一方、NISAでは、最長5年間、毎年120万円(非課税投資枠は最大600万円)の枠内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります(※120万円の非課税枠全てを使わなかった場合に、未使用枠を翌年に繰り越すことはできません)。

2 定年後に行う投資のメリット・リスク

定年後に行う投資では、リスクの抑えた運用ができれば、銀行預金よりも効率良く老後に必要なお金を作ることができます。定年後に行う投資のメリット・リスクについて詳しく確認してみましょう。

2-1 老後資金の維持が可能になる

日本は、欧米と比べて資本所得の割合が低く、日ごろからの資産形成があまり根付いていません。

一方、「令和2年版 厚生労働白書」によると日本の平均寿命は2040年時点で女性89.63歳、男性は83.27歳と年々延び続けています。仮に85歳まで生きるにしても、定年を迎える60歳から25年間あります。高年齢者雇用安定法により、2025年から65歳定年制になりますが、65歳以降は年金を頼りにした生活をすることになります。

限られた収入の中から生活を送ることになるため、不足分は貯金を取り崩す必要もあるほか、思わぬ怪我や病気をした際は予定外の出費も発生することがあるので、年金や貯金だけで老後資金を維持するのは難しくなる可能性もあります。

そこで、定年後からバランスファンド等の金融商品を無理のない範囲で積み立てるとします。例えば、銀行預金で毎月5万円を貯金しても、15年間で元本900万円とわずかな利息が付くのみですが、投資信託を毎月5万円の金額で積み立て、年率3%で運用できたとすると、1,134万8634円ぶんの資産を作ることができるため、銀行預金で運用するよりも資産形成がしやすくなります。

2-2 老後の選択肢が増える

「ハッピーリタイアメント」という言葉があるように、欧米では、リタイア後の生活を第2の人生として、謳歌するという考え方があります。例えば、フランスでは、「老いを愛する」という考え方をもと、人生の最期まで楽しみ尽くそうという文化があり、子育てや仕事でできなかった趣味や旅行など、老後生活で満喫するということを目標にするのが欧米のリタイアメントです。

欧米と日本の文化は異なるものの、老後は悠々自適に暮らしたい考える点は同じです。しかし、老後に悠々自適な生活を送るためには、生活費や医療費を除いた自由なお金が必要になる一方、平均的な高齢無職夫婦世帯では毎月5万円の赤字が出るとの試算です(金融庁「高齢社会における資産形成・管理」より)。

金融庁は、「毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる」ともしているため、資産運用で定年後の生活資金を確保する必要性は高く、早く始めるほど複利効果による恩恵も大きくなります。

将来必要なお金を計画的に作ることができれば、趣味や旅行、家族にお金を残すことも可能なので、老後の選択肢も増えます。

2-3 投資元本を下回る可能性がある

投資をすれば確実に資産が増えるわけではありません。売却時に投資元本を下回っている可能性もあるため、それを踏まえた上で、老後ではリスク分散を図った運用スタイルが重要になります。

例えば、株式、債券、リートなど幅広く資産分散された金融商品(バランスファンド)を選択し、長期で保有する方法です。以下の通り、バランスファンドは資産分散されていない株式中心のファンドよりも一般的に低リスクとなっています。

バランスファンドと株式ファンドのリスク比較

ファンド名 6カ月 1年 3年
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) 7.81 7.10 15.21
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 10.69 11.34 22.64

上表は、一定期間のリターンが、同期間の平均値から乖離する乖離幅を示しており、数値が大きいほど収益の不確実性が高く、数値が小さいほど収益の不確実性が低いことを表しています。

6カ月、1年、3年区切りで見ると、バランスファンド(eMAXIS Slim バランス)は、株式ファンド(楽天・全世界株式インデックス・ファンド)と比較して低リスクとなっています。

3 定年後の投資デビューに向く金融商品

バランスファンドには、「資産均等型」「株式重視型」「債券重視型」など様々な種類があります。堅実に運用をしたい人には資産均等型、リターンを重視したい人には株式重視型、低リスクを重視して運用をしたい人には債券重視型と、好みに合わせてタイプを選択できます。定年後の投資デビューに向く個別具体的な金融商品を以下、ご紹介します。

3-1 eMAXIS Slim バランス(8資産型)

「eMAXIS Slim バランス(8資産型)」は、世界各国の株式、公社債、リートに投資しており、地域別にバランスよく分散されている資産均等型のファンドです。国内外の株式、公社債、リートに幅広く分散されているため、一定のリターンとボラティリティの低減が期待できます。

また、このファンドの管理費用は、0.154%とバランスファンドの中で最安水準となっているため、長期運用に向いています。

3-2 つみたて8資産均等バランス

「つみたて8資産均等バランス」は、世界各国の株式、公社債、リートに投資を行い、先進国から新興国まで幅広く分散されている資産均等型のファンドです。地域別、セクター別に幅広く分散されていることからボラティリティの低減効果が見込めるほか、継続的な収益が期待できます。

eMAXIS Slim バランス(8資産型)に続き、バランスファンドの中では大型で、流動性の高いファンドとなっています。

3-3 iFree 8資産バランス

「iFree 8資産バランス」は、国内外の株式、債券、リートに投資している資産均等型のファンドで、信託財産の着実な成長と収益の確保が期待できます。

このファンドの構成比率は、8つの資産クラスである国内株式、先進国株式、新興国株式、国内リート、海外リート、国内債券、先進国債券にそれぞれ均等に分散投資されています。また、過去5年間のリターンは48.8%と着実に収益を出しています。

3-4 三井住友・DC年金バランス50(標準型)

「三井住友・DC年金バランス50(標準型)」は、世界各国の株式および公社債に分散投資しており、構成比率は、国内株式35%、外国株式15%、国内債券5%、外国債券10%、残り5%は短期金融資産に投資しています。

国内株式と国内債券の比重が高いのが特徴で、ファンド純資産とトータルリターンは堅実に伸びており、総合的にバランスの取れたファンドとなっています。

3-5 三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)

「三井住友・DC年金バランス70(株式重点型)」は、国内外の株式および債券に投資しており、基本株式組入比率が70%に設定されている株式重点型のファンドです。株式比率が高く、ややハイリスクな一方、過去5年のトータルリターンは56.6%と他のバランスファンドよりも高パフォーマンスです。

そのため、老後資金に余裕があり、リターンを重視したい人向けのファンドとなっています。

まとめ

定年後の投資は、老後資金問題の不安を解消し、老後の楽しみや選択肢が増えるなどのメリットもあります。また、少額投資非課税制度のNISAを活用することで、未経験者でも運用コストを抑えつつ低リスクな資産形成に取り組むことができます。

ただし、投資は銀行預金と異なり、元本割れのリスクを伴うため、一定の現金比率を保つことも重要です。定年後の投資に関心がある方は、メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、投資方針に合った銘柄選びを検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム

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