株式投資型クラウドファンディング各社のイグジット実績は?投資の注意点も

クラウドファンディングの形式の1つに、株式投資型クラウドファンディングがあります。

株式投資型クラウドファンディングとは、上場前のベンチャー企業(スタートアップ)の株式を多数の投資家が小口購入し、将来上場や企業売却、いわゆるイグジットをしたときに大きな売却益を期待できる投資サービスのことを指します。それだけに、投資した企業がイグジットしなければ、なかなか利益が生まれません。

そこで2020年11月現在、日本で運営されている株式投資型クラウドファンディングサービスの中から、実際にイグジット実績があるサービスはどこなのか探ってみました。

目次

  1. 株式投資型クラウドファンディング各サイトの実績
    1-1.FUNDINNOの実績
    1-2.ユニコーンの実績
    1-3.イークラウドの実績
  2. 1-4.GoAngelの実績
    1-5.GEMSEE Equityの実績

  3. イグジットに成功したのはFUNDINNOのみ
  4. 株式投資型クラウドファンディングに投資するときの注意点
    3-1.倒産リスクがあることを知る
    3-2.長期的な視点に立って投資する
    3-3.出口戦略を立てることは難しいので、優待というメリットも活かす
  5. まとめ

1.株式投資型クラウドファンディングの各サイトの実績

現在運営されている株式投資型クラウドファンディングの各サービスはどのような実績を持っているのか、
日本証券業協会のホームページから抜粋したデータから見ていきましょう。

1-1.FUNDINNOの実績

株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO(ファンディーノ)」日本で最も古く、実績が豊富な株式投資型クラウドファンディングサイトがFUNDINNO(ファンディーノ)です。資金調達をしたい多くの会社に利用されており、2020年11月時点で123件の成約実績があります。

また募集金額は新株予約権型ファンドも含めて40億円以上と、国内の株式投資型クラウドファンディングサイトではトップクラスの実績を有しています。

イグジットも株式会社漢方生薬研究所、株式会社nommocの2件で成功しています。

1-2.ユニコーンの実績

2019年に運営を開始した比較的新しい株式投資型クラウドファンディングサイトがユニコーンです。上場企業の株式会社ZUUが株式の過半数を保有しています。徐々に募集される案件数も増えており、今後の期待が高まる株式投資型クラウドファンディングサイトです。

ユニコーンは2019年から2020年にかけて14回の募集を行い、総額は約4億円超となっています。イグジット実績はまだ有りません。

1-3.イークラウドの実績

2020年に入って株式投資型クラウドファンディングサイトとして新たに登場したのが、このイークラウドです。2020年11月次点で募集実績は2件となっています。

1-4.GoAngelの実績

GoAngelはDANベンチャーキャピタルが運営している株式投資型クラウドファンディングサイトです。国内では2社目に生まれたサイトです。最低投資金額は25万円とやや高めです。

GoAngelでは9件、約1億3千万円の募集に成功しています。一方で募集に失敗している案件も7件あります。これまでにイグジットの実績はありません。

1-5.GEMSEE Equityの実績

SBIグループの株式投資型クラウドファンディングサービス「GEMSEE」大手金融グループのSBIグループの一部であるSBI Capital Baseが運営している株式投資型クラウドファンディングサイトがGEMSEE Equityです。

まだ目立った実績はありませんが、SBIグループの一員ということで、会社としての業務遂行能力や資本力には高いものが期待できます。現状におけるGEMSEE Equityでの募集実績は2020年3月の1回だけとなっており、募集金額は2,800万円です。イグジットの実績はありません。

2.イグジットに成功したのはFUNDINNOのみ

実績を見てきたように、イグジットに成功したのは2020年11月時点でFUNDINNOのみです。なおFUNDINNOにおける2件のイグジットはいずれも株式譲渡という形であり、投資額に対して約1.5倍の配当となっています。FUNDINNOでこれまで募集を募った案件は120件以上にありますが、その中でイグジットに成功したのは現在2社のみとなっています。

