ESG投資とは、企業の環境・社会・企業統治への対応に注目して行う投資のことです。従来、個人投資家がESGの観点から投資判断を行うことは難しかったものの、最近ではESG関連の投資信託が増えており、これらの銘柄を購入すれば、手軽にESG投資を実践できるようになっています。
そこでこの記事では、ESG投資ができる投資信託について詳しくご紹介します。ESG投資についてよく知りたい方、投資を通じて環境・社会問題の解決に取り組む企業を応援したい方は、ご参考ください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2021年11月23日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- ESG投資とは
- ESG投資ができる投資信託6選
2-1.グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
2-2.eMAXISジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス
2-3.Smart-i 先進国株式ESGインデックス
2-4.ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)
2-5.SBIグローバルESGバランス・ファンド(為替ヘッジなし)
2-6.世界インパクト投資ファンド - まとめ
1 ESG投資とは
ESG投資とは、企業の環境、社会、企業統治に対する取り組みを分析・評価して行う投資手法のことです。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取った単語で、これらの課題に積極的に取り組もうとする企業の方針や、具体的な活動のことを意味します。
ESG投資が広く認知されるようになったきっかけの1つは、2006年に国連が提唱した責任投資原則(PRI)です。責任投資原則とは投資家の意思決定に際し、ESGを重視することを求めるもので、多くの機関投資家などによって署名・賛同されました。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も2015年に署名をし、複数のESG関連指数をベンチマークとして採用するなど、ESG投資への対応を進めています。
中長期での成長が期待できる企業を投資対象とするESG投資は、同じく中長期投資に適した金融商品である投資信託との相乗効果が期待できます。
また、ESGに関する評価を個人投資家が行うことは本来難しいのですが、投資信託ではプロの投資家が行ってくれるので、投資初心者でもESG投資を手軽に実践できるのも特徴です。
2 ESG投資ができる投資信託6選
ESG投資ができる投資信託をご紹介します。なお、以下の情報は、2021年11月23日時点で各委託会社(運用会社)が公表する交付目論見書や、最新の月次報告等に基づいています。
また、各銘柄の騰落率は、実際の取引に際して発生し得る手数料や税金等が考慮されていないため、実際の運用結果とは一致しません。また、騰落率はあくまでも過去の実績であり、将来における結果を保証するものではありません。
このほか、各種手数料を含む取引条件等は、販売会社(証券会社等)によって異なる場合もあるため、ご注意ください。
銘柄名 | 信託報酬 | 純資産総額 | 騰落率(1年) |
---|---|---|---|
グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) | 1.848% | 1兆2,015億円 | 26.6% |
eMAXISジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス | 0.440% | 9億円 | 31.5% |
Smart-i 先進国株式ESGインデックス | 0.286% | 10億円 | 55.6% |
ブラックロックESG世界株式ファンド | 0.761% | 37億円 | 37.7% |
SBIグローバルESGバランス・ファンド(為替ヘッジなし) | 1.617% | 9億円 | 22.8% |
世界インパクト投資ファンド | 1.980% | 541億円 | 45.7% |
2-1 グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
純資産総額 | 12,015億円 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | グローバル(日本を含む) |
為替ヘッジ | なし |
委託会社 | アセットマネジメントOne株式会社 |
みずほ系の運用会社であるアセットマネジメントOneが手掛ける投資信託です。競争優位性やESGへの取組などを評価して質の高いと考えられる企業の中から、市場価格が理論価格よりも割安と判断される銘柄に投資をすることを目指しています。
構成銘柄の業種別では、情報技術が45.7%、一般消費財・サービスが14.7%となっています。国別ではアメリカが72.6%と大部分を占め、インド、カナダなどが続いており、日本銘柄の割合は3.1%です。
この銘柄の購入時や保有時にかかる手数料は以下の通りです。
購入時手数料上限 | 購入価額の3.3%(税込) |
信託財産留保額 | 基準価額の0.3% |
