教育資金はいくら必要?貯め方6選や各方法のメリット・デメリットも

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子どもが生まれたら、親として準備しなければならない教育資金ですが、幼稚園から大学卒業までに約1,000万円から、高ければ約2,500万円の資金が必要になるといわれています。今回は、その金額をどうやって準備すればいいのかわからないという方に向けて、教育資金の貯め方とメリット・デメリットを紹介します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 教育資金にはどれくらい必要なのか
    1-1.目標に応じた貯め方を選択・組み合わせることが大切
  2. 教育資金の貯め方6選とメリット・デメリット
    2-1.児童手当
    2-2.預貯金
    2-3.個人向け国債
    2-4.学資保険
    2-5.低解約返戻金型終身保険
    2-6.投資信託
  3. まとめ

1.教育資金にはどれくらい必要なのか

まずは、子どもの教育資金にどれくらいの資金が必要になるのかみていきましょう。

文部科学省が発表している「平成30年度子供の学習費調査」と、日本政策金融公庫が発表している「教育費負担の実態調査結果」によると、3歳の子どもが大学を卒業するまでに掛かる教育資金は以下のようになります。

項目 公立 私立
幼稚園 649,118円 1,584,777円
小学校 1,926,809円 9,592,145円
中学校 1,462,113円 4,217,172円
高等学校 1,372,072円 2,904,230円
大学 4,994,000円 7,170,000円(文系)~8,217,000円(理系)
合計 10,404,112円 25,468,324円(文系)~26,515,324円(理系)

幼稚園から大学卒業まで公立を選択した場合で約1,000万円、私立を選択した場合で約2,500万円~2,600万円の費用が必要になるという資産です。

1-1.目標に応じた貯め方を選択・組み合わせることが大切

どのような進路を選択するかによって、必要となる教育費の合計金額は大きく異なります。そのため、まずは準備する教育費の目標を決めることから始める必要があります。

そして、準備する教育資金の金額が決まったところで、それに応じたお金の貯め方を選択し、場合によってはうまく組み合わせることが重要になります。

2.教育資金の貯め方6選とメリット・デメリット

それでは、教育資金の貯め方と、それぞれの手段のメリット・デメリットについて紹介します。具体的には、以下のような方法があります。

  • 児童手当
  • 預貯金
  • 個人向け国債
  • 学資保険
  • 低解約返戻金型終身保険
  • 投資信託

それぞれの方法について詳しくみていきましょう。

2-1.児童手当

児童手当は子どもが0歳から中学を卒業するまでのあいだ、もらい続けることができます。すべて貯蓄に回せば、まとまったお金をつくることができます。

児童手当は0歳から3歳未満までの子どもがいる家庭に一律15,000円、3歳から小学校修了までで一律10,000円(第一子と第二子)、中学校卒業まで一律10,000円が支給されます。これらの手当をすべて貯めた場合、約200万円の資金をつくることができます。

児童手当は申請をすれば給付を受けられるお金ですので、利用するデメリットは特にありません。うまく活用して将来の教育資金の基礎を作っておきましょう。

2-2.預貯金

教育資金の貯め方の基本となるのが預貯金です。

資金の貯め方の基本的な考え方は「将来確実に受け取れる方法でお金を準備すること」です。月々の収入から預貯金で確実にお金を貯めていくことをベースに考えると、計画にズレが生じにくくなります。

預貯金といってもさまざまな種類がありますが、教育資金を貯めるのに向いているのは積立定期預金や自動定額積立預金です。毎月自動的にお金を積み立てられるので、効率的に教育資金を貯めることができます。

預貯金のメリット

預貯金のメリットには、以下の点が挙げられます。

  • 元本が保証されている
  • 流動性が高い

銀行の預貯金は、定期的な利息の支払いや将来の元本が保証されています。そのため、極力リスクを取らない資産形成を求める方に適した貯め方といえます。

ちなみに、銀行が破綻した場合でも「預金保険制度」によって、1,000万円までは預金は保護されることになっています。

預貯金のデメリット

一方、預貯金には以下のようなデメリットがあります。

  • 預けたお金が増えることはほぼない
  • 流動性の高さが仇になることも

利用する銀行によっては、普通預金よりも金利が高く設定されていますが、それでもかなり低金利であるため、預けたお金が増えることを期待できないというのが預貯金のデメリットです。

また、流動性が高く現金に換えやすいため、いざというときにも対応しやすいのが強みですが、反面、貯まったお金をつい使ってしまう可能性もあります。そのため、期間の長い定期預金を検討するなどして、貯金ができる環境を用意することが大切です。

