インド株はアクティブファンドが狙い目　投資のプロが注目する投資信託も解説【新NISA】

インド株式市場は成長期待が高いため、世界から注目が集まっています。

特に、インフラ整備の遅れや、中間所得層の増加にともなう消費の拡大を受け、インフレや消費関連ファンドの騰落率がBSEセンセックス指数やNifty50指数を大きく上回っています。インドへ投資する場合は、インデックスファンドよりもアクティブファンドのほうが、高い成長を期待できると言えるでしょう。

本稿では、インドの株式指数や成長期待が高い投資信託などを解説します。新NISAの成長投資枠での利用を是非検討してみてください。

※騰落率は2022年末から2024年5月31日です。
※2024年6月4日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

1. インドの代表的な株式指数と特長
   1-1．BSEセンセックス指数
   1-2．BSE500種指数
   1-3．Nifty50指数
2. インド株投資の問題点
3. 投資信託の例
   3-1．HSBCインド・インフラ株式オープン
   3-2．T&Dインド中小型株式
   3-3．高成長インド中型株式ファンド SMAM
   3-4．野村インド株投資
   3-5．イーストスプリング消費関連ファンド
   3-6．もっとも騰落率が高かった投資信託はHSBCインド・インフラ株式オープン
4. まとめ

1．インドの代表的な株式指数と特長

インドの代表的な証券取引所は、BSE（ボンベイ証券取引所）とNSE（インド国立証券取引所）の2つです。それぞれの取引所が独自の指数を算出し、公表しています。

ここでは、インドの代表的な株式指数と、その特長をみていきましょう。

1-1．BSEセンセックス指数

センセックス指数は、ボンベイ証券取引所(BSE)上場銘柄のうち、流動性が高く、取引規模が大きい業種を代表する30銘柄で構成され、時価総額比重で加重平均した指数です。代表的な銘柄としては、タタ・モーターズやICIC銀行、HDFC銀行などが挙げられます。

指数の騰落率は21.57％で、もっとも高かった構成銘柄はタタ・モーターズの139.89％です。

1-2．BSE500種指数

センセックス指数は、ボンベイ証券取引所(BSE)上場銘柄のうち、流動性が高く、取引規模が大きい業種を代表する500銘柄で構成されています。

指数の騰落率は35.51％で、BSEセンセックス指数の騰落率21.57%を大きく上回っています。BSE500種指数の構成銘柄のうち74銘柄が、センセックス指数で騰落率が一番高いタタ・モーターズの138.53％を上回ったことが理由です。

BSE500種指数の構成銘柄のうち騰落率が最も高かったのは、造船会社コーチン・シップヤードの649.77％でした。構成銘柄のうち時価総額の最低額（2024年5月31日）は、グラスライニング機器メーカーのHLE Glascoat Ltd.の284.8億ルピー（約535億円）です。

1-3．Nifty50指数

Nifty50指数とは、インド国立証券取引所（NSE）に上場している銘柄のうち、時価総額、流動性などを基準に選定された50銘柄の株価を時価総額比重で加重平均した指数です。

構成銘柄はBSEセンセックス指数と重なる銘柄が多く、タタ・モーターズやICIC銀行、HDFC銀行などのほか、バジャジ・オートやコール・インディアなどが組み入れられています。

2．インド株投資の問題点

上昇期待が高いインド株式市場ですが、外国人は直接インド株に投資できません。インド株に投資する場合には、投資信託とADR銘柄が対象となります。ADR銘柄は銘柄数が限定的なため、インド投資には投資信託の活用を検討してみてください。

3．投資信託の例

日本で販売されている投資信託のうち、インデックスファンド以外のものを解説します。インド関連ファンドの信託報酬は、インデックスファンドより高いものの、騰落率が高いため、信託報酬を加味してもインデックスを大きく上回っています。

3-1．HSBCインド・インフラ株式オープン

HSBCインド・インフラ株式オープンは、HSBCインド・インフラ株式マザーファンドへの投資を通じて、インフラ関連株式に投資するファンドです。

2024年4月末時点で63銘柄に投資しており、組み入れ上位5銘柄は、ラーセン・アンド・トゥブロ、リライアンス・インダストリーズ、バルティ・エアテル、インド石油天然ガス公社、インド国営火力発電公社です。ポートフォリオの組み入れ比率は、上位5銘柄で全体の29.3％、上位10銘柄では43.4％です。

騰落率は98.99％と、BSEセンセックス指数の円換算騰落率44.55％（現地通貨21.57％）やNifty50指数の円換算騰落率47.97％（同24.44％）を大きく上回っています。信託報酬は2.09％です。

