中国に投資できるETFのメリット・デメリットとリスク、対象商品

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日本の証券会社ではさまざまな種類のETF(上場投資信託)を提供しています。なかには中国の指数に連動するETFもあり、日本にいながら中国に投資することもできます。

今回は、日本の取引所に上場していて中国に投資できるETFのメリットやデメリット、リスクについて紹介します。また、実際のETF銘柄も紹介しますので、ETFへの投資を考えている方は参考にしてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ETFとは
  2. 中国に投資できるETFのメリット
    2-1.アクティブ投資信託と比較してコストが低い
    2-2.分散投資効果がある
    2-3.値動きがわかりやすい
    2-4.リアルタイムで取引できる
    2-5.成長が期待できる中国に投資できる
  3. 中国に投資できるETFのデメリット
    3-1.自動積立投資ができないことがある
    3-2.分配金が自動で再投資されない
    3-3.取引のたびに手数料が掛かる
  4. 中国に投資できるETFに伴うリスク
    4-1.価格変動リスク
    4-2.流動性リスク
    4-3.上場廃止リスク
    4-4.価格かい離リスク
    4-5.為替リスク
    4-6.カントリーリスク
  5. 中国に投資できるETF銘柄
  6. まとめ

1.ETFとは

ETFとは、Exchange Traded Fundの略称で、日本語で「上場投資信託」のことをいいます。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、NYダウなどの指数に連動することを目指して運用される投資信託の一種で、証券口座を持っていれば株式と同じように売買できます。

ETFが連動の目標とする指数は複数の銘柄によって構成されているので、ETFの投資対象も複数の銘柄となります。そのため、ETFを購入することで分散投資が可能です。また、ETFは証券取引所に上場されているため、リアルタイムで取引できます。よって、ETFは投資信託と株式の特徴を併せ持った金融商品といえます。

2.中国に投資できるETFのメリット

中国に投資できるETFのメリットは下記の通りです。

  • 投資信託と比較してコストが低い
  • 分散投資効果がある
  • 値動きがわかりやすい
  • リアルタイムで取引できる
  • 成長が期待できる中国に投資できる

2-1.アクティブ投資信託と比較してコストが低い

ETFは目標とする指数に連動するように機械的に運用されるのが一般的です。そのため、指数以上の成績を目指してファンドマネージャーが様々なリサーチ等を重ねるアクティブ投資信託と比較してコストが低くなりやすい傾向にあります。

2-2.分散投資効果がある

先述したように、ETFが目標とする指数は複数の銘柄によって構成されているため、ETF銘柄を1つ購入するだけで分散投資の効果を得られるというメリットがあります。

また、中国人民元建てで運用されるETFを購入した場合、通貨の分散効果を得ると同時に、中国経済の成長力を資産の防衛力として活用できます。

2-3.値動きがわかりやすい

ETFが連動を目指す中国市場の指数は、その他の個別の銘柄などと比較して情報を得やすいといえます。値動きがわかりやすいため、資産の運用状況を把握しやすいというのもメリットといえます。

2-4.リアルタイムで取引できる

ETFは証券取引所に上場しているため、取引所が開いている時間であれば、株式と同じようにリアルタイムで取引可能です。また、1日に何度でも売買できることに加え、成行注文や指値注文といった注文方法の選択や信用取引なども可能です。

投資信託では、1日に1回しか売買できないために購入申込から購入確定までに時間が掛かりやすく、想定通りの価格で購入できないことがあります。ETFは投資信託の一種でありながら、取引しやすいというメリットもあります。

2-5.成長が期待できる中国に投資できる

中国は経済成長著しく、日本を抜いて世界第2位の経済大国です。国内人口が約14億人の巨大マーケットがあり、内需関連業種においても大企業が誕生し続けています。今後も経済成長が期待されており、投資先として有望視されている国の一つです。

中国に投資できるETFを購入することは、成長著しい中国への投資が可能になる1つの方法なのです。

3.中国に投資できるETFのデメリット

一方で、中国に投資できるETFには下記のデメリットがあります。

  • 自動積立投資ができないことがある
  • 分配金が自動で再投資されない
  • 取引のたびに手数料が掛かる

3-1.自動積立投資ができないことがある

ETFは投資信託の一種でありながら、株式のように市場価格をチェックしながら自身で売買を行います。そのため、投資信託と異なり自動的に積立投資を行うための選択肢は限られています。

一部の証券会社では株式累積投資(るいとう)の対象銘柄になっていることがあるため、自動積立投資ができる場合があります。

3-2.分配金が自動で再投資されない

ETFの分配金は、組入銘柄の配当金や利息、運用経費を差し引いて決算時にすべて分配される仕組みとなっています。分配金を自動的に再投資することはありません。

複利効果を狙った再投資を行う場合は、分配金を使って投資家自身が買い付けを行う必要があります。ただし、分配金には約20%の税金が掛かるため、自動的に分配金相当額が再投資される「分配金なし」の投資信託に比べると投資効率は劣ります。

3-3.取引のたびに手数料が掛かる

ETFは購入するたびに手数料が発生するのが一般的です。手数料体系は株式と同様で、証券会社によっては手数料が高額になる場合があるため、事前の確認が必要になります。

また、投資信託では購入手数料が無料(ノーロード)になっている銘柄が数多くありますが、ETFでは銘柄数が限られます。長期投資による資産運用にETFを購入する場合は、手数料を含めたコストを考慮したうえで投資の是非を判断すべきです。