信託報酬 | 年率1.848%(税込) |
また、2021年10月29日時点の基準価額は13,094円で、騰落率は以下の通りです。
3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | 設定来 |
---|---|---|---|
4.12% | 5.30% | 26.55% | 30.94% |
ESGをテーマとした投資信託の中では国内トップクラスの純資産総額なので、ESG投資に初めて取り組む方や、今後の成長が期待できる投資信託を検討したい方にも向いています。
2-2 eMAXISジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス
純資産総額 | 9.15億円 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | 日本 |
為替ヘッジ | なし |
委託会社 | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
eMAXISジャパンESGセレクト・リーダーズインデックスは、三菱UFJ国際投信が運用するノーロード・インデックスファンド・シリーズ「eMAXIS」の1つで、MSCI ジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(配当込み)に連動することを目指すインデックス投信です。
MSCI ジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(配当込み)は、ESGに優れた日本企業の銘柄で構成される株価指数です。この指数は2021年始めに2,300ポイント前後で推移していましたが、2021年11月22日時点では2,600ポイント前後の水準にまで上昇しています。
主な構成銘柄は、電気機器(21.5%)、化学(9.4%)、輸送用機器(9.3%)となっており、個別ではトヨタ自動車・ソニーグループ・キーエンスなどの構成比が高くなっています。
この銘柄の購入時や保有時にかかる手数料は以下の通りです。
購入時手数料上限 | なし |
信託財産留保額 | なし |
信託報酬 | 年率0.440%(税込) |
また、2021年10月29日時点の基準価額は13,410円で、騰落率は以下の通りです。
3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | 設定来 |
---|---|---|---|
8.0% | 8.8% | 31.5% | 34.1% |
日本株主体で構成されているESG銘柄なので、海外株よりも日本企業を中心としてESGに関連した投資を行いたい方に適しています。
2-3 Smart-i 先進国株式ESGインデックス
純資産総額 | 9.7億円 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | グローバル(日本を除く) |
為替ヘッジ | なし |
委託会社 | 三菱UFJ国際投信株式会社 |
「Smart-i」シリーズは、りそなアセットマネジメントが手掛けるノーロード・豊富なラインナップを強みとする投資信託です。シリーズの1つとして運用されている「Smart-i 先進国株式ESGインデックス」は、MSCI-KOKUSAI ESG リーダーズ指数をベンチマークとしています。
MSCI-KOKUSAI ESG リーダーズ指数とは、日本以外の先進国株式の中からESG評価の高い銘柄を集めて構成されている指数です。この投資信託を購入することで、ESG分野への取り組みを進めている世界的な企業群に投資をすることができます。
地域別ではアメリカ(64.2%)が多くを占めており、イギリスやカナダなどが続いています。個別銘柄ではマイクロソフト(7.2%)が最も多く組み入れられており、その他テスラやアルファベットなどが上位にあります。
この銘柄の購入時や保有時にかかる手数料は以下の通りです。
購入時手数料上限 | なし |
信託財産留保額 | なし |
信託報酬 | 年率0.286%(税込) |
また、2021年10月29日時点の基準価額は15,273円で、騰落率は以下の通りです。
3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | 設定来 |
---|---|---|---|
8.8% | 15.3% | 55.6% | 52.7% |
Smart-i 先進国株式ESGインデックスは、ESG関連の海外株を対象とする投資信託を検討したい方に適した銘柄です。
2-4 ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)
純資産総額 | 36.53億円 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | グローバル(日本を含む) |
為替ヘッジ | なし |
委託会社 | ブラックロック・ジャパン株式会社 |
世界的運用会社であるブラックロックが展開するESG投資信託です。主な投資先は、ESGに着目して選定された先進国株式であり、為替ヘッジを行っていないため、為替変動の影響を受けます。なお、為替変動リスクを抑えた「ブラックロックESG世界株式ファンド(限定為替ヘッジあり)」も取り扱われています。