2-3.個人向け国債

個人向け国債とは、個人で購入可能な国債のことで、定期的に利息を受け取ることができ、満期になると元本が全額返済される仕組みとなっています。

また、個人向け国債には最低金利保証があり、一般的な銀行預金よりも高めに設定されています。そのため、個人向け国債をコツコツ買い続けることでも、低リスクに教育資金を作ることができます。

満期になるまでの期間が長いほど金利が高く設定されているため、目標の年数に合わせて検討すると良いでしょう。

個人向け国債のメリット

個人向け国債を利用するメリットは以下の通りです。

  • 金利と元本が保証されている
  • 預金と比較して金利が高い

日本国債はその名の通り日本国が発行しています。そのため、銀行や保険会社などが発行する金融商品と比較しても破綻リスクが低いと考えられます。

また、国債は金利と元本が国によって保証されているというのもメリットです。経済状況によって長期金利が変動したとしても、元本は保証されます。

日本は世界的に見てもリスクの低い国家と考えられており、例えば米中などの大国に政治的な緊張感が増した時などは「有事の円買い」が起こるなど、通貨や政治、経済に対する信頼度は高く、その点からも日本国債は低リスクに資産運用ができる金融商品となっています。

次に、預金と比較して金利が高いというのもメリットです。国債には最低金利保証があり、長期金利が下落した場合でも年率0.05%の金利が保証されています。一般的な銀行預金の金利と比較して高く設定されているため、有利に貯蓄することができます。

個人向け国債のデメリット

一方で、個人向け国債には以下のデメリットがあります。

  • 金利が低い
  • 購入から1年は売却・換金できない

個人向け国債は普通預金と比較して金利が高いと解説しましたが、低リスクなぶん、金融商品全体で見れば金利は低い水準です。商品によっては、後述する学資保険などのほうが、よりお金を増やせる可能性は高くなります。

また、個人向け国債を購入してから1年間は売却・換金できないというのもデメリットです。また、満期日を待たずに換金すると、元本割れは起こさないものの、利率が下がるために受け取れる利息が減ってしまうことがありますので、注意しましょう。

2-4.学資保険

学資保険とは、教育資金を貯めるための貯蓄型保険商品のことで、子どもが設定した年齢に達した際に、祝い金や満期保険金を受け取ることができます。

また、契約者に万が一のことがあった場合、それ以降は保険金を支払う必要が無くなり、そのうえで祝い金や満期保険金を受け取れるという特徴があります。

学資保険のメリット

学資保険を利用するメリットは以下の通りです。

  • 万が一に備えられる
  • 半強制的に教育資金を貯められる
  • 貯蓄性が高い

学資保険を利用するメリットの1つが、万が一のときに備えられる保険商品であるということです。契約者が死亡したり、重い障害を抱えたりした場合、それ以降の保険料は支払い免除となり、さらに祝い金や満期保険金は補償されます。

また、学資保険は預貯金と違い、自由に換金しにくい仕組みになっています。そのため半強制的に教育資金を確保できる貯め方ともいえます。

さらに、払込期間によっては、銀行の自動積立預金や個人向け国債よりも高い利率(返戻率)となります。保険商品でありながら、貯蓄性が高いというのも学資保険が選ばれる理由の1つとなっています。

学資保険のデメリット

一方で、学資保険には以下のようなデメリットがあります。

  • 途中解約すると損失が発生する可能性がある
  • インフレに対応できない

学資保険は換金しにくいと解説しましたが、それは学資保険を途中解約した場合の返戻金が、支払った保険料の総額よりも低くなってしまうためです。すべての教育資金を学資保険で賄おうとすると、いざという場合に対応しきれない可能性があるため、他の運用手段と分散して貯めるなどの工夫が必要です。

次に、学資保険は契約時に決定した保険料を支払い続ける仕組みとなっており、利率が変動することはありません。そのため、インフレが発生した場合に祝い金や満期保険金が契約当初と同様の価値ではなくなるケースがあります。

例えば、大学進学の費用に充てようと考えていても、インフレによって入学費や学費が値上がりすると、学資保険の保険金だけでは足りなくなることがあります。

2-5.低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険とは、保険料を払い込む期間の解約返戻金の金額を通常の終身保険より低く設定することで、保険料の総額を割安にした保険のことをいいます。保険料の払い込み期間が終了した後は、解約返戻金の水準が通常の終身保険と同じになります。それ以外は終身保険と同じ補償内容となっています。

