英運用大手のシュローダーは日本時間の10月29日、マルチアセット運用チームによる各金融市場(株式、国債、社債、コモディティティ⦅商品先物取引⦆)の月次見通しを発表した。株式は、新型コロナウイルス感染の再拡大を巡る懸念材料はあるが、今後期待される経済回復が支援材料と判断する。社債に関しては、中央銀行による金融政策が引き続き社債市場を下支えすると判断。ハイイールド社債よりも投資適格社債への選好度を高くした。
株式は「足元、新型コロナウイルス感染の再拡大を巡り、先行き不透明感が懸念材料ではあるものの、今後期待される経済回復が支援材料」と判断した。国・地域別で見ると、米国では「継続する高い流動性が引き続き支援材料と判断するが、米大統領選挙の動向には注視する必要がある」と解説。11月9日の時点で民主党の前副大統領ジョー・バイデン氏の勝利が濃厚となりつつあり、結果は次回の月次見通しでも関心事になると予想される。
欧州については「多くの国で、新型コロナウイルス感染者数が上昇する中、感染防止のために取られている措置が経済活動の重しとなる」と、再拡大の影響を懸念する。日本は経済回復の兆候が見られ始めている一方、9月の総裁選で選出された菅総理大臣による今後の政策方針を「見極める必要がある」にとどめた。
アジア太平洋、新興国についてはそれぞれ「財政政策および金融政策の実施に加え、新型コロナウイルスのワクチン実用化への期待」、「中国経済の回復、ドル安、堅調なコモディティ価格の推移」が支援材料と判断している。
国債に関しては、米国は「米連邦準備制度理事会(FRB)による平均インフレ目標の導入を背景に物価が上振れる可能性もあることから、より短期の国債への選好を維持」、欧州(ドイツ国債)は「バリュエーションの魅力度は引き続き低く、今後のさらなる利回り低下余地は依然限定的」とする。新興国の米ドル建てについては「相対的に魅力的と判断されるバリュエーションや米ドル安が支援材料」、現地通貨建ては「ラテンアメリカやアジアはより高い実質利回りが期待されると考えることから、同地域には中期的に投資機会が存在する」と見る。インフレ連動債は FRBが一時的にインフレ率が2%を上回ることを許容する平均インフレ目標を導入したことから「当面は緩和的な金融政策が維持される」と見込む。
投資適格社債は、米国が「クレジット・スプレッドのさらなる縮小の余地は限定的と考えますが、社債の発行額の水準は高水準で推移」、欧州は「バリュエーションの魅力度は過去の水準から判断して低いが、企業業績が市場予想を上回ったことなどによるファンダメンタルズの改善が支援材料」とした。ハイイールド社債は、米国では「財政・金融刺激策の実施は引き続き支援材料だが、欧州ハイイールド債に比べ魅力度は低い」、欧州は「市場支援策が発行体やファンダメンタルズにとって引き続き支援材料」とした。
【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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