プロが投資信託の選び方と運用ファンド例を投資目的別に徹底解説

投資目的に合った金融商品を適切に選ぶことで、より効率的に資産運用ができます。例えば、将来の老後資金目的のように長期運用が可能な場合にはハイリスク・ハイリターンの商品を選ぶといった具合です。今回は投資目的別に投資信託の選び方と相性の良いファンドの例を解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2021年5月14日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 投資目的と投資を始める年齢が重要
  2. 投資目的別の投資信託の選び方
    2-1.老後資金
    2-2.住宅資金、結婚資金、教育費
    2-3.収入の補填
    2-4.短期的に利益を上げる
    2-5.病気や災害など緊急時の備え
  3. まとめ

1.目的と投資を始める年齢が重要

投資信託を選ぶ際には、投資目的と投資開始年齢が重要な要素となります。老後資金、住宅資金、教育資金などの資産形成をする目的によって、投資期間は異なります。また、投資目的が同じでも投資を始める年齢により、取ることができるリスクに差が生じます。

20代、30代の方が老後資金のために投資を始める場合、年金受給が開始される65歳まで30年以上も運用することができます。投資期間が長ければ長いほど、運用のリスクが減ります。そのため、株式を中心に投資することで高い運用益が期待できます。

一方、50代後半以降の方は、老後の年金運用が目的の場合でもリスクを抑える必要があります。投資期間や取ることができるリスクによって、選ぶべき商品が違ってきます。

また、ファンド選びにおいては前提として、信託報酬が安く、過去の運用成績が良いファンドを選ぶことが大切です。特に信託報酬は日々の基準価額から差し引かれているため、手数料を払っている実感がありません。運用期間が長ければ長いほど手数料が積み上がるため、信託報酬率の低いファンドを選ぶようにしましょう。なお、同じ指数を対象としたファンドでも信託報酬が異なるため特に注意する必要があります。

2.投資目的別の投資信託の選び方

今回、投資目的別に投資対象となるファンドをいくつかピックアップしました。ここでは、投資開始年齢を20代から50代前半の方を対象としました。

2-1.老後資金

老後資金目的の運用では長期間の運用が可能なため、株式を中心に組み入れられたファンドを選ぶようにしましょう。株式はインフレに強く、企業の業績が伸びると、株価も上昇するためです。ファンドを選ぶ際には、過去の株式指数の推移を分析する必要があるため、世界各国の株式指数(円換算)の上昇率を表にまとめました(下表参照)。

先進国 5年 10年 20年
英国 12% 40% 9%
ドイツ 67% 141% 213%
フランス 59% 85% 43%
カナダ 48% 57% 175%
オーストラリア 40% 50% 176%
米国ダウ平均 94% 325% 180%
SP500 指数 102% 325% 196%
ナスダック指数 182% 554% 472%
日経平均 70% 193% 102%
TOPIX 43% 127% 38%
新興国 5年 10年 20年
ブラジル 57% -19% 235%
トルコ -34% -44% 47%
南アフリカ 41% 39% 276%
メキシコ -1% 12% 234%
インド 74% 121% 676%

先進国と新興国の株式指数を比較すると、先進国株式指数が新興国より持続的に成長していることがわかります。新興国は通貨リスクが高いため、長期運用には不向きです。先進国の株式指数(円換算)は過去5年、10年、20年においてプラス成長しているため、長期運用に適していると言えます。特に、米国を中心としたファンドが好成績です。

また、分配金なしのファンドを選ぶことで、複利効果により将来的に大きな資産を築きあげることができます。分配金ありのファンドについては、分配金を再投資することで複利効果を享受できますが、税金が発生する場合もあるため効率は劣ります。

長期の運用においては、日本に特化した商品は避けるようにしましょう。日本は超高齢化社会を迎え、今後の経済成長率が他の先進国に劣る可能性が高いためです。

長期運用に向いているファンド

外国株式 信託報酬 騰落率 トータルリターン シャープレシオ 
1年 3年 1年 3年 1年 3年
SBIーSBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド 0.0938% 53.21% NA 55.34% NA 3.53 NA
三菱UFJ国際ーeMAXIS Slim 全世界株式 0.1144% 53.93% NA 56.46% NA 3.88 NA
三菱UFJ国際ーeMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 0.0968% 53.61% NA 55.49% NA 3.56 NA
ニッセイーニッセイ外国株式インデックスファンド 0.1023% 54.98% 52.69% 56.64% 0.1314 3.58 0.77
三菱UFJ国際ーeMAXIS Slim 先進国株式インデックス 0.1023% 54.87% 52.79% 56.55% 0.1504 3.57 0.77

2-2.住宅資金、結婚資金、教育費

住宅の頭金や結婚資金、教育資金など資金の使途が決まっている場合、リスクを抑えて運用する必要があります。ファンドではミドルリスク・ミドルリターンのバランス型ファンドが向いていると言えます。バランス型ファンドは株式、債券、コモディティなど複数の資産に投資するファンドで投資資産が多いほどリスクが軽減されます。

