「ネット証券+IFA」と「対面証券」どちらが良い?手数料や利用手順など比較

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SBI証券や楽天証券などのネット証券では、投資の専門家に対面で相談しながら資産運用を行えるIFAサービスを提供しています。従来、ネット証券は手数料が安い分、大手証券のような対面サービスは期待できませんでしたが、IFAの登場により対面証券との違いについて詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ネット証券が手掛けるIFAサービス、従来型の対面証券の特徴、両者の違いを解説します。IFAや対面証券に関心をお持ちの方や、手数料を比較したい方は参考にしてみてください。

※本記事は2021年10月16日時点の情報に基づき執筆しているため、最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. IFAの特徴
  2. 対面証券の特徴
  3. 「ネット証券+IFA」と「対面証券」を詳細比較
    3-1.手数料
    3-2.相談のしやすさ
    3-3.IPO(新規公開株)
    3-4.担当者の質
  4. 「ネット証券+IFA」と「対面証券」のどちらを選べばいい?
  5. まとめ

1 IFAの特徴

IFAとは(Independent financial adviser)の略で、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」や「独立系金融アドバイザー」を指します。投資や金融のプロとして、個人の投資に関する相談に応じ、仲介や助言などを行う専門家です。

また、IFAは金融商品取引法で規定されている金融商品仲介業者です。証券会社などの委託を受けつつ、独立したアドバイザーとして投資に関する相談や助言を行うのが特徴です。会社方針に縛られない顧客重視の商品案内が可能なので、銀行や証券会社で受ける対面サービスとは根本的な性質が異なります。

IFAは、アメリカやヨーロッパなどでは投資や金融のプロとして広く認知されており、資産・年金の運用に関する相談・助言などで活躍するなど、職業専門家としての地位を確立しています。

最近では、SBI証券や楽天証券などが自社のオンライン証券サービスとIFAによる相談・助言サービスを一体で提供しているなど、日本でも徐々にIFAの存在が知られるようになってきています。

2 対面証券の特徴

対面証券とは、実店舗を持ち、対面によるサービスに強みを持つ従来型の証券会社のことです。例えば、野村證券大和証券など証券業務を主事業として長い歴史を持つ大手証券に加え、みずほ証券、SMBC日興証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券など、メガバンク系列の証券会社などが挙げられます。

対面証券の強みは、投資に関する専門かつ広範なサービス提供と、全国にある実店舗を活かした対面・電話などによる営業です。また、企業の新規上場なども手掛けているため、ネット証券などと比べてもIPO(新規株式公開)に強いことで知られています。

3 「ネット証券+IFA」と「対面証券」を詳細比較

IFAを取り扱う事業者は全国に様々あり、ネット証券(SBI証券や楽天証券)と提携してサービスを提供しています。ネット証券は取引手数料の安さが強みでしたが、IFA口座を通して売買すると、担当者にいつでも相談できるぶん、手数料は通常口座よりも高くなるため、対面証券と比べた場合にどちらが安いのかを比較します。

3-1 手数料

国内株式の取引手数料について、SBI証券・楽天証券のIFAサービスおよび野村證券・大和証券の従来型対面サービスを比較していきます。(以下はすべて2021年10月16日時点の情報です。)

SBI証券および楽天証券のIFAコースの手数料は以下の通りです。

SBI証券

約定代金 手数料
100万円以下 約定代金の1.265%(最低2,750円)
100万円超え500万円以下 約定代金の0.99%+2,750円
500万円超え1,000万円以下 約定代金の0.77%+13,750円
1,000万円超え3,000万円以下 約定代金の0.6325%+27,500円
3,000万円超え5,000万円以下 約定代金の0.4125%+93,500円
5,000万円超え1億円以下 299,750円
1億円超え3億円以下 約定代金の0.176%+162,800円
3億円超え5億円以下 約定代金の0.11%+360,800円
5億円超え10億円以下 約定代金の0.088%+470,800円
10億円超え 約定代金の0.066%+690,800円

楽天証券

約定代金 手数料
25万円以下 2,750円
25万円超え100万円以下 約定代金の1.1000%
100万円超え200万円以下 約定代金の0.9625%+2,200円
200万円超え300万円以下 約定代金の0.8800%+3,850円
300万円超え400万円以下 約定代金の0.8250%+5,500円
400万円超え500万円以下 約定代金の0.7700%+7,700円
500万円超え1,000万円以下 約定代金の0.6600%+13,200円
1,000万円超え2,000万円以下 約定代金の0.6050%+18,700円
2,000万円超え3,000万円以下 約定代金の0.5500%+29,700円
3,000万円超え5,000万円以下 約定代金の0.3300%+95,700円
5,000万円超え1億円以下 275,000円
1億円超え 約定代金の0.1100%+177,100円

一方、対面証券(野村證券、大和証券)の手数料は以下の通りです。

野村證券

約定代金 手数料
20万円以下 2,860円
20万円超え50万円以下 約定代金の1.4300%
50万円超え70万円以下 約定代金の1.1000%+1,650円
70万円超え100万円以下 約定代金の0.9460%+2,728円
100万円超え300万円以下 約定代金の0.8800%+3,388円
300万円超え500万円以下 約定代金の0.8470%+4,378円
500万円超え1,000万円以下 約定代金の0.7040%+11,528円
1,000万円超え3,000万円以下 約定代金の0.5720%+24,728円
3,000万円超え5,000万円以下 約定代金の0.2640%+117,128円
5,000万円超え 約定代金の0.1100%+194,128円

