株式上場前の有力なベンチャー企業の株式を購入できる、株式投資型クラウドファンディング。大きなキャピタルゲインを狙うことができる投資先として、投資家の人気を獲得しつつあります。
2020年7月には、新規の株式投資型クラウドファンディングサイト「イークラウド」が登場しました。ここではそのイークラウドの特徴や評判、メリット・デメリットなどをご説明していきます。
目次
- イークラウドとは
1-1.2020年開始の株式投資型クラウドファンディング
1-2.大和証券グループと提携している
1-3.2020年7月に第1号案件を公開
1-4.2022年5月に募集企業のM&Aが成立、個人投資家に2.69倍のリターンが発生 - イークラウドの特徴とメリット
2-1.未上場の株式を購入して大きな利益を狙える
2-2.株主優待を狙うこともできる
2-3.株主間契約を結んでいる
2-4.エンジェル税制の適用を受けることができる - イークラウドに投資する際のデメリット・注意点
3-1.利益が出る可能性が低い
3-2.投資した会社が倒産する可能性もある
3-3.配当金はあまり期待できない - イークラウドの評判・概要
- イークラウドへの投資が向いている人
- まとめ
1.イークラウドとは
イークラウドに関するニュース
- 2023/12/28株式投資型CF「イークラウド」30号案件1/10募集開始。日本の飲食店とインバウンド観光客をデジタルで繋ぐスタートアップが資金調達
- 2023/11/21サボテンやキノコ、廃材がファッションアイテムに。サステナブルブランドの運営企業が「イークラウド」でCF。11/27募集開始
- 2023/10/25エスカレーターの安全性向上と収益化を目指す「UDエスカレーター」、株式投資型CFのイークラウドで10/26募集開始
- 2023/7/31株式投資型CFの「イークラウド」23号案件「ADDress」の申込金額が最高額の9990万円に到達
- 2023/7/18成長中のシェアリングエコノミーサービス「ADDress」がイークラウドで資金調達。7/24募集開始
イークラウドの概要
まずイークラウドとは、どのような株式投資型クラウドファンディングサイトなのかを見ていきましょう。
1-1.2020年開始の株式投資型クラウドファンディング
イークラウドは2020年7月に案件の公開を開始した、新規株式投資型クラウドファンディングサイトです。
日本にはFUNDINNO、ユニコーンといった株式投資型クラウドファンディングサイトがあります。このイークラウドの登場で、より株式投資型クラウドファンディングが活性化していくことが期待されます。
1-2.大和証券グループと提携している
イークラウドのバックボーンには大和証券グループがあります。
イークラウドの運営元であるイークラウド株式会社は、大和証券の100%出資子会社である、Fintertech株式会社から出資を受けています。大和証券という著名証券会社のバックボーンがあることを活かし、取扱い企業の反社チェックを厳格に行った上で案件の募集を行っています。
1-3.2020年7月に第1号案件を公開
イークラウド株式会社では、2019年末から株式投資型クラウドファンディングを開始することを公開していました。その後サイトオープンの準備などが進み、2020年7月に第1号案件として「株式会社地元カンパニー」への株式購入募集の公開を行いました。こちらの案件は地方創生を目的とした地元商品の販売サイトを運営する会社の募集でした。
1-4.2022年5月に募集企業のM&Aが成立、個人投資家に2.69倍のリターンが発生
2022年5月18日に、イークラウドを利用して資金調達を行ったベンチャー企業で初の買収(M&A)が成立したという発表がありました。企業名は非公表ですが、このM&Aで、個人投資家に2.69倍のリターンが発生しています。
2022年5月時点で11社の非上場のベンチャー企業の募集を行っており、募集からM&A成立まで9カ月でした。1年未満でのリターン発生は、国内の株式投資型CFで最速(同社調べ)とのことす。
なお、今回の買収では、業界で初めて開発・導入した株主間契約スキームにより、プラットフォームを通じて投資を行う過程で電子契約を締結し株主間の合意を担保することで、スムーズに手続きを行うことができたとしています。
2.イークラウドの特徴・メリット
イークラウドの、株式投資型クラウドファンディングサイトとしての特徴や利用するメリットを見ていきましょう。
2-1.未上場の株式を購入して大きな利益を狙える
イークラウドを通して、投資家は未上場のベンチャー企業の株式を購入することができます。また募集を行うベンチャー企業側にとっても、イークラウドを通じて会社の活動資金を募集できるメリットがあります。
未上場会社の株式を購入できれば、会社の支援にもなりますし、もしその会社が株式上場や株式譲渡などで一気に株価が値上がりすれば、大きな利益の獲得を狙うこともできます。イークラウドでは、実際にM&Aの成立実績も出ているので、今後にも期待できます。
2-2.株主優待を狙うこともできる
またイークラウドを通じて株式を購入することで、株式優待を受けられるケースもあります。全てのベンチャー企業が株主優待を実施しているわけではありませんが、株主優待を実施する企業の株を買えば、長期間保有することのリスクを軽減し、特典を享受することができるのです。
2-3.株主間契約を結んでいる
またイークラウドは、株主間契約を結んでいることも大きな特徴となっています。
イークラウドを通じて株を購入した投資家と、ベンチャー企業の経営者との株主間契約を結ぶことが、イークラウドでの投資には必要です。株主間契約を結べば、イークラウドを利用した投資家は、ベンチャー企業経営者の「株式を譲渡したい」という意思に応える必要が出てきます。