バランス型 信託報酬 騰落率 トータルリターン シャープレシオ 
1年 3年 1年 3年 1年 3年
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス8資産均等 0.1540% 29.37% 22.74% 30.17% 0.0715 3.78 0.6
三井住友TAM-世界経済インデックスファンド 0.1000% 29.42% 23.49% 29.94% 0.0718 3.88 0.63
三井住友TAM-SBI資産設計オープン(資産成長型) 0.7480% 25.31% 20.54% 25.58% 0.0685 3.04 0.66
ニッセイ-ニッセイ・インデックスバランスF4資産 0.1540% 22.67% 7.03% 23.62% 0.0703 3.13 0.79
野村-野村インデックスファンド・内外7資産バランス 0.5500% 24.04% 21.43% 25.23% 0.0638 2.96 0.58

2-3.収入の補填

収入にプラスするために適したファンドは、毎月分配金が支払われるファンドです。分配金には普通分配金と特別分配金の2種類があり、特別分配金は元本を取り崩して支払われる分配金のことです。特別分配金を支払うファンドは資産形成には不向きなファンドと言えます。

毎月分配金が支払われるファンドの多くは、REIT(不動産投資信託)や債券に投資しています。J-REIT(日本の不動産投資信託)の分配金利回りは米国と比較し高く5月14日時点の分配金利回りは3.64%です。為替リスクがなく、分配金利回りが米国と比較し割安感があります。

毎月分配金 信託報酬 騰落率 トータルリターン シャープレシオ 
1年 3年 1年 3年 1年 3年
大和ーダイワJ-REITオープン 0.7920% -2.43% -33.12% 30.60% 0.0944 2.23 0.55
大和ーダイワJUSREITオープン (Hなし) 1.6720% 19.56% -19.73% 38.15% 0.123 2.88 0.69
フィデリティーフィデリディ・USリート・ファンドB(Hなし) 1.5400% 20.27% -9.76% 31.99% 0.105 2.54 0.58
明治安田ー明治安田日本債券オープン 0.198%~0.715% -0.61% -3.00% 1.51% 0.0115 1.22 0.49
三井住友TAM-J-REIT・リサーチ・オープン 1.1000% 15.73% -0.56% 30.76% 0.1094 2.28 0.67

2-4.短期的に利益を上げる

ファンドで短期的に利益を上げたい方は、ブル・ベア型ファンドが適しています。レバレッジ(少ない金額で大きな利益を得ることができる仕組み)が効いているため、大きな値動きによって短期的に利益を上げることができます。しかし、相場が反対に動いた場合は元本を大きく下回る性質をもったファンドです。ブル型は株価が上昇する方向にベットしたファンド、ベア型は下落にベットしたファンドです。

ブル・ベア型 信託報酬 騰落率 トータルリターン シャープレシオ 
1年 3年 1年 3年 1年 3年
楽天-楽天日本株4.3倍ブル 1.2430% 337.02% 64.96% 403.72% 0.245 4.55 0.29
SBI-SBI日本株4.3ブル 0.9680% 336.56% 59.27% 401.29% 0.2301 4.54 0.27
楽天-楽天日本株トリプル・ブル 1.0230% 198.39% 82.04% 236.08% 0.2652 4.08 0.45
大和-iFree レバレッジ NASDAQ100 0.9900% 111.74% NA 148.47% NA 3.59 NA
日興-日本トレンド・セレクト 1.0120% 114.91% 69.45% 135.24% 0.2216 3.69 0.57

2-5.病気や災害など緊急時の備え

急な病気や災害など緊急時の備えが目的の場合、換金性が高く元本割れのリスクが低いファンドが適しています。元本割れを避けたい方には、債券ファンドが向いています。現在、日銀がマイナス金利政策を取っているため、国債の利回りが歴史的に低い水準です。そのため、国債よりも利回りが高い国内社債を中心とした銘柄を選ぶほうが良いでしょう。

債券ファンド 信託報酬 騰落率 トータルリターン シャープレシオ 
1年 3年 1年 3年 1年 3年
明治安田-ノーロード明治安田社債アクティブ 0.2475% 2.94% 3.94% 2.59% 0.0115 3.14 0.64
明治安田-明治安田社債ファンド 0.6050% 0.56% 1.37% 0.30% 0.0074 0.17 0.27

まとめ

老後の資金が目的の場合と、教育費など資金の使い道が決まっている場合とでは取れるリスクの大きさが違います。老後資金のように運用期間を長くとることができる場合は株式ファンドを、教育費や住宅購入の頭金など使用使途が決まっている場合にはバランス型のファンドを選ぶことで目的にあった運用ができます。

リスクとリターンは表裏一体で、株式の組み入れを増やせばリスクが高くなりますが、高いリターンが期待できます。一方、国内の社債を増やすと元本割れのリスクは逓減しますが、高い収益は見込めません。

まずは自身の投資目的を定め、目的にあった投資期間も考慮した上で、ファンドを選ぶようにしましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。