教育資金を貯めるためにも利用可能であり、学資保険の代わりに利用する方もいます。

低解約返戻金型終身保険のメリット

低解約返戻金型終身保険を利用するメリットは以下の通りです。

  • 条件によっては学資保険よりも返戻率が高くなる
  • 学資保険に入れない場合でも加入できるケースがある
  • 親に万が一のことがあっても保険金を満額受け取れる
  • 貯蓄をほかの用途に転用できる

低解約返戻金型終身保険では、設定したプランや条件によっては、学資保険よりも返戻率が高くなるケースがあります。うまく活用できれば貯蓄性を高めることができます。

また、子どもが学資保険に入れない年齢であっても、条件次第で加入できるというのもメリットとなります。その分、月々の支払額は高くなりますが、教育費を貯める選択肢が増えるという点では強みがあるといえます。

さらに、学資保険と同じように、契約者に万が一のことがあった場合に払い込み免除、保険金の満額受け取りが可能になる特約がついている商品が多く存在します。

そして、子どもが進学せずに就職した場合や、教育資金をほかの貯蓄で賄えた場合には、老後資金のための貯蓄や死亡時の保険など、利用目的を変更できるというのも低解約返戻金型終身保険のメリットです。

柔軟性に富んだ保険商品ですので、幅広い目的で貯蓄したいという方には適当です。

低解約返戻金型終身保険のデメリット

一方で、低解約返戻金型終身保険には以下のデメリットがあります。

  • 途中解約すると返戻金は学資保険よりも少なくなる
  • 加入条件によっては返戻金が少なくなる
  • 親の健康状態によっては加入できない

低解約返戻金型終身保険は、途中解約した場合の返戻金を少なくして保険料を割安にしている保険です。そのため、解約してしまうと学資保険よりも返戻金が少なくなる可能性があります。

また、加入時の条件によっては返戻金が少なくなることもあります。そのため、教育資金を低解約返戻金型終身保険で貯める場合は、複数の設計プランを比較するなど、十分に検討する必要があります。

そして、契約者の健康状態によっては、低解約返戻金型終身保険に加入できないケースもあるため注意が必要です。

2-6.投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金を一つのファンドとしてまとめ、運用の専門家が債券や株式などの金融商品に投資する商品のことをいいます。

インデックス運用の投資信託なら、比較的リスクを低く抑えながら投資ができます。ですが、元本が保証されるわけではないため、元本保証のある運用手段でも教育資金を貯めながら、投資信託でプラスアルファの資金を工面するというイメージを持っておくのもいいでしょう。

投資信託のメリット

投資信託を利用するメリットは以下の通りです。

  • 中長期的に資金を増やすのに適している
  • 専門家に運用を任せられる
  • 透明性が高い

投資信託は資産運用のプロが、中長期的な目線で投資家の資産を増やすように運用します。運用で発生した利益は基準価額の上昇や分配金として投資家に還元されるため、リスクを抑えつつインカムゲインとキャピタルゲインを狙うことができます。

また、投資信託ではさまざまな資産に分散投資ができ、個別株や債券への投資に比べて投資リスクを抑えられることに加え、貯金や保険と同様に運用を専門家に任せられるため、投資の知識に詳しくなくても利用しやすいといえます。

さらに、運用成績や投資対象については月次や年次で運用報告書・レポートなどで詳細に確認できます。透明性が高い金融商品ですので、その点では比較的安心感を持って運用することができます。

投資信託のデメリット

一方で、投資信託には以下のようなデメリットがあります。

  • 元本保証はない
  • 運用コストが掛かる

投資信託のデメリットは、元本保証がないということです。投資信託は比較的リスクを抑えられる投資方法であるものの、運用成績によっては損失が発生することもあります。

先述したように、教育資金のすべてを投資信託で賄うのではなく、元本保証のある方法と併用することが無難といえます。

また、投資信託は運用を専門家(ファンドマネージャー)に委託します。そのため、信託報酬などのコストが発生することになります。コストはファンドの成績を左右するものですので、投資信託を選ぶ際は過去の成績とコストの内容をよく確認し、無理のない投資を行うようにしましょう。

まとめ

教育資金を準備するためにはさまざまな方法がありますが、1つの方法だけに頼るのではなく、いくつかの方法を組み合わせた資金作りを行うことが大切です。

目標となる金額や家庭環境はそれぞれ異なりますので、自分たちに合った方法を使って教育資金を貯められる仕組みを作っていきましょう。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。