投資先は、トップのアメリカ(65%)に次いで日本(6.5%)が2位となっています。業種では情報技術(23.8%)が最も高く、その他アップルやマイクロソフトが組入上位です。
この銘柄の購入時や保有時にかかる手数料は以下の通りです。
購入時手数料上限 | なし |
信託財産留保額 | なし |
信託報酬 | 年率0.7608%(税込) |
また、2021年10月30日時点の基準価額は19,727円で、騰落率は以下の通りです。
3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | 設定来 |
---|---|---|---|
1.59% | 10.40% | 37.74% | 97.27% |
ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)は、米国株・日本株を両方組み入れたESG投資信託や、米ドルベースのESG投資信託を検討したい方に向いています。
2-5 SBIグローバルESGバランス・ファンド(為替ヘッジなし)
純資産総額 | 8.69億円 |
投資対象資産 | 資産複合 |
投資対象地域 | グローバル(日本を含む) |
為替ヘッジ | なし |
委託会社 | SBIアセットマネジメント株式会社 |
SBIグローバルESGバランス・ファンド(為替ヘッジなし)は、SBIアセットマネジメントが運用する株式・債券複合型の投資信託です。ESGに関連したポジティブな社会的影響を与えることができる銘柄に着目した運用を目指しています。
この投資信託はファンド・オブ・ファンズ方式が採用されており、ユーロ建てでの運用となります。一方、為替ヘッジを行わないタイプの「SBIグローバルESGバランス・ファンド(為替ヘッジあり)」も提供されており、円建ての運用となります。
投資対象は株式50%・債券50%を基本としていますが、市況や経済環境によって上下10%の調整を行うこともあり、株式40%・債券60%や株式60%・債券40%の構成となる場合もあります。株式ではESG関連技術・サービスで実績のある米国法人、債券では欧州の政府機関債券などが上位に組み込まれています。
この銘柄の購入および保有にかかる手数料は以下の通りです。
購入時手数料上限 | 購入価額の3.3%(税込)(上限) |
信託財産留保額 | 基準価額の0.1% |
信託報酬 | 年率1.617%~1.637%(税込) |
また、2021年10月29日時点の基準価額は12,514円で、騰落率は以下の通りです。
3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | 設定来 |
---|---|---|---|
3.81% | 5.97% | 22.79% | 25.14% |
主に気候変動に適応・対応した世界各国の企業に投資するファンドとなっているため、環境保全や社会貢献に関心の強い方向けです。
2-6 世界インパクト投資ファンド
純資産総額 | 540.55億円 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | グローバル(日本を含む) |
為替ヘッジ | なし |
委託会社 | 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 |
世界インパクト投資ファンドは、三井住友DSアセットマネジメントが手掛けるファミリーファンド方式の投資信託です。「衣食住の確保」「生活の質向上」「環境問題」を主な目的としており、これらのテーマに沿ってスクリーニングされた高ポテンシャルな銘柄に投資できるのが特徴です。
組入上位の国はアメリカ、オランダ、イギリスと複数ありますが、アメリカは全体の6割程度を占めており、特に「健康促進」「資源の効率化」「金融サービス」などの分野に強みを持つ銘柄の構成比が高くなっています。
購入時や保有時にかかる手数料は以下の通りです。
購入時手数料上限 | 購入価額の3.3%(税込)(上限) |
信託財産留保額 | なし |
信託報酬 | 年1.98%(税込) |
2021年10月29日時点の基準価額は15,396円で、騰落率は以下の通りです。
3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | 設定来 |
---|---|---|---|
5.6% | 10.1% | 45.7% | 124.1% |
インパクト投資とは、社会的課題の解決と経済的な利益の両立を目指す投資活動です。そのため、ESGに配慮しながらもしっかりと利益を確保したい方に向いたファンドとなっています。
まとめ
ESGの観点から投資を考える際、運用先の選定をプロの投資が行ってくれる投資信託は、特に取り組みやすい金融商品です。ESGをテーマとした新しい銘柄も増えてきており、以前より選択肢の幅が広がっている一方、投資信託は元本割れのリスクを伴う点にも注意が必要です。
また、銘柄によって異なりますが、購入時・保有時・解約時に手数料が発生する場合もあるため、ESG投資を行う際はリターンとコストのバランスをよく検討することも大切です。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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