分散投資と集中投資どちらが良い?それぞれのメリットとデメリット

※ このページには広告・PRが含まれています

株式投資には、複数の銘柄に分けて投資する「分散投資」と、特定の少数の銘柄に集中して投資する「集中投資」の2種類があります。2つの手法にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、この記事では取引手法や資金量に応じ、分散投資と集中投資どちらを選択したら良いのかについて解説します。

目次

  1. 投資のリスク
    1-1.価格変動リスク
    1-2.デフォルトリスク(信用リスク)
    1-3.流動性リスク
    1-4.為替変動リスク
  2. 分散投資とは
    2-1.分散投資はリスクを軽減できる
    2-2.分散投資では短期的に大きなリターンを狙うことはできない
    2-3.分散投資に向いている人
  3. 集中投資とは
    3-1.集中投資では大きなリターンが狙える
    3-2.集中投資は損失も大きくなる
    3-3.集中投資に向いている人
  4. まとめ

1.投資のリスク

まずは株式投資の「リスク」について確認します。株式投資におけるリスクとは損失や危険ということではなく、「可能性」のことを意味しています。リスクにはさまざまな種類があるので、それぞれどのような内容なのかきちんと理解しておくことが大切です。代表的なリスクは、以下の4つです。

1-1.価格変動リスク

株価が上下に動く可能性のことです。株価の変動は、国内はもちろん世界各国の景気動向や政治情勢、企業業績などさまざまな要因によって起こります。

1-2.デフォルトリスク(信用リスク)

株式を発行している企業が、経営不振などによって投資家から預かっていた資金の一部、または全部を返済する能力がなくなる可能性のことです。株を購入する前に、企業の業績や業界の将来性などを調べておきましょう。

1-3.流動性リスク

マーケットで株式を売りたい時に売ることができなかったり、希望する価格で売ることができなかったりする可能性のことです。一定の期間内における取引数量を示す「出来高」を見ることで、各銘柄の流動性を確認できます。

1-4.為替変動リスク

為替相場の動きにより、外貨建ての株式を円換算した時に、価値が変動する可能性のことです。たとえば米国株を保有していた場合、円高・ドル安に動いたら、日本円で見た時の米国株の価値は減少することになります。

2.分散投資とは

分散投資とは、投資先を一つにせず複数の投資先に分散することです。投資対象を複数にすることで、資産運用に伴うリスクを低減させつつリターンを目指す手法です。

分散投資には、主に次の4つがあります。

地域や国の分散

国内と海外、 先進国と新興国など 地域や国の分散を行うことです。

商品の分散

株式だけでなく、債券や投資信託など複数の金融商品に投資することです。

通貨の分散

円だけでなく、米ドルやユーロなど複数の通貨に投資することです。

時間の分散

一度にまとめて購入するのではなく、複数回に分けて買いを入れることです。

2-1.分散投資はリスクを軽減できる

すべての資金を一つの銘柄に集中させると、その銘柄が下がった時のマイナスの影響が資産全体におよびます。しかし、値動きの異なる複数の銘柄に投資しておけば、リスクを分散しながら収益を狙うことができるのです。

2-2.分散投資では短期的に大きなリターンを狙うことはできない

分散投資には株式投資のリスクを軽減させる効果はありますが、そのぶんリターンは減少してしまいます。たとえば、1つの銘柄の株式が10%上昇した場合、その銘柄だけを保有していれば10%がそのまま利益になります。しかし、5つの銘柄に分散投資していた場合は、1つの銘柄だけが10%上昇しても利益は5分の1、つまり2%分にしかならないのです。

2-3.分散投資に向いている人

分散投資はリスクを軽減させ、長期での好リターンを目指したい投資家向きの投資手法です。ただ、株式の個別銘柄で分散投資をするためには、ある程度のまとまった資金が必要になります。ですから、分散投資するのは難しい人もいると思います。

そういった人は、投資信託を利用するようにしてください。ネット証券などを利用すれば、投資信託は100円から購入できます。投資信託を利用すれば、個人では難しい数十~数百銘柄への分散投資が簡単にできます。投資初心者の人は投資信託を利用して分散投資することも検討すると良いでしょう。

3.集中投資とは

分散投資はリスクを軽減させつつリターンを狙う投資手法ですが、少数の銘柄に資金を集中して投資する集中投資は「ハイリスク・ハイリターン」の投資手法です。株式投資で成功した人には、集中投資で資産を大きく増やしたケースもあります。

たとえば、1銘柄に集中投資してその銘柄が株価10倍になれば、資産も10倍になります(手数料や税金等などのコストは考慮せず)。しかし、その銘柄の株価が半分になってしまえば、資産も半分になってしまいます。

一方、10銘柄に分散投資しておけば、利益もそのぶん減少しますが、損失も限定されます。ですから、成功した場合のリターンも、失敗した時の損失も分散投資より集中投資の方が大きくなるのです。

3-1.集中投資では大きなリターンが狙える

集中投資の最大のメリットは、大きなリターンが狙えるということです。とくに値動きが大きい新興株や中小型株を手がけた場合、短期間(数週間~数カ月)で株価が2~3倍になることも珍しくありません。そのため、少額の資金でも大きな利益を得られるのです。

3-2.集中投資は損失も大きくなる

集中投資は自分の思惑通りにいけば大きな利益を得られますが、逆に動いた場合は大きな損失がでます。とくに信用取引などを利用してレバレッジを掛けていた場合、株価の急落により資産がすべてなくなるだけでなく、借金まで残ってしまうというケースもあるのです。

3-3.集中投資に向いている人

集中投資に向いている人は、短期間で大きな利益を狙いたい人です。そのためには、銘柄分析を徹底的にしなければいけません。そして、リスク管理のために損切りラインを決めていくことも重要です。たとえば、株価が10%下落したら損切りをするなど、リスク管理を徹底するようにし、大きな損失を避けるようにしてください。

まとめ

今回は分散投資と集中投資の違いと特徴について解説しました。

短期間で資金を大きく増やしたい場合は集中投資が適していますが、大きな損失がでる恐れもあります。投資初心者はリスクが軽減される分散投資から行うようにし、長期での運用を心掛けるようにするのが無難です。

The following two tabs change content below.

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011