配当とは、「会社の獲得した利益の一部を株主に支払うこと」です。米国企業の場合は、キャッシュで利益を投資家に還元することを指します。高配当銘柄とは企業の株式の価値に対する配当の割合(配当利回り)が高い銘柄のことです。
2022年5月時点で配当利回りは2%程度が平均です。3~4%程度あれば高配当銘柄ということができるでしょう。
高配当銘柄の企業が定期的に配当を拠出することにより、投資家は投資金額に対して数パーセントのキャッシュを年に複数回獲得する機会があります。預金や国債投資などよりも、高い金利(配当)を得られる可能性が高いため、個人投資家に人気の銘柄群となります。
今回のコラムでは、筆者が注目している米国株式の高配当銘柄を紹介します。
※本記事は5月20日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 高配当銘柄株のメリット・デメリット
- 注目の米国株式高配当銘柄は?
2-1.シティグループ
2-2.AT&T
2-3.IBM - まとめ
1.高配当銘柄のメリット・デメリット
高配当銘柄のメリット・デメリットについて整理しましょう。
メリットは、安定的な収益を配当という形で期待できる点です。株価の変動に比べて配当金の変動は少なく、不景気に陥り株価が暴落するような局面においても多くの場合配当を以前のまま拠出し続けます。
米国企業の中でもジョンソンエンドジョンソンの様に60年近く連続で増配しているような企業も存在します。米国の文化として歴史的に配当を拠出し続けてきたため、今後もこのような傾向が続くことが想定されます。
基本的には、配当により安定的なインカムゲインを獲得することができるため、個人の生活費の一部として計算に入れてもよいでしょう。個人投資家の方にメリットがある銘柄群と言えるでしょう。
一方、デメリットしては、1)配当を受け取るたびに源泉徴収税がかかってくること、2)株価が上昇しづらいことが挙げられます。
1)については、配当を受領するたびに税金が掛かるため、再投資を行なう際にも税金によって減額された状態で行う必要があり、複利効果が薄れてしまいます。
2)については、企業利益の一部を投資家に還元しているため成長投資に資金を回すことができず、企業の成長を阻害することになる可能性があります。
このような背景から基本的に成長可能性が低いような公益事業セクターなどの株式で高配当銘柄となる企業がよく見られます。また株式が下がりすぎて株式利回りが高く見える株式も存在するため、注意してください。
2.注目の米国株式高配当銘柄は?
下記に数多ある米国株の中で高配当銘柄に該当するお勧めの米国株を紹介します。配当利回りが4%以上のものを選択しています。
- シティグループ
- AT&T
- IBM
それぞれの銘柄について詳しく見ていましょう。
2-1.シティグループ
シティグループは、ニューヨーク市に本社を置くアメリカの多国籍投資銀行及び金融サービス企業です。時価総額は10兆円を超えており日本最大の金融機関であるMUFGグループよりも大きく、米国金融機関を代表する企業となっています。
年間配当額は2.04ドルとなり、配当利回りは4%超の高配当銘柄です。JPモルガンチェースやバンク・オブ・アメリカなどの同業他社と比較しても高い利回りとなっています。
2021年の後半より、米国FRBの金融緩和のテーパリングが意識されて米国金利が急激に上昇しています。米国経済指標も力強い物価上昇を示すような結果になっており、FRBのパウエル議長も5月に0.5%の利上げを示唆するなど、今後も金利上昇が続いていく可能性があります。
シティグループは総資産が2.3兆ドル程度あり、JPモルガンチェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズファーゴについで多くの資産を保有しています。大部分が融資業務を活用した収益です。シティグループは米国金利上昇によって、最も恩恵を受ける企業の一つとなります。
2022年年初来からは金利上昇による業績の向上よりも、景気悪化による企業業績の悪化が懸念され株価は低迷しています。ロシア・ウクライナ紛争に解決の見通しが立ち、インフレーションの抑制の兆候が見られるような局面になれば、配当に加えて株価上昇も見込めるような銘柄となるでしょう。
2-2.AT&T
AT&Tは、最も大きな米国情報通信会社・メディアコングロマリットの一つです。テキサス州に本社を置いています。
米国大手の電話会社であるAT&T地域電話会社やAT&Tコミュニケーションズ、ワーナーメディアを傘下に収めています、時価総額は1,300億ドルと米国通信会社の中ではベライゾンとコムキャスト、Tモバイルに次いで大きくなっています。
配年間配当総額は1.11ドルとなっており、配当利回りは6%弱となります。この水準は米国の代表的な企業で構成されるS&P500種指数に採用されている銘柄の中でもトップクラスの水準です。
ただし米国の主要事業である通信キャリアサービスの競争は激しく、ベライゾンやTモバイルに通信キャリアとしてのシェアでは後塵を拝しています。しかし、PERも低く割安に放置されている銘柄です。
業界の特徴からも大きな顧客離れが起こる可能性も低く、タイム・ワーナーを買収するため膨れ上がった借入金返済も滞りなくおこなえています。今後も安定的な業績・キャッシュフローを残す可能性があります。
2-3.IBM
IBMは米国ニューヨーク州に本社を置く最大級のテクノロジー関連企業となります。1911年に創業されて現在も続いている老舗企業です。米国特許取得数においても何十年も連続で1位になるなど技術に優れた企業となります。
ダウ平均株価にも採用されている数少ない企業であり、米国を代表するような銘柄となります。配年間配当総額は6.60ドルとなっており、配当利回りは5%程度となります。
アップル(配当利回り0.5%程度)やマイクロソフト(配当利回り0.8%程度)などの他の米国を代表するテクノロジー企業と比較しても高水準の配当額です。1994年から約28年の間継続して増配しているため、今後も配当額の維持・増配を期待することができます。
ハードウェアの開発・販売に強みを持っていたものの、テクノロジーの主流がソフトウェアやクラウドサービスに転換する中で、GAFAMなどの台頭もあり、他社に劣後し業績は低迷していました。
しかし人工知能システムであるWatsonの開発やクラウドサービス事業を手掛けるRedHatの買収などにより、今後の業績が回復するような手立てを打っています。人工知能やクラウドは幅広い産業で活用することができるため、今後の業績回復の起爆剤になることが予想されます。
IBM株式を長期保有することで大きな配当を継続して獲得しつつ、株価上昇によるキャピタルゲインも狙うという方法があります。
3.まとめ
今回は3つの高配当銘柄を紹介しました。この他にもまだまだ魅力的な会社は多く存在しているため、詳しく調査して自分に適した銘柄を探してみることをお勧めします。
配当額の大きさだけではなく、その企業が今後も成長しそうか、もしくは株価が上昇しそうかという観点も持ちつつ調べてみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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