2021年の株式市場振り返りと2022年の注目トピック・見通しをベテラン投資家が解説

2021年は米国株が好調だった一方、日本株の上値は重い展開でした。この記事では2021年の株式市場の振り返りと、2022年の注目トピックについて、投資経験が20年以上にわたる筆者の目線からわかりやすく解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2021年12月27日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。

目次

  1. 2021年の日本株は「もみ合い」
  2. 半導体不足が話題に
  3. 半導体製造装置関連銘柄は上昇
  4. 新型コロナウイルスの感染拡大の影響
  5. インフレ懸念が高まる
  6. 2022年は米国の金融政策に注目
  7. 2022年は「メタバース」関連銘柄に注目
  8. まとめ

1.2021年の日本株は「もみ合い」

コロナ禍で大荒れだった2020年の日経平均株価は、値幅が約11,000円と大荒れでした。しかし、2021年の日経平均株価の安値は8月20日の26,954.81円、高値は9月14日の30,795.78円で、約4,000円でした。

日経平均株価は、相場の方向性が定まらず売り買いが拮抗する「もみ合い」の1年になったのです。

2.半導体不足が話題に

2021年は、「半導体不足」のニュースが増えました。デジタルトランスフォーメーション(DX。情報技術の発達により、人々の生活を良い方向に変化させること)による需要増に加え、IoT(モノのインターネット)によって、自動車などこれまで半導体を必要としなかった業界のニーズも急拡大したからです。

しかし、増え続ける需要に対して供給が追いつかなくなり、半導体不足によって多くの企業が影響を受けました。2021年はワクチン接種が進んだことにより景気回復傾向にあったものの、半導体不足によって企業は十分にその恩恵を受けられませんでした。それが日本企業の株価の頭を抑える原因になったのです。

3.半導体製造装置関連銘柄は上昇

半導体不足により、多くの企業が悪影響を受けましたが、半導体製造関連銘柄にとっては半導体不足が追い風になりました。日本には世界的な半導体メーカーは存在していませんが、半導体の検査装置や製造装置に強みを持つ企業が多く、その株が注目されたのです。

半導体製造装置の代表的な銘柄は、東京エレクトロン(8035)です。2020年3月のコロナショック時には16,370円まで下落したものの、その後右肩上がりの上昇を続け、12月27日には65,650円の年初来高値を付けました。コロナショック後の安値から、株価は約4倍になったのです。

また同じ分野のアドバンテスト(6857)も好調でした。2020年3月のコロナショック時には3,335円の安値をつけましたが、2021年の9月17日には11,550円まで上昇。株価は約3.5倍になりました。

半導体不足は2022年も続くと考えられ、半導体製造関連銘柄は来年も注目度が高いでしょう。

4.新型コロナウイルスの感染拡大の影響

2020年、2021年は、新型コロナウイルスの感染状況がマーケットを動かす主な要因でした。ただ、オミクロン株の感染拡大への懸念は残るものの、ワクチンの普及や抗ウイルス薬の登場により、2022年には大きな材料にならない可能性が高まっていると筆者は考えています。

5.インフレ懸念が高まる

新型コロナウイルスの感染拡大よりもマーケットの関心を集めるのは、「インフレ」だと考えます。主要先進国ではワクチンの普及により、経済活動の制限措置が緩和され、経済活動の再開が進められました。一方でコロナ禍での巣ごもり需要や、経済活動再開による需要増加によって、インフレ懸念が台頭しました。

消費者物価指数は欧米を中心に急上昇していて、FRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中央銀行)などの物価目標2%を大きく超えてきています。たとえば、米国労働省が12月10日に発表した2021年11月の消費者物価指数は、前年同月比6.8%と大きく上昇しました。前年同月比の伸びとしては、1982年6月以来、39年ぶりの大きさとなったのです。

日本でも、2%の物価上昇が現実になりつつあります。総務省が12月24日に発表した11月の全国CPI(総合)は、前年比+0.6%になりました。ただ、携帯電話料金の値下げが-1.48%含まれていて、これがなければCPIは2%上昇していた可能性があるのです。

日本の物価上昇は一時的という見方もありますが、円安や原材料価格の高騰が続けば、今後もインフレは続く可能性が高くなります。景気が回復しないまま物価上昇が続く「スタグフレーション」になれば、株式市場にとっては大きなマイナス材料になるので注意が必要です。

6.2022年は米国の金融政策に注目

インフレ懸念が強まる中、2022年の株式市場の見通しは米国の金融政策の行方にかかっています。パウエルFRB議長はテーパリング(量的緩和の縮小)の終了時期を6月から3月に前倒しし、インフレを抑え込むため、2022年度内に3回の利上げをしようとしているからです(【参照記事】ロイター「FRB、22年に3回利上げ想定 量的緩和終了3月へ前倒し」)。

2022年11月に中間選挙を控えるバイデン大統領にとっても、インフレを抑えないと国民の生活が苦しくなり、支持率も低下してしまいます。多少株価が下落しても、支持率を上げるためにインフレ対策を積極的に行ってくるでしょう。

2022年7月には、日本でも岸田首相が長期政権を目指せるかどうかの大事な参院選があります。物価上昇率が2%を超えていた場合、インフレ対応を日銀に求める可能性もあるので注意が必要です。

7.2022年は「メタバース」関連銘柄に注目

来年の株式市場のテーマとしては、「メタバース」に注目しています。メタバースとは、オンライン上に構築された3DCGの仮想空間のことです。2021年は、フェイスブックがメタ・プラットフォームズに社名変更したことで、株式市場の注目を受けました。

そして、半導体大手のエヌビディアやゲーム会社のロブロックスなどの株価が上昇しています。エピック・ゲームズの ティム・スウィーニーCEOは、今後、数兆ドルのチャンスがあると語っています。

新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要でメタバースは拡大しましたが、2022年以降もアップルが参入することで本格化する可能性は高いでしょう。

まとめ

2022年は世界的にインフレがどの程度加速するのか、そして、各国の中央銀行が利上げをおこなうのかどうかに関心が集まるでしょう。

とくに米国の金融政策には注目です。2021年は米国株が大きく上昇しました。米国の代表的な株価指数であるS&P500種株価指数は25%以上も上昇し、日経平均株価の約5%を大きく上回っています(12月27日時点)。2022年も米国株の一人勝ちが続くのかどうかに注目です。

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山下耕太郎

山下耕太郎

一橋大学経済学部卒業後、証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。ツイッター@yanta2011