大和証券

約定代金 手数料
100万円以下 約定代金の1.26500%(最低2,750円)
100万円超え500万円以下 約定代金の0.96800%+2,970円
500万円超え1,000万円以下 約定代金の0.71500%+15,620円
1,000万円超え3,000万円以下 約定代金の0.57750%+29,370円
3,000万円超え5,000万円以下 約定代金の0.33000%+103,620円
5,000万円超え1億円以下 268,620円
1億円超え5億円以下 298,320円
5億円超え10億円以下 331,320円
以後5億円ごと 33,000円加算

4社の取引手数料を約定代金100万円、1,000万円、1億円で比較してみると、以下の通りです。

項目 100万円 1,000万円 1億円
SBI証券+IFA 12,650円 90,750円 299,750円
楽天証券+IFA 11,000円 79,200円 275,000円
野村證券 12,188円 81,928円 304,128円
大和証券 12,650円 87,120円 268,620円

(すべて税込表記、概算)

このように、「ネット証券+IFA」と「対面証券」の取引手数料に大きな差は見られませんが、選択できる手数料コースはIFA事業者によって異なります。

例えば、楽天証券の場合、ネット取引手数料と同水準になる「コースB」を採用している事業者でIFA口座を開設すると、対面サービスを受けながら業界最安水準の手数料体系で資産運用を行える点が大きな強みとなっています。

一方、SBI証券の場合、ネット取引手数料と同水準のコースもありますが、専用の担当者は付かず、電話サポートのみの対応となるため、充実した対面サービスという点で劣る場合もあります。

3-2 相談のしやすさ

「ネット証券+IFA」では、自分専用の担当者を選べる点が対面証券と異なります。例えば、SBI証券の場合、SBI証券と提携している金融商品仲介業者に問い合わせ、相談したいIFAを決めることになります。金融商品仲介業者は各地に店舗や窓口を持ち、そこにはIFAが在籍しており、IFAに相談したい方の問い合わせを受け付けています。

一方、楽天証券の場合、楽天証券IFAのページから相談・問い合わせができ、その内容などによってIFAを紹介してもらえます。実際の流れとしては提携先の金融商品仲介業者からIFAが選ばれる仕組みとなっています。

いずれの場合でも、本人の希望と無関係にIFAが決定されることはなく、ご自分の希望やフィーリングにあったIFAを選ぶことができる点が「ネット証券+IFA」の強みです。

一方、対面証券の担当者は証券会社の社員です。原則として投資家が自由に担当者を選ぶことはできず、良い担当者に巡り会えたとしても、証券会社内の異動などによって担当者が変わることもあります。

3-3 IPO(新規公開株)

IPOでは対面証券を得意とする大手証券会社のほうが、その取扱いに強い傾向があります。店頭証券会社は主幹事や幹事として新規上場を手掛けるため、IPO株に投資するチャンスを狙いたいという方にとっては対面証券が適しています。

一方、ネット証券もIPOの取扱実績が豊富な会社はありますが、仲介・取次の側面が強くなります。そのため、資産を多く保有しておりで、大口の口座を開設できる場合、IPOを直接取り扱っている対面証券のほうがIPO投資を狙いやすくなります。

3-4 担当者の質

証券会社は、金融庁の厳しい審査基準をクリアした金融商品取引業者です。また、証券会社の担当者は証券の現場に勤務しており、他の投資家の動向も把握しているなど、担当者の質が担保されています。そのため、実際の取引の場面においてはIFAよりも最新の市況について把握している場合もあります。

一方、IFAは、その独立性が売りである反面、事業規模の小さい会社もあるなど、証券会社と比べて担当者の質が均一ではない可能性があります。また、IFAの収益自体は証券会社などからの手数料によって発生するため、その独立性も完全なものではない点について留意しておく必要があります。

ただし、IFAの場合、担当者が原則変わらないので、付き合いが長くなるほど相談者の運用スタイルや資産状況を把握できるなど、関係性もより深くなることが期待できます。

4 「ネット証券+IFA」と「対面証券」のどちらを選べばいい?

「ネット証券+IFA」ではオンライン経由の取引を得意としているほか、通常のネット証券における取引のようにIFAに相談せず、自分の判断で取引を行うことも可能です。

一方、「対面証券」では、窓口や電話での発注や取引に適していることに加え、こちらも「ネット証券+IFA」と同様に投資家が任意で取引することもできます。

そのため、どちらを選ぶかは、希望する取引スタイルや住まいの近くにIFAもしくは対面で相談できる証券会社があるかどうかを確認することが大切です。IFAの事業者は全国各地にありますが、会社規模や取扱サービス・手数料コースはそれぞれ異なります。そのため、セミナーに参加するなどして詳細を確認しておくことも重要です。

一方、対面証券は全国に支店を持ちますが、その所在地は都市部やその中心街が多くなっています。そのため、都市部であっても郊外にお住まいの方や、小さな街・地方などにお住まいの場合、対面でのアフターサービスを受けにくい場面もあります。

このように地理的な事情などを考慮に入れつつ、自分が希望するサポート体制を持ったサービスを選んでいくことが大切です。

まとめ

「ネット証券+IFA」と「対面証券」はどちらも、プロに相談しながら投資・運用ができるという強みを持っています。手数料が割高でも長期にって専門家の意見を取り入れながら運用したい方にとって有力な選択肢になり得ます。

なお、「ネット証券+IFA」と「対面証券」にはそれぞれメリット・デメリットがあり、いずれもIFAや担当者の資質に左右される部分もあります。両者を検討する際は、手数料やサービス内容に加え、セミナー等を通じて自分に合った担当者を見つけることも大切です。

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