4.中国に投資できるETFに伴うリスク

中国に投資できるETFには下記のリスクが伴います。

  • 価格変動リスク
  • 流動性リスク
  • 上場廃止リスク
  • 価格かい離リスク
  • 為替リスク
  • カントリーリスク

4-1.価格変動リスク

ETFは上場している株式と、指数に連動する投資信託としての側面があります。

いずれの場合においても需要と供給によって指数は変動するため、ETFの価格も変動します。基準価額は指数が1%上昇すればETFもおおむね1%上昇し、1%下落すればETFもおおむね1%下落すると考えられますが、実際の取引価格はその限りではなく、必ずしも基準価額と値動きが連動するわけではありません。

また、一般的に株価指数や商品指数に連動するETFと比較して、債券指数に連動するETFは価格変動が小さくなるという特徴があります。

4-2.流動性リスク

ETFには流動性リスクがあります。投資信託の一種でありながら、株式のように取引できるというのがETFのメリットの1つです。しかし、流動性が低いファンドでは希望売買価格で取引が成立しないケースがあり、注意が必要です。

そのため、ETFを購入する場合は、銘柄の出来高を確認するなどして、流動性を必ずチェックしましょう。

4-3.上場廃止リスク

ETFの上場は廃止される場合があります。上場廃止はETFの運営会社によって申請される場合と、証券取引所の有価証券上場規程を満たせなくなって上場廃止が決定する場合があります。

ETFの上場廃止が申請された場合、その銘柄は東京証券取引所の監理銘柄に指定され、上場廃止が決定した場合は整理銘柄に指定されます。監理銘柄・整理銘柄に指定された場合、想定を下回る金額での売買を余儀なくされることになるため、注意が必要です。

4-4.価格かい離リスク

ETFには上場株式としての「市場価格」、投資信託としての「基準価額」の2つの価格があり、それぞれの価格がかい離するリスクがあります。

市場価格は投資家が取引する際の価格で、リアルタイムに変動しながら取引終了時に終値として当日の価格が確定します。

基準価額はETFに組み込まれた有価証券などの時価評価額に配当金・利息などを加えた金額から、経費を差し引いた純資産総額を発行口数で割った「1口当たりの価格」で、当日の夜に算出・発表されます。

算出方法が全く異なるため、それぞれの価格がかい離するケースがあることを理解しておきましょう。取引の需給バランスによって、必ずしも指数と取引価格が連動するわけではないのです。

4-5.為替リスク

中国人民元建てにて運用されるETFの場合、為替相場の影響を受けます。円安相場の場合は分配金や売却益は実質的に増加する一方、円高の局面では目減りすることになります。

為替相場は常に変動するため、ETFを売却するタイミングはよく検討するべきといえます。

4-6.カントリーリスク

中国に投資するETFの運用成績は、中国の政治・経済・社会情勢の影響を受け、取引価格や為替の変動により損失が発生する可能性があります。

中国関連のETFに投資する場合は、中国国内の動向について情報を集め、場合によっては銘柄の売却を検討するなどして、損失を回避しましょう。

5.中国に投資できるETF銘柄

東京証券取引所に上場する、中国に投資可能なETF銘柄は以下の通りです(2021年9月5日時点)。

コード 銘柄 指数 信託報酬
1572 中国H株ブル2倍上場投信 ハンセン中国企業株レバレッジ指数 0.85%以内
1573 中国H株ベア上場投信 ハンセン中国企業株ショート指数 0.85%以内
1322 上場インデックスファンド中国A株(パンダ)E Fund CSI300 CSI300 0.50%程度
1575 ChinaAMC CSI 300 Index ETF-JDR CSI300 0.70%
2553 One ETF 南方 中国A株 CSI500 CSI スモールキャップ 500指数 0.84%以内
1576 南方 FTSE 中国A株50 ETF FTSE 中国A50 インデックス 1.07%
1309 NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信 上海50指数(円換算) 0.95%以内
2530 MAXIS HuaAn中国株式(上海180A株)上場投信 SSE 180 インデックス 0.78%程度
2628 iFreeETF 中国科創板50(STAR50) STAR 50 0.96%以内
2629 iFreeETF 中国グレーターベイエリア・イノベーション100(GBA100) GBA Innovation 100 0.71%以内

全10銘柄のETFがあり、レバレッジ型・インバース型の銘柄(1572・1573)と中国の株価指数に連動する銘柄(残り8つ)があります。

まとめ

今回は中国に投資できるETFのメリットやデメリット、リスクなどについて紹介しました。

ETFは低コストで分散投資ができる金融商品です。継続的な経済成長を見せる中国に投資できるETFを選ぶことで、リスクを抑えた資産運用と利益の追求の両方を期待できます。

ただし、為替リスクやカントリーリスクなど、ETFにはさまざまなリスクが伴うことに加え、元本割れを起こす可能性があることを忘れてはいけません。本記事を参考に、どのようなメリット・デメリット・リスクがあるのかを知ったうえで、適切な投資判断が下せるようにしましょう。

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山本 将弘

フリーランスWebライター。主に株式投資や投資信託の記事を執筆。それぞれのテーマに対して、できるだけわかりやすく解説することをモットーとしている。将来に備えとリスクヘッジのために、株式・不動産など「投資」に関する知識や情報の収集、実践に奮闘中。