シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は6月15日、鈍化する中国の経済成長について「2023年の見通しは明るい」とするシュローダーのレポートの日本語訳を発表した。中国経済は足元で停滞しているが、23年の見通しは明るく、回復する可能性があるとしている。
今春の中国はゼロコロナ政策の影響で景気が停滞、海外でも金融引き締めや地政学的リスクがあるなど、まさに「内憂外患」、株式市場も人民元も下落が続く。その一方で、中国政府は、インフラ建設の強化や不動産セクターの規制緩和、自動車補助金制度の実施など、大規模な経済支援策を着々と打っている。中国人民銀行も、預金準備率の引き下げや住宅ローン金利の引き下げを実施するなど、緩和策を強めている。ゼロコロナ政策の撤廃・緩和された場合、これらの各種景気刺激策が景気に浸潤し、中国経済が回復に転じうるのではないか、という予想だ。
もちろん、地政学的リスクは依然として注視が必要だ。米中の戦略的競争は今後も続くと思われる。また、ロシアのウクライナ侵攻は国際関係を複雑化させた。今後、ロシアは中国との関係を強めると思われるが、米中関係がさらに悪化するリスクがある。
レポートが発表されたのは5月27日。中国では上海で2ヶ月ぶりにロックダウンが解除されたが、当局はゼロコロナ政策を堅持する姿勢で、外出制限や大規模検査、強制隔離は続いている。同社は「今後の政治動向やポストコロナ時代の正常化の可能性について注視していく」としているが、回復に繋がる好要因は見いだせていない。
中国国家統計局が今月15日発表した5月の主な経済統計では、物流の混乱がやや落ち着いたことなどから工業生産は前年同月比0.7%増とプラスに転じた。しかし、小売売上高は前年同月比6.7%減で、ゼロコロナ政策の影響が鮮明だ。ロイターによると、同局は「政策支援により6月は回復がさらに進む」と回復基調を予想。一方で外部要因の不透明感に言及し、「国内の回復は依然として初期段階で、主要指標の伸びは低水準。回復の基盤はまだ固まっていない」とした。
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HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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