投資家として不利に感じる方もいるかも知れませんが、実際には株式の円滑な譲渡を可能にして、株式をスムーズに現金化する意味合いがあります。
2-4.エンジェル税制の適用を受けることができる
一部の企業においては、投資した際の金額をエンジェル税制として、所得控除に用いることが可能です。
- 投資契約書をイークラウドに送付
- イークラウドから必要資料を受け取る
- 税務申告書を作成し、確定申告を行う
このステップを経ることで、投資した金額ぶん節税してキャッシュフローを高める効果も期待できるのです。
3.イークラウドに投資する際のデメリット・注意点
イークラウドを含めた株式投資型クラウドファンディングは、譲渡益を狙う事がメインの目的となります。それだけに短期的に利益を出す事は難しくなります。イークラウド(株式投資型クラウドファンディング)に投資する時には、どういった点に注意をすれば良いのかをまとめてみました。
3-1.利益が出る可能性が低い、もしくは時間がかかる
イークラウドをはじめとする株式投資型クラウドファンディングはハイリスク・ハイリターンの投資のため、狙って利益が出せる可能性は低いといえます。また、投資を行ってから実際に上場やバイアウトなどが実現するまでに年単位の時間がかかります。
未上場企業の株式の売買は、上場企業ほど整備されていないため、長期的な投資になることを想定し、余裕資金で投資をするのが良いでしょう。
3-2.投資した会社が倒産する可能性もある
またイークラウドで資金を募集したベンチャー企業が、倒産してしまうことも考えられます。
過去にも株式投資型クラウドファンディングで資金を募集したベンチャー企業が倒産し、投資家が損失を被った事例が一件発生しています。投資家はベンチャー企業を選ぶ際には、事業の妥当性や企業の財務状況をきちんと確認して、成功する可能性の高い投資先を選ぶ必要があります。
3-3.配当金はあまり期待できない
上場企業の株を購入すれば、その企業が利益を出していれば一般的には株主に対して配当金が支払われます。年一回や二回などの配当金は投資家にとっての不労所得になるので、例え株価が下がっても配当金目当てに長期間株を保有し続けることもできるのです。
しかし、株式投資型クラウドファンディングで資金を募集するベンチャー企業は財務体制が強固ではありません。そもそも資金が潤沢にあれば、株式投資型クラウドファンディングで株主を募集しません。株主優待は一部支給される企業もありますが、配当金を見込めるような企業は非常に少ないのです。
株式投資型クラウドファンディングサイトを通じて、不労所得を得ることはかなり難しく、基本的にはキャピタルゲイン狙いの投資だと言えます。
4.イークラウドの評判・口コミ
まだ登場して間もないイークラウドですが、ユーザーの評判はどうでしょうか。実際の口コミをいくつか見てみましょう。
- 郵送なしでオンラインのみで本人確認手続きができるのが便利
- 第1号案件の募集開始が朝8時なので、投資できなかった人も多いのでは
- ベンチャーキャピタル投資経験者による株式投資型は個人的に期待大
- 9ヶ月で2.69倍の実績はすごい
※上記は個人の感想です。実際に利用する際や投資をする際は、ご自身でもお調べの上ご判断下さい。
イークラウドの評判では、本人確認プロセスの利便性や経営陣のバックグラウンド、証券会社の資本、M&Aの実績などを評価する声などが聞かれます。
5.イークラウドへの投資が向いている人
イークラウドへの投資家に向いている方は、長期的な視野に立って投資が可能であり、資金力に余裕のある方です。また短期的な利益を得る投資と併用できる方にも向いているでしょう。
株式投資型クラウドファンディングへの投資は、基本的には利益が出るまで時間がかかりますし、リスクも決して小さくはありません。5年~10年間など、株を長期間保有してじっくり大きな利益を狙いたい人向けです。
また損失が起きても投資から退場しない資金力も必要です。継続的に配当収入を得たい人は、同じクラウドファンディングでもソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングの方が向いていると言えます。
まとめ
日本の株式投資型クラウドファンディングサイトは徐々に増えてはいるものの、まだ目立った実績は生まれていません。
しかしこのイークラウドには、大和証券グループというバックボーンがあります。大和証券のネットワークの下、有力な企業を探すことができれば、イークラウドを通じて有力なベンチャー企業に投資できる可能性もあります。そういった意味では、イークラウドがどういった企業の案件募集を行うのかチェックしておくのも良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
最新記事 by HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム (全て見る)
- 見守り市場に変革を。介護テックベンチャーがFUNDINNOで9/25募集開始 - 2024年9月20日
- 高速硬化性樹脂で日本の強靭化に貢献。日本総代理店がFUNDINNOで資金調達 - 2024年9月13日
- 子どもが安心安全に利用できるSNSアプリで事業拡大。運営ベンチャーがFUNDINNNOで8/31CF開始 - 2024年8月30日
- DMM株の評判は?メリット・デメリットやアカウント登録手順も - 2024年8月30日
- 採用のミスマッチ・入社後ギャップを解消するテックベンチャーがFUNDINNOで3度目のCF - 2024年8月29日