もちろん、株式の上場は一年から二年といった短期間で結果が出るものではありません。場合によっては五年や十年ほども待たなくてはいけない場合もあります。企業売却や株式譲渡などの場合はもう少しスパンは短くなりますが、それでも年単位で考えるのが一般的です。

日本の株式投資型クラウドファンディングは、歴史が浅いぶん、未だに大きな実績を上げていないことに注意しましょう。

3.株式投資型クラウドファンディングに投資するときの注意点

株式投資型クラウドファンディングでは、すぐに利益が出るわけでありません。それだけに、投資前にはどういった点に注意しておけば良いのかを知っておくことが必要です。

3-1.倒産リスクがあることを知る

第一に知っておかなければいけないのが、倒産リスクの存在です。

株式投資型クラウドファンディングの各サイト上の企業情報を見る限りでは、画期的なビジネスを運営して利益も出ていることから、簡単には倒産しないだろうと期待を寄せることもあるでしょう。しかし実際のところ、掲載されているどの会社もこれから成長していく段階にあり、金融機関からの融資だけでは満足に資金を調達できないところばかりなのです。

仮に取り組んでいる事業に失敗すれば、倒産してしまうリスクもあります。上場企業と比べて資本力が限られるだけに、倒産のリスクは決して小さくはないことを知っておきましょう。

3-2.長期的な視点に立って投資する

株式投資型クラウドファンディングは、基本的にはイグジットして初めて投資家に利益が出るものとなります。それだけに、短期間で簡単に利益が出るものではありません。

JASDAQや東証マザーズなどの比較的上場が容易な株式市場でも、会社の設立から上場までには少なくとも5年から10年の歳月が必要です。設立から数年しか経っていないベンチャー企業に投資し、仮に事業が成功したとしても、上場のためには社内体制の整備、人材の採用、資本力の増強などに時間を要します。ゆえに、そうは簡単に上場できるものではありません。

また上場よりはスパンは短くなりますが、M&Aなどでもすぐに話が決まるということはまずありません。株式投資型クラウドファンディングを通じてベンチャー企業に一度でも投資したら、数年スパンで株式を持ち続ける心持ちでいましょう。それだけに、すぐに利益を求める投資家には向いていません。また資金力に余裕があまりない方にも向いていないと言えます。

3-3.出口戦略を立てることは難しいので、優待というメリットも活かす

株式投資型クラウドファンディングでは、基本的に投資家が出口戦略を立てることはほぼ不可能で、投資先企業に委ねられることとなります。上場していないだけに、取得した株式は証券市場での売買が不可能だからです。

もし、取得した株式を現金化したい場合、投資先企業に株式等の譲渡の承認を得たうえで、自分で買い取り先の個人や法人を見つけるしかありません。また投資先企業に対して株式の買い戻しを願い出たとしても、買い取られることはまずありません。そのため、保有期間中に利益が出ないことがあるということは、投資を行う上での前提になります。

ただし、例えばユニコーンで募集が行われた株式会社ファンタスティックの案件では、投資した株主にアマゾンギフト券が進呈されるといった株主優待制度が用意されています。

通常の上場企業の株式を保有すれば配当金や株主優待があるように、一部の会社のみですが、株式投資型クラウドファンディングサイトでは株主優待が受けられるものもありますす。少しでも株式を保有するメリットを享受したいのであれば、こういった優待制度がある銘柄を積極的に選んでみるのはいかがでしょうか。

まとめ

株式投資型クラウドファンディングは、日本で登場してからまだ5年ほどしか経っていません。それだけに、十分なイグジットの実績も生まれていません。

イグジットまでのスパンは長く、また不確実性が高いことから、早めの収益の獲得や高額の収益が発生する確率を求める人にとっては、必ずしも向いているとは言えない投資手法です。

逆に言えば、今後に大きな成長が望める投資手法でもあります。投資用の資金に余裕があり、長期の視点に立って投資できる人であれば、大きな利益を狙って株式投資型クラウドファンディングに投資してみるのも良いでしょう。その際は倒産のリスクや事業の発展性についての確認もしっかりと行うようにしてください。

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