2022年、日本の株式市場の幕開けは?注目ポイントと期待業種

2022年は米国では利上げが予想され、早ければ3月に実施される可能性があります。利上げは株式市場にとってネガティブ材料となるため、株式市場は日米ともに乱高下が激しい動きとなりそうです。

今回は、2022年の日本株市場の注目ポイントや期待業種について、経済ストラテジストの観点から解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2021年1月5日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 2022年の株式市場の注目ポイント
    1-1.米国の利上げ
    1-2.米国債金利動向
    1-3.クレジット市場動向
  2. 米国利上げによる日本への影響
    2-1.ドル円相場への影響
    2-2.小型成長株への影響
  3. 日本株の期待業種
    3-1.金融関連
    3-2.割安な大型株
    3-3.メタバース関連
    3-4.半導体関連
  4. まとめ

1 2022年の株式市場の注目ポイント

米連邦準備制度理事会(FRB)は新型コロナウイルスによる経済活動の落ち込みを防ぐために毎月、国債や住宅ローン担保証券を購入し、資金を市場に供給しています。この供給により、米国経済の回復が軌道にのったため、2021年12月のFOMC(金融政策決定会合)で資産買入の金額縮小を発表しました。それを基準に試算すると、買入は3月に終了します。

市場では金融正常化に向けた次のステップとして、利上げ時期が注目されています。利上げがいつ始まるのかが、注目ポイントです。

1-1 米国の利上げ

米国の利上げは、資産買入終了後に実施されます。資産買入の終了は3月に予定されているため、利上げ時期はそれ以降になります。政策金利の水準は米国の地区連銀総裁による政策金利の見通し(ドットチャート)によると、今年3回の利上げをし、年末の政策金利(FF金利)は0.75~1.00%まで引き上げられ、2024年末には2.25%へ達すると予想しています。

1-2 米国債金利動向

米国債の利回りは、金融政策を先行するため、政策金利と連動性が高い2年国債の動きや、10年国債と2年国債の金利差(イールド・スプレッド)が市場参加者の関心を集めています。

イールド・スプレッドは一般的に10年債利回りが2年債の利回りを上回って推移しています(順イールド)。しかし、景気後退を市場が予想すると逆転現象が起きます(逆イールド)。2019年8月にダウ平均が800ドル下落したきっかけが逆イールドでした。10年債と2年債との金利差(イールド・スプレッド)に注意する必要があります。

1-3 クレジット・スプレッド動向

クレジット・スプレッド(同期間の社債と国債との金利差)の動向は、株式市場に影響をあたえる傾向があります。クレジット・スプレッドの広がりは、企業の信用力の低下を示唆し、株価の下落につながりやすいためです。

2 米国利上げによる日本への影響

米国利上げによる日本への影響として、米国債と日本国債の金利差が拡大するため、為替市場では円安が進む可能性があります。適度な円安は輸出企業の株価にはプラス材料となります。

一方、利上げにより、米国市場でグロース株が下落した場合、日本の成長株に波及する可能性が高いと考えられます。

2-1 ドル円相場への影響

ドル円相場は、米国金利が拡大した場合、ドル高が進む傾向があります。日本はマイナス金利政策を維持していますが、過度なドル高が進めば、日銀の金融政策が変更される可能性があります。具体的には、2022年1月現在マイナス0.1%に設定されている付利(民間銀行が日銀に預け入れる際の利子)が引き上げられることが考えられます。

2-2 小型成長株への影響

割高な水準にある日本の成長株は、米国利上げに伴い、売りの対象となりそうです。

各国の中央銀行は新型コロナによる経済失速を補うため、潤沢な資金を市場に供給していました。そして一部の資金が小型成長銘柄の株価をファンダメンタルズからかけ離れた水準に押し上げています。そのため、金利正常化の動きに伴い、割高な銘柄には逆風となる可能性があります。

3 日本株の期待業種

米国の利上げは、米国株式市場のみならず日本市場にも影響があります。割高銘柄が売られるものの、大型の銘柄や金融関連銘柄などには資金が流入する可能性があります。

3-1 金融関連

金融関連銘柄、特にメガバンクを中心に、利上げは業績にプラスに働く可能性があります。

銀行は短期市場で資金を調達、長期市場で運用するため、長期金利と短期金利の差が拡大すると業績のプラス材料となるからです。利上げは数回にわたって実施されるため、長期金利と短期金利の差が広がる可能性は高いのです。

3-2 割安な大型株

米国の利上げにより、割高な小型株から資金が割安な大型株に流入することが予想されます。

TOPIX CORE30の予想PERは14倍弱と、日経平均株価の17倍、東証マザーズ指数の161倍強と比較し、割安です。TOPIX CORE30の構成銘柄は日本を代表する銘柄ばかりで、予想PERが10倍を下回る銘柄があります。

小型銘柄のように短期的に4倍、5倍に暴騰するような銘柄ではありませんが、業績が変動しづらいこと、配当利回りが比較的高いことが強みになります。

3-3 メタバース関連

今年はメタバース関連銘柄が注目されそうです。メタバースとは「メタ」と「ユニバース」からなる造語です。メタとは超越、バースは宇宙を意味し、インターネット上の仮想空間のことを指しています。イメージはさながらSFの世界です。

メタバースにより、現実世界に限りなく近い形でデジタル空間が再現され、その中で人々が「アバター」(自分の分身)として、全世界の誰もがデジタル上の同じ空間に集まることができ、現実世界と同じように買い物や交流を交わすことができるとされます。

メタバース市場は拡大傾向にあり、人々の生活習慣を変えてしまう可能性を秘めています。

3-4 半導体関連

半導体関連銘柄には2021年同様に注目が寄せられそうです。世界の半導体市場は5G、デジタルトランスフォーメーション、メタバースの広がりとともに、需要の拡大が期待されています。半導体の市場規模は、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の試算では、2021年の5,500億ドルから2030年には1兆ドルに成長すると予想しています(参照:TECH+「半導体は2030年までに1兆ドル市場に成長へ、SEMICON West 2021 HYBRID」。

日本政府は半導体の国内生産能力を高めるために、高等専門学校での専門人材の育成に取り組む方針を固めました。日本は半導体を国内需要の6割以上を海外の輸入に依存(※内閣官房・成長戦略実行計画「図11.日本の半導体の国内需要に占める輸入割合(2017年)」より)しているため、半導体の安定供給を目指し取り組んでいます。半導体関連銘柄には今年も追い風が吹いています。

まとめ

2022年の注目ポイントは米国の利上げです。利上げが実施されると株式市場では銘柄の選別が進むでしょう。金余りを背景に期待値のみで上昇した成長株は、試練の年となりそうです。

一方、利上げにより恩恵を受ける銀行株や割安感のある大型株、市場規模の成長が期待される半導体関連、メタバース関連銘柄への資金流入が予想されます。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。