ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社が6月23日に発表した2021年世界個人投資家調査で、日本の個人投資家は、2021年に2桁のリターンを期待する一方、インフレやボラティリティの高まりによる老後の生活への影響を懸念しているという傾向が明らかになった。
調査は、日本人400人を含む24の国と地域の10万ドル以上の投資可能資産を有する8550人の個人投資家を対象に、21年2月から3月にかけて実施。それによると、日本の投資家は、新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染拡大による株式市場の不確実性にもかかわらず、20年に10.5%の実質年間リターンを達成、21年および長期的には12~13%の実質年間リターンを期待するなど、引き続き強気の姿勢を見せている。コロナ禍で収入が減少したと回答したのはわずか8%で、世界25%、香港39%、韓国37%と比較して、日本の投資家の投下資本の回復力を確認する数値となった。
実際、日本の回答者は、新型コロナの感染拡大によって深刻な影響を受けたと答えた割合が世界平均より低く、ウイルスの感染から退職を余儀なくされたことまで、質問項目にあった様々な影響について、77%が「そのような影響はなかった」と回答した。詳細に見ると「パンデミック中に自身または家計が収入を失った」と答えたのはわずか8%(世界25%)、「経済的な安定が大きく損なわれた」は13%(世界17%)、「1年のうち少なくとも一部の期間、職やビジネスを失った」は4%(世界9%)、「老後資金の取り崩しを余儀なくされた」は3%(世界7%)と、いずれも世界平均を下回った。さらに、日本の投資家の4分の1以上(世界19%)が「パンデミックをきっかけに投資を開始した」と回答した。
ただし、日本政府のパンデミック対策については多くの投資家が不満を感じている。29.5%の投資家が「政治的機能不全」を最大の懸念事項として挙げており、これは世界平均(22.5%)を大幅に上回り、昨年の大統領選挙や激しい党派間の対立により、 著しい政治的混乱が生じた米国(27.6%)よりも高い数値となった。
さらにコロナ収束後の先に待つ老後の生活については、大きな不安を抱えているようだ。日本人投資家で老後の生活の経済的な安定を確信しているのは51%で、世界の70%より大幅に低い。「公的年金がなければ生活が困難になる」と回答したのは60%(世界49%)、「老後に十分な資金を確保できない」と回答したのは70%(世界39%)と、将来への不安が突出している。投資家の75%は、 長期的にはインフレが老後の生活を脅かす最大のリスクの1つになると考えており、 61%は「景気回復の遅れ」に次ぐ投資上の懸念事項である市場ボラティリティが、 貯蓄や老後資金の目標達成を妨げる要因になると考えている。
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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