仮想通貨事業で注目される銀行、米Silvergate(シルバーゲート)について解説【Meta(旧facebook)とも協業】

目次

  1. Silvergate銀行の概要や事業内容
    1-1. Silvergate銀行の概要と沿革
    1-2. Silvergate銀行の事業内容
  2. Silvergate銀行の仮想通貨関連事業
    2-1. Silvergate Exchange Network(SEN)
    2-2. ビットコインを担保とする融資商品SEN レバレッジ
    2-3. ステーブルコイン「Diem(ディエム)」の開発
  3. まとめ

仮想通貨(暗号資産)を購入する際には現金を仮想通貨取引所に送金する必要があります。そして仮想通貨への投資で得た利益を換金するには一般的に銀行口座が必要となります。

日本では仮想通貨と現金との交換は仮想通貨取引所で行われ、銀行は仮想通貨の取引には携わっていません。しかし、アメリカにあるSilvergate(シルバーゲート)銀行は仮想通貨取引所への出入金だけではなく、銀行そのものが仮想通貨を取り扱うサービスを行っています。特に、広く使用されている米ドルにペッグされたステーブルコインUSDCとも関連のある銀行です。

Silvergate銀行は新しい形の銀行のモデルケースであり、仮想通貨取引を行う方は知っておいて損はないと思います。そこで今回は、Silvergate銀行とはどのような会社で、仮想通貨とどのような関わりを持っているのかという点について解説したいと思います。

①Silvergate銀行の概要や事業内容

まずは、Silvergate銀行の概要や事業内容について解説します。

1-1. Silvergate銀行の概要と沿革

Silvergate銀行は、Silvergate Capital Corporationの完全子会社で、1988年にアメリカカリフォルニア州ラホーヤで設立されました。連邦準備制度の下に管理される合法的な銀行で設立当初はコマーシャルバンクとして運営されていましたが、2013年にデジタル通貨イニシアチブと呼ばれるプロジェクトを開始、仮想通貨の取引に最も早く乗り出した銀行です。

「Silvergate Exchange Network」と呼ばれる独自の交換システムを構築し24時間年中無休で米ドルと仮想通貨の交換が可能な決済サービスを提供しています。

詳しい事業内容に関しては後述しますが、2021年3月末時点で1,104の法人顧客を持ち、その内訳は85の仮想通貨取引所、95の機関投資家および運用会社、324の仮想通貨関連サービス開発会社(プロトコル開発、プラットフォーム、マイニング会社等)となっています。

2020年から1年間で法人顧客数は年率58%で増加しており、急速に社会的な認知度も上がっています。Silvergate銀行と取引のある仮想通貨取引所としては、アメリカでも大手のCoinbase、Kraken、Geminiなどが名を連ねています。また、規制に準拠した米ドルステーブルコインのUSDCを発行するCircle社も同行の顧客で、SEN口座を持つ機関投資家はUSDCの発行と償還をほぼリアルタイムで行えるようになっています。

1-2. Silvergate銀行の事業内容

Silvergate銀行が手掛ける事業は大きく三つのセグメントに分かれており、「仮想通貨」「コマーシャルバンキング」「バンキングAPS」となっています。それぞれのセグメントで展開している事業内容は以下の通りです。

    ●仮想通貨セグメント

  1. The Silvergate Exchange Network (SEN)
  2. SEN Leverage
  3. Institutional Custody
    ●コマーシャルバンキングセグメント

  1. Business Checking
  2. Business Saving
  3. Commercial Real Estate
  4. Mortagage Warehouse
  5. Cash Mnagement
  6. Personal Banking
    ●バンキングAPSセグメント

  1. Payments & TransfersSEN Leverage
  2. FBO Account Creation

②Silvergate銀行の仮想通貨関連事業

次にSilvergate銀行の仮想通貨関連事業のうち主要なものについて解説します。

2-1. Silvergate Exchange Network(SEN)

Silvergate銀行の仮想通貨関連事業の中核となるサービスが、Silvergate Exchange Network(SEN)です。Silvergate Exchange Network(SEN)を使用する事で、仮想通貨ユーザー、および機関投資家のクライアントは、Silvergateアカウントと他のSilvergateユーザーのアカウント間で24時間年中無休で米ドルを送金できます。

これは、オンラインバンキングポータルかAPIを介して実行でき、リアルタイムの送金と資金の即時利用を可能にします。SENを利用するためにはSilvergateでの口座開設をするだけでよく、SEN固有の手数料などはありません。

トランザクションに関しては、通常の銀行手数料と同等の手数料が適用されます。SENの取引金額は加速度的に増え続け、2020年1Qが170億ドルに対し2021年1Qは約10倍の1,660億ドルまで急成長しています。

特に2020年4Qから2021年1Qにかけては、ビットコインの高騰の影響もあり、わずか3ヶ月で590億ドルから1,660億ドルまでの急激な拡大をしています。

2-2. ビットコインを担保とする融資商品SEN レバレッジ

SENレバレッジは、ビットコインで担保された米ドルのローンの事で、他の銀行には内独特のサービスです。ローンの支払いや返済は1日24時間、週7日、年365日リアルタイムで促進するSilvergate Exchange Network(SEN)により、レバレッジを提供する独自のスキームを用いています。

また、アメリカで大手の仮想通貨取引所や機関投資家向けのデジタル資産カストディ企業であるAnchorageと連携し、安全で適格な保管および担保管理を提供しています。

このサービスは1月にBitstampの提携により開始されましたが、第2四半期の決算報告ではSENレバレッジが88%急増したことが報告され、6月には顧客の需要が大きい為にサービス拡大が発表されています。

2-3. ステーブルコイン「Diem(ディエム)」の開発

Meta(旧Facebook)が開発している仮想通貨がDiemです。Ⅾiemは基本的には各国の法定通貨と連動するステーブルコインで、アメリカでは米ドル、日本では日本円、ヨーロッパではユーロなど、それぞれの地域の法定通貨に対応したステーブルコインを開発する計画です。

Meta社はアメリカではSilvergate銀行との提携により進めており、Silvergate銀行が「Diem-USD」の公式発行者として、担保となる準備金も管理する予定です。また、Ⅾiemは当然、Meta社が開発しようとしているMetaverse内でも使用される見込みです。

Diemはステーブルコインであるため仮想通貨の価格は直接変動はしませんが、ステーブルコインの採用などが認められれば、Meta社やSilvergate Capitalの株価には影響を与えることになると思います。

③まとめ

Silvergate銀行にいち早く仮想通貨事業を展開したSilvergate Capital Corporationは非常に先見の明のある企業だと言えるです。今後、仮想通貨のユースケースが増えるに従い、旧来型の銀行もSilvergate銀行をモデルとして事業展開を行っていくものと見られます。その意味でも今後もSilvergate銀行の動向には注目していきたいと思います。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12