2024年5月末時点の純資産額は2,516億円で、2023年12月末時点の622億円から4倍に増加しました。

3-2．T&Dインド中小型株式

T&Dインド中小型株式ファンドは、ファンド・オフ・ファンドで、ライジング・インディア・フォーカス・ファンド・リミテッドアイプロ・インド中小型ファンドに投資をしています。

2024年4月末時点での組み入れ銘柄数は56銘柄で、組み入れ上位5銘柄は、Trent Ltd.、Max Healthcare Institute Ltd.、Uno Minda Ltd.、BHARAT ELECTRONICS LIMITED、REC LIMITEDです。

騰落率は62.71％と、BSEセンセックス指数の円換算騰落率44.55%（現地21.57％）やNifty50指数の円換算騰落率47.97%（現地24.44％）を大きく上回っています。実質的な信託報酬は2.051%（税込）です。

2024年5月末時点の純資産額は225億円で2023年12月末の145億円から約1.5倍に増加しました

3-3．高成長インド中型株式ファンド SMAM

高成長インド中型株式ファンドはR&Iファンド対象2023において、優秀ファンド賞に選ばれました。

運用方針は、インド中型株を中心に投資しており、2024年4月末時点の組入銘柄数は86です。構成銘柄上位5銘柄は、Zomato、Shriram Finance、Cummins India、パワー・ファイナンス・コーポレーション、アポロ・ホスピタルズ・エンタープライです。投資銘柄の比重に偏りがない投資信託と言えるでしょう。

騰落率は59.31％と、BSEセンセックス指数の円換算騰落率44.55%（現地21.57％）やNifty50指数の円換算騰落率47.97　%（現地24.44％）を大きく上回っています。信託報酬は1.1605％です。

なお、このファンドは、信託金額限度を合計4,000億円と定めており、2023年9月1日時点で純資産額合計が約3,703億円になったため、2024年6月現在、新規購入ができない状況です。

3-4．野村インド株投資

MSCIインド・インデックスをベンチマークとし、インド企業の株式に投資するアクティブファンドです。

2024年4月末時点での組み入れ銘柄数は46銘柄で、構成銘柄上位5銘柄は、リライアンス・インダストリーズ、ICICI銀行、マクロテック・デベロッパーズ、HDFC銀行、インフォシスです。上位5銘柄でポート全体の28.0％、10銘柄では46.1％に投資しており、ファンドの運用成績は組み入れ比率の高いTOP10銘柄の影響を受けます。

騰落率は50.63％と、BSEセンセックス指数の円換算騰落率44.55%（現地21.57％）やNifty50指数の円換算騰落率47.97%（現地24.44％）を上回っています。信託報酬は2.2％、信託財産留保額は0.5％です。

2024年5月末時点の純資産額は4,816億円で2023年12月末の3,858億円から約960億円増加しました。

3-5．イーストスプリング消費関連ファンド

イーストスプリング消費関連ファンドは、モーリシャス籍外国投資法人への投資を通じて、インド消費関連株式に投資するファンドです。

2024年4月末時点での組み入れ銘柄数は70銘柄で、構成銘柄上位5銘柄は、バルティ・エアテル、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズ、ICIC銀行、ヒンドゥスタン・ユニリーバ、マルチ・スズキ・インディアです。

組み入れ上位業種としては、自動車・自動車部品が17.0％、銀行が14.7％、医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンスが12.8％で、上位3業種でポート全体の44.5％を占めています。

騰落率は54.86％と、BSEセンセックス指数の円換算騰落率44.55%（現地21.57％）やNifty50指数の円換算騰落率47.97%（現地24.44％）を上回っています。実質的な信託報酬は1.9497％です。

2024年5月末時点の純資産額は2,519億円で2023年12月末の1,600億円から約900億円増加しました。

3-6．もっとも騰落率が高かった投資信託はHSBCインド・インフラ株式オープン

2022年末から2024年5月31日の騰落率を比較すると、もっとも騰落率が高かった投資信託はHSBCインド・インフラ株式オープンでした。また、本稿で紹介したアクティブファンドは、全てインデックスを上回っています。

インドへ投資する際には、インデックスファンドだけでなく、アクティブファンドも検討してみてはいかがでしょうか。

4．まとめ

インドの株式市場は、成長期待が高いため、優良大型銘柄ばかりではなく、中小型銘柄の中にも株価が急成長している銘柄も目立ちます。そこで、インドに投資する際には、BSEセンセックス指数やNifty50指数に連動する投資信託よりも、幅広い銘柄を投資対象とする投資信託に投資すると、より高リターンが期待できる可能性があります。

インドの経済成長期待は高いため、長期的な視点で投資をしてみてはいかがでしょうか。新NISAが始まったのを機に、少額でも成長投資枠でインド関連の投資信託への投資を検討してみてください。

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藤井 理

大学３年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。

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